2025年4月11日
労務・人事ニュース
介護サービス受給者が479万人、費用総額は9,745億円に(介護給付費等実態統計月報 令和6年12月審査分)
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最終更新: 2025年4月27日 22:32
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介護給付費等実態統計月報(令和6年12月審査分)(厚労省)
令和6年12月分の介護給付費等実態統計月報により、日本全国での介護サービスおよび介護予防サービスの実施状況が明らかとなりました。このデータは、介護制度の現状とその変化を把握する上で重要なものであり、今後の介護政策の方向性や人材確保、さらには企業における高齢者支援策の検討にも直結する情報です。特に企業の採用担当者にとっては、介護をめぐる社会的背景を理解することが、働く世代の支援や福利厚生の設計において極めて重要です。
まず介護予防サービスの利用者について見ていくと、全国の受給者数は96万3,000人となり、前年同月比で5.8%増加しました。これは、高齢化が進む中で、要支援の状態にある人々が介護状態への進行を防ぐために、早期から支援サービスを受ける重要性が社会的に浸透しつつあることを示しています。要支援1の利用者は38万4,600人で6.2%の増加、要支援2は57万4,200人で5.5%の増加となっており、いずれの区分でも前年を上回る伸び率が記録されました。特に地域密着型の介護予防サービスも拡充しており、その利用者は前年より1.4%増の1万3,500人に達しました。これらの傾向は、高齢者が住み慣れた地域で安心して自立した生活を続けられるよう支援する体制が、着実に広がっている証拠でもあります。
次に介護サービス全体の受給者数を見てみると、全国で479万5,000人となり、前年同月比で1.8%の増加でした。このうち、居宅サービス利用者が353万4,300人と最も多く、施設サービスが94万7,700人、地域密着型サービスが98万600人と続きます。利用者の分類別では、要介護1の受給者が128万4,300人(2.4%増)、要介護2が115万5,900人(3.0%増)、要介護3が91万9,700人(1.8%増)と、要介護1から3の中等度にあたる層の増加が全体の上昇をけん引しています。これは、高齢者の身体的・認知的機能が低下する過程において、比較的軽度な段階でのサービス利用が拡大している傾向を示しており、予防と早期介入の重要性がより強く認識されている結果とも言えるでしょう。一方で、最重度の要介護5の受給者は55万7,600人と前年から1.0%減少し、特に施設サービスでの減少が目立ちました。
介護給付費の金額面でも顕著な増加が見られました。介護予防サービスの費用額は270億9,100万円で前年同月比7.0%増、介護サービスの費用額は9,745億500万円で4.2%の増加となりました。受給者1人当たりの費用額に換算すると、介護予防サービスでは2万8,100円(1.1%増)、介護サービスでは20万3,200円(2.4%増)となっており、利用者数の増加とサービス内容の高度化がコスト増加に反映されている状況です。これらの数値は、自治体や保険者にとっては予算配分の再検討を促す指標であるとともに、民間介護事業者にとっては需要の増大によるサービス拡充の必要性を示すものであり、今後の経営戦略や人材確保の面で大きな意味を持ちます。
また、施設サービスに関しては、受給者の減少傾向が続いている一方で、居宅サービスの伸びは堅調です。これは国の方針として、施設への依存を減らし、可能な限り在宅での生活を支援するという地域包括ケアシステムの構築が着実に進行していることを裏付けています。とりわけ訪問介護、通所介護といった在宅支援型サービスのニーズは年々増加しており、これに伴う人材の確保と定着が喫緊の課題となっています。
企業の採用担当者にとって、こうした介護分野の統計は単なる社会保障制度の一端にとどまらず、働く世代に対する配慮や福利厚生の充実策として直結する問題です。社員が家族の介護を理由に離職するリスクを軽減するためにも、育児介護休業制度の拡充や在宅勤務の選択肢、柔軟な働き方の導入が急がれます。さらに、介護業界自体に人材を送り出す側として、医療・福祉分野に関心を持つ若手人材のキャリア支援、社内リスキリング制度の導入、産業福祉職の拡充といった長期的視点での採用戦略も不可欠です。
介護分野の人材需要は今後ますます拡大が予想されており、特に地域に根ざした事業展開を行う企業においては、地域密着型介護サービスへの参入や連携、地域福祉政策への協力体制を組むことで、新たなCSR活動や地域ブランド価値の創出につなげることも可能です。介護統計の背後にある数字は単なる負担ではなく、企業が社会課題にどう向き合い、どう応えていくかという未来へのヒントでもあるのです。
企業が今後の人材採用戦略を立てる上で、介護という社会インフラとどう関わるかは避けて通れないテーマです。少子高齢化という避けがたい現実において、労働力人口の減少が進行する一方、社会的ニーズが拡大する分野にこそ、大きな可能性と責任が広がっていることを、今回の統計結果は静かに、しかし確実に語りかけています。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ