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2024年9月15日

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令和5年の労働争議件数が前年より8.1%増加、賃金改定を求める動きが53.8%で最多を記録

令和5年労働争議統計調査の概況 労働争議の主要要求事項別の状況(厚労省)

令和5年の労働争議の状況について、総争議件数や要求事項に関するデータが示されています。このデータから、労働争議がどのような項目に集中しているのか、またその変動傾向について詳細に把握することができます。

まず、令和5年の総争議件数は292件で、前年と比較して22件増加しています。これにより、総争議件数の増加率は8.1%となり、労働争議の件数が前年に比べて増加傾向にあることが分かります。要求事項別に見ると、「賃金」に関する争議が最も多く、157件、全体の53.8%を占めています。この「賃金」に関する争議は前年と比較して18件増加し、増加率は12.9%となっています。

「賃金」の中でも特に注目されるのは、賃金制度や賃金額の改定に関連する事項です。例えば、基本給や諸手当の改定を求める争議は61件で、前年から3件の増加が見られました。また、賞与や一時金の改定を求める争議は51件で、前年から12件増加し、増加率は30.8%と顕著な伸びを示しています。個別組合員の賃金額に関する争議も8件で、前年に比べて2件増加し、増加率は33.3%です。このように、賃金に関する争議は全体として増加しており、労働者の賃金に対する関心の高まりが見て取れます。

次に、「経営・雇用・人事」に関する争議は118件、全体の40.4%を占め、前年と比較して20件増加しています。このカテゴリーでは、特に解雇反対や被解雇者の復職を求める争議が57件あり、前年から10件増加しています。また、事業の休廃止や合理化に関する争議も5件と前年から1件増加しており、経営上の変更に伴う労働者の不安や不満が反映されています。

「組合保障及び労働協約」に関する争議も88件あり、全体の30.1%を占めていますが、前年と比較すると15件減少しており、減少率は14.6%です。この中で、組合活動や組合保障に関する争議が81件で、前年から16件減少しており、これが全体的な減少に寄与しています。

また、「賃金以外の労働条件」に関する争議は38件で、前年と変わらず一定数が発生しています。このカテゴリーには、所定内労働時間の変更や所定外労働時間に関する争議が含まれます。特に、所定内労働時間の変更を求める争議は前年の1件から3件に増加し、増加率は200%に達しています。さらに、職場環境や健康管理に関する争議も23件で、前年から5件増加し、労働者の健康や安全に対する関心の高まりが示されています。

これらのデータから、令和5年の労働争議は賃金や経営・雇用に関する項目で特に増加していることが分かります。特に、賃金改定や解雇に関する争議が増加しており、経済状況や労働市場の変化が労働者の要求に強く影響を与えていることが伺えます。一方で、組合保障や労働協約に関する争議が減少している点も興味深く、組合活動の見直しや労働条件の改善に向けた動きが進んでいる可能性があります。

これらの結果は、企業の採用担当者や人事部門にとっても重要な指針となるでしょう。労働争議の増加やその内容に対する理解を深めることで、従業員との良好な関係を維持し、組織内の安定を図るための戦略を立てる際の参考となります。

最後に、企業が今後直面する可能性のある労働争議を未然に防ぐためには、労働者の声に耳を傾け、適切な対策を講じることが求められます。賃金や労働条件に関する透明性を高め、労働者の安心感を醸成することが、企業の安定した運営に寄与するでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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