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2024年8月11日

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令和5年度の厚生年金保険収支決算、歳入49兆700億円と歳出46兆7084億円の詳細発表

令和5年度「厚生年金保険・国民年金の収支決算の概要」を公表します(厚労省)

令和5年度の厚生年金保険および国民年金の収支決算に関する報告が発表されました。この報告は、日本の年金制度の健全性と持続可能性を評価する上で重要な指標となります。まず、厚生年金保険の収支について詳細に述べます。

厚生年金保険の令和5年度における歳入は49兆700億円で、前年度に比べて816億円減少しました。この歳入の主な内訳として、保険料収入の増加が挙げられます。被保険者数の増加と平均標準報酬月額の上昇が影響し、保険料収入は1兆1119億円増加しました。しかし、基礎年金勘定への繰入(基礎年金拠出金)の減少により、一般会計からの受入が減少し、結果として歳入全体が前年度を下回ることになりました。

一方、厚生年金保険の歳出は46兆7084億円で、こちらも前年度に比べて1兆7544億円減少しました。この減少の背景には、基礎年金受給者への支給を確実にするために必要と見込まれた金額の繰入が減少したことがあります。具体的には、基礎年金勘定への繰入が2兆510億円減少したことが影響しています。また、一人あたりの給付費は増加しているものの、全体の歳出は抑えられた形となりました。

これらの結果、令和5年度の歳入歳出差は2兆3616億円となり、前年度から大幅に増加しました。この歳入歳出差は積立金に繰り入れられ、決算結了後の積立金は簿価ベースで117兆1309億円、時価ベースでは243兆478億円となり、前年度から45兆5086億円増加しました。

次に、国民年金の収支決算について説明します。令和5年度における国民年金の歳入は3兆7410億円で、前年度より942億円減少しました。これは、被保険者数の減少による保険料収入の減少や、基礎年金勘定への繰入の減少による一般会計からの受入の減少が主な要因です。一方、年金積立金管理運用独立行政法人からの納付金が600億円増加したことは、歳入の減少を一部補う形となりました。

歳出については、3兆5032億円となり、前年度より2245億円減少しました。これは、年金受給者数の減少による国民年金給付費の減少や、基礎年金勘定への繰入の減少が主な要因です。結果として、令和5年度の歳入歳出差は2377億円となり、前年度から1302億円増加しました。この差額は積立金に繰り入れられ、決算結了後の積立金は簿価ベースで8兆1232億円、時価ベースでは12兆5173億円となり、前年度から2兆654億円増加しました。

さらに、令和5年度の厚生年金保険と国民年金の積立金についても触れておきます。厚生年金保険の積立金は、簿価ベースで117兆1309億円、時価ベースでは243兆478億円に達し、前年度よりも大幅に増加しました。この増加は、保険料収入の増加や歳出の減少が寄与しています。同様に、国民年金の積立金も簿価ベースで8兆1232億円、時価ベースでは12兆5173億円と、いずれも前年度から増加しました。

これらの結果は、日本の年金制度が今後も持続可能であることを示していますが、同時に年金制度を取り巻く環境は依然として厳しいことも明らかにしています。特に、被保険者数の動向や年金受給者数の変化、保険料収入の増減が今後の年金財政に与える影響は、引き続き注視する必要があります。政府や関係機関は、これらの動向を踏まえた上で、適切な政策対応を講じることが求められます。

最後に、これらのデータが示すように、年金制度の収支は多くの要因に影響されるため、制度の健全性を維持するためには、持続的な見直しと適応が必要です。今後も、社会の変化に柔軟に対応しながら、年金制度が国民にとって信頼できるものとなるよう、引き続き努力が求められます。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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