2024年9月13日
労務・人事ニュース
令和5年の個人的理由による離職率が11.4%に上昇!企業が取り組むべき対策とは
令和5年 雇用動向調査結果の概要 離職理由別離職の状況(厚労省)
令和5年の1年間における離職率は、離職理由別に見ると、個人的理由による離職率が前年よりもわずかに上昇したことがわかります。具体的には、個人的理由、すなわち結婚、出産・育児、介護・看護、その他の個人的な理由を合計した離職率は11.4%に達し、前年から0.4ポイント増加しました。一方で、事業所側の理由、例えば経営上の都合や出向、出向元への復帰などによる離職率は0.9%で、前年よりも0.2ポイント減少しています。
このデータを性別で分析すると、男性の離職率は個人的理由によるものが9.4%で、前年よりも0.5ポイント上昇しました。女性においては、この理由による離職率が13.7%で、前年から0.3ポイント増加しています。事業所側の理由による離職率は、男性で1.2%、女性で0.6%となっており、いずれも前年よりも0.2ポイントの減少が見られました。
これらの統計から、企業の経営者や人事担当者にとって、従業員が離職する理由を理解し、その対策を講じることがますます重要であることが浮き彫りになります。特に、個人的な理由での離職が増加傾向にあることから、柔軟な労働条件の提供や、従業員が家庭生活と仕事を両立しやすい環境を整備することが求められています。また、事業所側の理由による離職率が低下していることは、企業側の経営状態の改善や出向制度の見直しが進んでいる可能性を示唆していますが、この点についてもさらなる分析が必要です。
企業においては、離職の理由を細かく分析し、それぞれの要因に対する適切な対策を講じることで、優秀な人材の定着を図ることができます。例えば、結婚や出産・育児に対しては、ワークライフバランスを考慮した柔軟な勤務時間制度の導入や、育児休業の充実が有効です。また、介護・看護に対する支援策としては、介護休暇制度の拡充や、テレワークの導入が考えられます。さらに、その他の個人的な理由での離職を防ぐためには、従業員のメンタルヘルスケアの強化や、キャリアパスの明確化が求められるでしょう。
事業所側の理由による離職が減少している背景には、企業が従業員の声に耳を傾け、働きやすい職場環境を整備していることが考えられます。出向や経営上の都合による離職を減らすためには、経営層と従業員のコミュニケーションを強化し、組織全体での協力体制を構築することが重要です。また、企業が従業員のキャリアアップやスキル向上を支援することで、離職を防ぐ効果が期待できます。
以上のデータを踏まえ、企業の採用担当者や人事部門は、今後の人材戦略においてこれらの離職率の傾向をしっかりと把握し、適切な対策を講じることが求められます。特に、個人的な理由での離職を減少させるためには、従業員が安心して働ける環境を提供し、働き方の多様性を尊重することが不可欠です。同時に、事業所側の理由での離職をさらに減らすためには、企業全体の運営方針を見直し、従業員との信頼関係を構築する努力が必要です。これらの取り組みにより、企業は長期的に安定した労働力を確保し、業績の向上に繋げることができるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ