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2024年11月10日

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令和5年度の人工妊娠中絶件数が3.3%増加、若年層の課題に企業が対応すべき理由

令和5年度衛生行政報告例の概況 母体保護関係(厚労省)

令和5年度の母体保護関連の統計によると、人工妊娠中絶件数は前年度に比べて増加し、合計126,734件に達しました。この数字は、前年の122,725件に対して4,009件、つまり3.3%の増加を示しています。この増加の背景には、特に若年層の中絶件数の増加が関係していると考えられます。具体的には、「20歳未満」の年齢層において、中絶件数は10,053件に上り、前年の9,569件から484件、すなわち5.1%の増加を記録しました。

この統計をさらに詳しく見ると、特に「19歳」が4,707件と最多で、続いて「18歳」が2,641件となっています。また、人工妊娠中絶の実施率(女子人口千対)は5.3であり、年齢階級別にみると「20~24歳」が10.8で最も高く、次いで「25~29歳」が8.9という結果でした。「20歳未満」では、「19歳」が8.4で最も高く、続いて「18歳」が5.0となっています。これらのデータは、若年層における妊娠中絶が依然として多いことを示しており、特に19歳と18歳の年齢層に集中していることがわかります。

過去の年次推移を比較しても、人工妊娠中絶件数には減少傾向が見られていましたが、令和5年度はその傾向が逆転し、再び増加に転じました。特に、20~24歳および25~29歳の層における中絶件数の増加が目立ち、両者とも前年より6.6%の増加を記録しています。30~34歳の層でもわずかに増加しており、前年比1.4%の増加率を示しています。

一方で、35~39歳の年齢層では、人工妊娠中絶件数が21,379件と前年の21,947件から減少し、減少率は2.6%となっています。さらに、40~44歳の層でもわずかな増加が見られ、11,170件と前年の11,079件から0.8%増加しましたが、全体的に高年齢層での増加率は低い傾向にあります。45~49歳の層ではさらに減少が見られ、1,073件と前年の1,127件から4.8%の減少を記録しています。

このような年齢別の中絶件数と実施率の推移は、年齢に応じた妊娠のリスクやライフステージの違いを反映していると考えられます。特に20~24歳の若い層では、中絶件数が最も多く、次いで25~29歳の層が続いています。この傾向は、若年層における妊娠に対する教育や避妊方法の普及が、まだ不十分である可能性を示唆しています。また、30代以降の年齢層では、仕事や家庭環境の安定に伴って妊娠のリスクが変動していると考えられます。

令和5年度のデータによると、若年層における人工妊娠中絶の増加が懸念されており、特に19歳と18歳の年齢層での増加が顕著です。この背景には、妊娠予防に対する教育やアクセスの問題が依然として存在していることが考えられ、今後の対策が求められています。また、中絶に関するカウンセリングやサポート体制の整備が、これらの若年層の女性に対してより重要になるでしょう。

以上の統計データは、政府や地方自治体が母体保護に関する政策を見直し、特に若年層に対する妊娠予防や中絶後のサポート体制を強化する必要性を強く示しています。こうした取り組みを進めることで、将来的には若年層における中絶件数を減少させ、女性の健康と福祉を守ることができるでしょう。

これに対して、企業の採用担当者にとっても重要な示唆があります。採用活動において、若年層のライフステージや社会的背景を理解し、支援を行うことがますます重要となっているからです。例えば、若年層の従業員に対して、仕事と生活のバランスを保つためのサポートや、妊娠・出産に関する相談窓口の設置、あるいはフレキシブルな勤務形態を提供することが、企業の魅力を高め、優秀な人材の定着を促す効果が期待されます。特に、女性従業員が安心して働ける環境を提供することで、企業全体の生産性向上にもつながるでしょう。

さらに、企業が提供する福利厚生やサポート体制が、妊娠中絶に直面する可能性のある若年層にとってどのように役立つかを考慮することが重要です。従業員が個々のライフイベントに対応できるよう、柔軟なサポートを提供することで、企業はより多様な人材を確保し、職場の多様性を促進することができます。

最終的に、この統計データは、日本全体の人口動態や労働力の供給に対する示唆を含んでいます。若年層の中絶件数の増加は、長期的には出生率や労働力の減少に影響を与える可能性があり、これを踏まえた企業の戦略的な採用方針の見直しが求められます。特に、女性のライフイベントに柔軟に対応できる環境整備が、今後の企業の成長にとって重要な課題となるでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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