2024年9月28日
労務・人事ニュース
令和6年7~9月期調査 中堅企業の景況感が上昇、設備投資と従業員確保の取り組みが重要に
法人企業景気予測調査(令和6年7~9月期調査)結果の概要(財務省)
令和6年9月12日に発表された法人企業景気予測調査は、企業の景況感を多角的に分析した内容です。この調査は、令和6年7月から9月の現状と、今後の見通しを中心に行われており、主に企業の景況、国内の景況、雇用、企業収益、設備投資、そして従業員の確保に関する取り組みについて報告しています。
まず、企業の景況について、大企業の景況感は5.1%ポイントの「上昇」となり、前期に引き続き2期連続での改善を示しています。中堅企業も「上昇」が続いており、中小企業は「下降」との結果となっています。このように、企業規模によって異なる景況感が見られる一方、大企業および中堅企業は今後も「上昇」の見通しが強いとされていますが、中小企業については依然として「下降」の見通しが続いている点が特徴です。特に製造業では、電気機械器具製造業が16.3%ポイントの大幅な上昇を示しており、これが景況感の改善に大きく寄与していると分析されています。
次に国内の景況感ですが、こちらも大企業は5.5%ポイントの「上昇」で、令和5年4月から6月期以降、6期連続での改善が続いています。同様に、中堅企業も「上昇」として推移しており、中小企業は「下降」となっています。今後の見通しでは、大企業と中堅企業が「上昇」傾向を維持する一方で、中小企業は依然として厳しい状況が続く見込みです。
雇用の状況に関しては、令和6年9月末時点で、大企業の従業員数判断BSIは27.0%ポイントとなり、平成23年9月以降53期連続で「不足気味」との結果が出ています。これは人手不足が引き続き課題であることを示しており、中堅企業や中小企業も同様に「不足気味」の状況が続いています。見通しとしても、大企業、中堅企業、中小企業ともに「不足気味」の状態が続くと予想されており、特に人材確保の必要性が高まっていることが浮き彫りになっています。
企業収益については、令和6年度の売上高が2.4%の増加を見込んでいる一方で、経常利益は1.4%減益の見通しです。製造業においては減益が予測されており、特に非鉄金属製造業や鉄鋼業が大きく減益を見込んでいます。一方、非製造業においては、サービス業や情報通信業が増益を見込んでおり、業種によって収益の見通しが大きく異なる点が特徴的です。
設備投資に関しては、令和6年度において12.5%の増加が見込まれています。特に化学工業が26.2%、自動車製造業が21.1%と大幅な投資拡大を見込んでおり、製造業と非製造業の両方で投資意欲が高まっていることが分かります。設備投資の対象としては、大企業を中心に「ソフトウェア」への投資が最も重要視されており、中堅企業や中小企業でも同様にソフトウェアへの投資が優先事項となっています。さらに、生産・販売のための機械や装置、工具・器具などへの投資も注目されており、技術革新や効率化の推進が進んでいることが伺えます。
従業員確保の取り組みに関しては、大企業が「賃金の引上げ」を最優先事項として掲げています。初任給の引上げや人材育成の強化が続いており、これにより優秀な人材の確保と定着を図っています。中堅企業や中小企業においても同様の動きが見られ、賃金の引上げが最も重要な取り組みとされています。さらに、研修制度の充実や業務プロセスの見直しが進められており、これにより効率化やDXの推進が期待されています。
本調査は、企業の経営判断に関する貴重なデータを提供しており、特に大企業や中堅企業の設備投資意欲や従業員確保の取り組みが注目されています。今後の見通しにおいても、大企業および中堅企業が「上昇」を維持する一方で、中小企業が厳しい状況を続けることが予想されているため、企業規模に応じた対策が求められています。また、人手不足が引き続き課題として浮上しており、賃金引上げや人材育成の強化を通じて、優秀な人材の確保と定着を目指す動きが一層強まると考えられます。
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