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2025年3月14日

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令和5年の農作業死亡事故236件、高齢者の事故率85.6%!安全対策が急務

令和5年の農作業死亡事故について(農水省)

令和5年に発生した農作業死亡事故の詳細な統計が農林水産省から公表されました。この調査は、全国の農作業に伴う死亡事故の発生状況や原因を把握することを目的として行われ、厚生労働省の「人口動態調査」のデータを用いて、令和5年1月1日から12月31日までの1年間の農作業死亡事故について取りまとめたものです。調査の結果、令和5年の農作業死亡事故は236件発生し、前年より2件減少しましたが、依然として高い水準にあります。

死亡事故を事故区分別に見ると、最も多かったのは農業機械作業による事故で、147人が亡くなりました。これは農作業死亡事故全体の62.3%を占めており、過去数年間と同様に最も大きな割合を占める結果となりました。次いで多かったのが機械・施設以外の作業中の事故で、83人が亡くなっており、全体の35.2%を占めています。農業用施設作業による事故は6人で、全体の2.5%にとどまりました。特に農業機械事故の発生率が依然として高いことから、安全対策の強化が求められます。

農業機械事故の内訳を見ると、「乗用型トラクター」による事故が最も多く、61人が亡くなりました。これは農作業死亡事故全体の25.8%を占めており、農業機械の中でも特に危険性が高いことがわかります。次いで、「自脱型コンバイン」による事故が13人(5.5%)、「農用運搬車(軽トラックを含む)」による事故が12人(5.1%)と続いています。これらの3つの機械で、農作業死亡事故全体の36.4%を占めています。

農業機械事故の原因を分析すると、「機械の転落・転倒」が最も多く、60人が亡くなっています。特に「乗用型トラクター」の事故では、「機械の転落・転倒」が33人(当該機種による事故の54.1%)を占め、最も多い要因となっています。また、「自脱型コンバイン」による事故でも「機械の転落・転倒」が7人(53.8%)を占め、次いで「ひかれ」と「回転部等への巻き込まれ」がそれぞれ2人(15.4%)という結果でした。農用運搬車では、「機械の転落・転倒」が4人(33.3%)で最も多く、次いで「挟まれ」と「ひかれ」がそれぞれ3人(25.0%)を占めました。

農業用施設作業による事故は比較的少ないものの、高所作業による危険性が指摘されています。施設事故の原因を見ると、作業舎の屋根など高所からの「墜落・転落」が4人(66.7%)と最も多く、次いで「落下物による事故」が1人(16.7%)という結果でした。

機械・施設以外の作業に伴う事故では、「熱中症」が最も多く、37人(44.6%)が亡くなりました。特に夏場の気温が高い時期には、熱中症による死亡事故のリスクが高まり、十分な休憩や水分補給が不可欠であることが改めて強調されました。次いで多かったのは「稲ワラ焼却中等の火傷」で、17人(20.5%)が亡くなっています。

年齢階層別に農作業死亡事故を分析すると、65歳以上の高齢者が関与する事故が圧倒的に多く、全体の85.6%(202人)を占めました。特に「80歳以上」の事故件数が108件(45.8%)と最も多く、次いで「70~79歳」が77件(32.6%)でした。高齢者による事故の割合は依然として非常に高く、高齢化が進む農業現場において、安全対策の充実が不可欠であることを示しています。

月別の死亡事故発生件数を見ると、「7月」と「8月」がそれぞれ35件(14.8%)で最も多く、次いで「9月」が29件(12.3%)、「10月」が28件(11.9%)となりました。特に夏場の猛暑が影響して、熱中症による死亡事故が増加していることが背景にあると考えられます。

これらのデータから、農作業における安全対策の強化が不可欠であることが改めて浮き彫りになりました。特に農業機械作業による事故が最も多く発生しているため、トラクターやコンバインの使用時の安全教育を徹底する必要があります。また、高齢者の事故が圧倒的に多いことから、高齢農業従事者向けの安全対策を強化することも重要です。さらに、熱中症による死亡事故が増加しているため、夏場の作業環境の見直しや、適切な休憩・水分補給の指導を徹底することが求められます。

⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ

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