2024年12月20日
労務・人事ニュース
令和6年11月景気ウォッチャー調査 観光業が牽引する中国地方の景気動向、前年比10%以上の宿泊予約増加が追い風に
景気ウォッチャー調査(令和6年11月調査)― 中国(現状)―(内閣府)
令和6年11月に実施された景気ウォッチャー調査によると、中国地方における景気の現状は業種ごとに異なる動きを見せています。観光型ホテルや都市型ホテルでは、宿泊予約が前年比で10%以上増加し、高単価の販売が堅調に推移しています。特に秋の行楽シーズンの影響で宴会利用が好調であり、来客数や組数が大幅に増加しました。一方で、一般小売店や百貨店では、抹茶工場の稼働率向上やイベント開催による一部商品の売上増加が見られるものの、新規顧客の来店が伸び悩むなど、一定の課題も浮き彫りになっています。
通信業界では、新型コロナウイルス感染症対策の緩和が追い風となり、海外需要が回復傾向にあります。特に、都市部の通信会社では、新サービス展開に対する期待が高まる一方で、大規模な変化には至っていないとの声も聞かれます。観光業界においては、テーマパークの予約数が堅調に推移しており、週末の安定した天候が来場者増加を支えました。一方で、タクシー業界では観光需要が好調な一方で、一般客の利用が伸び悩む状況が続いています。
小売業界では、物価高騰の影響が顧客の購買行動に影響を与えており、販売数量の減少が見られる店舗が多い中、特定の商材では売上が前年を上回るケースも報告されています。例えば、冬物商材や高単価商品が売上を牽引する一方で、日用品や衣料品は価格高騰の影響で客単価が伸び悩んでいます。百貨店では式典や行事の開催により、一部需要が活性化しているものの、来店者の購買意欲に地域差があるとの報告があります。
製造業界では、輸送用機械器具製造業や化学工業が順調な販売量を維持していますが、建設業では材料費の高騰が利益を圧迫しており、公共工事の需要増加が一部の救いとなっています。住宅業界では、新築需要が低調であり、消費者が慎重に動向を見守る姿勢が続いています。一方、輸送業界や金融業界では公共工事の増加が一定の需要を支えており、景気回復の兆しが見え隠れしています。
雇用関連では、新卒採用が一部の企業で活発化しており、前年を上回る求人件数が報告されています。特に、人材派遣業界では9月以降、企業の採用意欲が大幅に高まっているとのことです。一方で、転職市場においては、求職者が条件のミスマッチにより早期転職を検討するケースが増加しており、企業の採用戦略が求められる状況です。
これらの結果を総合すると、中国地方の景気は業種による差が大きいものの、観光業や一部の製造業を中心に回復基調がみられる一方、小売業や住宅業では厳しい状況が続いていることが分かります。物価高や人手不足の影響が経済全体に影響を及ぼしており、今後の政策や経済動向が企業活動に重要な影響を与えることが予測されます。
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