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2024年9月13日

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令和5年「雇用動向調査」で明らかになった労働市場の流動性、入職率16.4%、離職率15.4%で浮き彫りに

令和5年 雇用動向調査結果の概要(厚労省)

令和5年の「雇用動向調査」結果が厚生労働省から発表されました。この調査は、全国の主要産業における入職者数と離職者数を把握し、その傾向を分析する目的で年に2回実施されます。今回発表された結果は、上半期と下半期の調査結果を合算して年計として取りまとめたものです。調査は5人以上の常用労働者を雇用する15,010事業所を対象に行われ、上半期には9,198事業所、下半期には8,643事業所から有効な回答が得られました。調査結果には、上半期と下半期を合わせた入職者57,625人と離職者73,846人のデータも含まれています。

今回の調査結果から、入職率と離職率がともに上昇していることがわかりました。具体的には、入職率は16.4%で前年と比べて1.2ポイント上昇し、離職率は15.4%で前年と比べて0.4ポイント上昇しました。これにより、入職超過率は1.0ポイントとなり、前年より0.8ポイント拡大しました。この結果は、労働市場における人材の動きが活発化していることを示しています。

就業形態別に見ると、一般労働者の入職率は12.1%で、前年と比べて0.3ポイント上昇しました。同様に、離職率も12.1%で前年より0.2ポイント上昇しています。これに対して、パートタイム労働者の入職率は27.5%で、前年より3.3ポイント上昇し、離職率は23.8%で0.7ポイント上昇しました。これらのデータは、特にパートタイム労働者の間で労働市場がより流動的であることを示しています。

産業別の分析では、サービス業や宿泊業、飲食サービス業での入職率と離職率が特に高いことが確認されました。例えば、一般労働者の場合、サービス業(他に分類されないもの)での入職率は19.9%、離職率は19.3%でした。また、宿泊業および飲食サービス業においては、入職率が19.8%、離職率が18.2%となっています。パートタイム労働者では、生活関連サービス業や娯楽業での入職率が49.2%、離職率が36.9%と非常に高く、宿泊業および飲食サービス業では入職率が40.5%、離職率が31.9%でした。これらの業種では労働者の入れ替わりが激しいことが浮き彫りとなっています。

また、転職入職者の賃金変動状況についても調査されています。前職の賃金と比較して「増加」した割合は37.2%で、前年と比べて2.3ポイント上昇しました。一方で、「減少」した割合は32.4%で、前年より1.5ポイント低下しました。これにより、転職による賃金アップの期待がやや高まっていることが示されています。

これらの調査結果は、日本の労働市場が依然として流動的であり、特にパートタイム労働者や特定の産業においては、人材の確保と定着が課題であることを浮き彫りにしています。企業にとっては、労働者の流動性を見据えた柔軟な雇用戦略が求められています。また、転職を考えている労働者にとっても、賃金が上昇する可能性が高まっている一方で、賃金が減少するリスクも依然として存在するため、慎重な判断が必要です。

この調査結果を踏まえ、企業は労働者の定着率向上に向けた取り組みを強化することが求められます。具体的には、労働環境の改善や賃金水準の引き上げ、キャリアパスの明確化といった施策が効果的です。また、特に離職率の高い業種では、労働者のニーズに応じた柔軟な働き方の提供や、労働者とのコミュニケーションの強化が重要となるでしょう。

今後も、このような労働市場の動向を注視し、時宜に応じた対応を行うことが、企業の競争力を高める鍵となります。また、労働者にとっても、自身のキャリアを見直し、将来を見据えた職業選択を行うことがますます重要となるでしょう。雇用動向調査は、企業と労働者双方にとって、労働市場の現状を把握し、適切な対応を行うための貴重な情報源であり、今後もその結果を活用した対策が期待されます。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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