2024年7月4日
労務・人事ニュース
令和5年の日本GDPが5.7%成長、求人倍率1.31倍、完全失業率2.6%に改善
令和6年度中央最低賃金審議会目安に関する小委員会(第1回)資料 資料No.1_ 主要統計資料(厚労省)
全国の主要統計資料は、国内経済や雇用状況、賃金動向などの多岐にわたる分野のデータを提供しています。以下では、その一部を詳しく説明します。
まず、国内総生産(GDP)の推移に注目します。平成20年から令和5年までの期間で、日本のGDPは概ね成長を続けていますが、一部の年では減少も見られます。特に平成21年には前年に比べて6.2%の減少がありましたが、その後は徐々に回復し、令和5年には5.7%の成長を記録しました。この成長には、製造工業の稼働率や鉱工業生産指数の改善が寄与しており、特に令和3年以降はこれらの指数も上昇しています。
次に、求人倍率と完全失業率の動向を見てみます。求人倍率は、平成26年の1.09倍から令和5年の1.31倍に上昇しています。これは、労働市場における求人数の増加を示しており、特に製造業やサービス業での求人が増加しています。一方、完全失業率は、平成26年の3.6%から令和5年には2.6%に低下しています。これは、経済回復とともに雇用機会が増加したことを反映しています。特に若年層の失業率が大幅に改善しており、平成26年には15~24歳の失業率が6.3%であったのに対し、令和5年には4.1%となっています。
賃金に関しては、現金給与総額の増減率が注目されます。平成29年から令和5年までの期間で、賃金は全体的に上昇傾向にあります。特に大規模事業所(500人以上)では賃金の上昇が顕著であり、令和5年には前年同期比で1.8%の増加を記録しています。また、パートタイム労働者の比率も注目されます。平成27年には25.40%であったパートタイム労働者の比率は、令和5年には24.53%に若干低下していますが、依然として高い水準を維持しています。
労働時間についても重要な指標です。月間労働時間の動きでは、所定内労働時間と所定外労働時間の推移が見られます。平成28年から令和5年にかけて、所定内労働時間は概ね減少傾向にあります。例えば、平成28年には135.8時間であったのが、令和5年には131.7時間となっています。一方、所定外労働時間は一部の年で増加しており、労働者の負担が増している可能性があります。
また、春季賃上げ妥結状況も重要なデータです。令和6年のデータでは、連合(労働組合)と経団連(経済団体)の間で賃上げが実施され、平均的な賃上げ額や率が報告されています。連合の第6回回答集計結果によれば、439組合の1,889,865人が平均で16,508円、5.24%の賃上げを受けています。経団連の大手企業の集計結果でも同様に、賃上げが報告されており、全体的に賃金の引き上げが進んでいることが示されています。
消費者物価指数(CPI)も重要な経済指標です。全国およびランク別の消費者物価指数の対前年上昇率の推移を見てみると、物価は緩やかに上昇しています。特に令和5年には、前年度比で3.8%の上昇を記録しており、物価の上昇が家計に影響を及ぼしています。
地域別最低賃金額の推移も重要な情報です。平成26年から令和5年までの間に、最低賃金額は着実に引き上げられており、地域間の賃金格差の是正が進んでいます。例えば、令和5年の全国平均最低賃金は1,013円であり、これを基に多くの地域で最低賃金が設定されています。
最後に、企業の業況判断及び収益に関するデータも見逃せません。日銀短観による業況判断(DI)では、企業規模別に業況が報告されており、大企業は全体的に好調な業況を示しています。経常利益の増減や売上高経常利益率も企業規模別に分析されており、特に大企業の収益性が高いことがわかります。中小企業の業況も改善傾向にあり、景気回復の兆しが見られます。
以上の統計データは、日本の経済状況や労働市場の動向を把握するために非常に重要です。これらのデータを基に、政策立案や企業戦略の策定が行われ、持続可能な経済成長を目指す取り組みが進められています。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ