2024年12月20日
労務・人事ニュース
令和6年11月景気ウォッチャー調査 北陸地方の観光業稼働率5か月連続前年超え!製造業の受注金額は前年比15%減
景気ウォッチャー調査(令和6年11月調査)― 北陸(現状)―(内閣府)
令和6年11月に実施された景気ウォッチャー調査によると、北陸地方の経済状況は業種や職種によって異なるものの、全体として景気の停滞や消費者マインドの変化が見られました。以下は、主要な業種の動向や特徴を整理し、それぞれの背景や影響について説明します。
都市型ホテルでは、団体客の予約が堅調に推移し、稼働率が5か月連続で前年を上回る状況が続いています。観光需要の回復が顕著であり、特にインバウンド(訪日外国人旅行者)の増加が大きな要因として挙げられます。一方で、一般レストランや商店街では、例年に比べて紅葉のピークが遅れたことが集客に影響し、やや人出が減少している傾向がありました。ただし、高額商品や宝飾品の需要は一部で活性化の兆しが見られるものの、全体的な売上の回復には至っていないようです。
家電量販店では、高性能エアコンや省エネ型冷蔵庫といった高価格帯の商品が好調で、販売動向に明るさが見えます。一方で、来客数の減少が売上に影響を及ぼしている店舗も少なくありません。同様に、乗用車販売店では新車イベントの来場者数が前年比120%と増加したものの、実際の販売台数はほぼ横ばいであり、顧客の購買意欲が完全には戻っていないことが浮き彫りとなりました。
小売業全般では、季節商品の動きにばらつきが見られました。例えば、百貨店では冬物衣料が動き出す反面、高価格帯の衣料品や生活必需品以外の購入が減少し、客単価の上昇が売上拡大には結び付いていない状況です。スーパーでも鍋料理用の食材需要が伸びた一方で、買い控え傾向が続いています。さらに、コンビニでは客単価が前年比5%低下し、消費者の節約志向の高まりが顕著です。
製造業では、能登半島地震からの復旧が進む中、一部で需要が回復しつつありますが、全体としては依然として厳しい状況が続いています。繊維工業や一般機械器具製造業では、生産量や販売金額が前年を下回る状態が続き、業界全体の活気を取り戻すには至っていません。一方、精密機械器具製造業では価格引き上げ後も受注量が堅調に推移しており、特定の分野では明るい兆しが見られます。
雇用市場においては、求人数が微増し、有効求人倍率も上昇しているものの、人手不足感が解消されるには至っていません。特に中小企業では求人募集が常態化しており、特定分野の人材確保が課題となっています。人材獲得競争が激化する中、企業の採用活動における新たな戦略が求められています。
全体として、北陸地方の経済は緩やかに回復基調を見せているものの、個別業種や地域の特性によってばらつきが大きい状況です。消費者心理の変化や物価高の影響が広範に及んでおり、特に生活必需品や高額商品の需要が伸び悩んでいます。これらの傾向は、地域経済の持続的な成長を支えるための課題として捉える必要があります。
企業は、これらの状況を踏まえて柔軟な事業展開を検討することが求められます。特に、需要の多様化に対応した商品開発やサービス提供、さらに効率的なコスト管理といった取り組みが重要となります。また、採用面では、効果的な求人情報の発信や雇用環境の整備を進めることで、優秀な人材を確保することが重要です。北陸地方の経済動向は全国的なトレンドとも共通する部分が多いため、広い視点からの分析と戦略的な対応が期待されます。
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