2024年9月3日
労務・人事ニュース
令和5年度、石川労働局が報告する労働相談件数が4年連続で1万件!企業の労務管理が問題に・・・。
令和5年度の個別労働紛争解決制度の施行状況をまとめました(石川労働局)
令和5年度の個別労働紛争解決制度の施行状況に関する内容をもとに、石川労働局が発表した報告書では、労働者と事業主間の労働紛争に関する相談や解決の取り組みが詳細に記されています。この報告は、企業の人事担当者や労働問題に関心を持つ方々にとって非常に有用な情報源となるでしょう。令和5年度の施行状況を見てみると、総合労働相談件数は11,017件に達し、4年連続で1万件を超える高い水準を維持していることがわかります。これは、労働者の権利意識の向上や、職場における問題が顕在化している現状を反映していると言えます。
総合労働相談の内訳を見ると、民事上の個別労働紛争に関する相談が2,700件に上り、前年度比で2.3%増加していることが確認できます。特に「自己都合退職」に関する相談が531件(全体の16.9%)と最も多く、次いで「いじめ・嫌がらせ」に関する相談が472件(15.1%)、「その他の労働条件」に関する相談が337件(10.8%)と続いています。これらのデータは、企業内での退職手続きや労働条件の不備、職場環境の悪化が依然として労働者にとって重大な問題であることを示唆しています。
また、石川労働局長による助言・指導の申出件数は92件であり、前年の118件から大幅に減少しています。助言・指導の内容に関しては、「その他の労働条件」に関する申出が37件(34.9%)と最も多く、次いで「雇用管理改善等」に関する申出が16件(15.1%)と続いています。これらのデータから、労働者の労働条件や職場環境に対する不満が依然として根強いことがわかります。
一方、石川紛争調整委員会によるあっせんの申請件数は18件で、前年度の34件から半減しています。申請内容の内訳を見ると、「普通解雇」に関する申請が6件(31.6%)と最も多く、次いで「雇用管理改善等」に関する申請が3件(15.8%)となっています。あっせんを通じた紛争解決の結果、13件(59.1%)が合意に至っていることから、紛争解決の手段としてのあっせんが一定の成果を上げていることがうかがえます。
このように、令和5年度の個別労働紛争解決制度の施行状況は、労働者の権利保護や企業における労務管理の課題を浮き彫りにしています。労働相談の高止まりや、特定の紛争事案が増加傾向にあることから、企業の採用担当者や経営者は、労働環境の改善や適切な労働条件の提供に一層注力する必要があります。特に、退職手続きやハラスメントに関する問題は、早急な対応が求められます。
この報告書が示すデータは、企業が労働環境を見直し、労働者との信頼関係を築くための重要な指針となるでしょう。適切な労務管理と、労働者の声に耳を傾ける姿勢が、企業の持続的な発展につながることは間違いありません。
⇒ 詳しくは石川労働局のWEBサイトへ