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2025年3月6日

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令和5年度の土地取得額は1,057億円!全国の土地開発公社の動向を徹底分析

令和5年度土地開発公社事業実績調査結果概要(総務省)

令和7年2月21日に公表された「令和5年度土地開発公社事業実績調査結果」をもとに、全国の土地開発公社の動向について詳しく解説する。この調査は、全国の道府県や市区町村の土地開発公社が実施した事業の成果や保有土地の状況を明らかにするために行われたものであり、土地の取得状況や保有状況の変化を分析することで、今後の都市開発や公有地活用の方向性を探る重要な指標となる。

まず、全国の土地開発公社の数についてみると、令和6年4月1日現在の公社数は553となり、前年の578から25減少した。これは、各自治体において土地開発公社の統合や解散が進められていることを示しており、長期的な傾向として土地開発公社の数が減少していることがわかる。この背景には、財政の厳しさや、行政が直接土地取得や開発を行う方針への転換があると考えられる。

次に、土地取得の実績をみると、令和5年度の土地取得額は1,057億円となり、前年度の1,073億円から1.5%減少した。また、取得面積についても331haとなり、前年度の443haから25.3%減少している。このように土地取得が縮小傾向にあることから、各自治体が新規の土地取得に慎重になっていることがうかがえる。これは、人口減少や都市の再開発の進展などにより、新たな土地開発の必要性が低下していることも影響していると考えられる。

一方で、土地の保有状況については、令和5年度末の時点で全国の土地開発公社が保有する土地の総額は6,866億円で、前年の7,330億円から6.3%減少した。土地の保有面積も4,068haとなり、前年度の4,312haから5.7%の減少を記録している。特に、道府県レベルでみると、保有土地の金額は1,874億円で、前年の2,121億円から11.6%減少し、指定都市レベルでは226億円で前年の248億円から8.9%減少している。また、市区町村レベルでも4,766億円で、前年の4,961億円から3.9%減少しており、全国的に土地開発公社の保有土地が縮小傾向にあることが明らかとなった。

公有地先行取得事業に関しては、令和5年度末時点での保有額は5,146億円で、前年の5,271億円から2.4%減少した。また、土地造成事業に関しても、令和5年度末時点での保有額は1,721億円で、前年の2,059億円から16.4%の大幅な減少となった。これらのデータは、全国的に土地開発公社が新規の土地取得や造成事業を抑制し、既存の土地の有効活用や処分を進めていることを示している。

また、長期保有土地の状況に目を向けると、令和5年度末時点で5年以上保有している土地は4,201億円で、全体の61.2%を占めており、前年の4,531億円から7.3%減少している。同様に、10年以上保有している土地は3,779億円で、全体の55.0%を占めており、前年の4,140億円から8.7%減少した。このことから、長期にわたって保有されている土地についても、積極的な活用や売却が進められていることがわかる。

全国の土地開発公社の中でも、道府県、公社、指定都市公社、市区町村公社によって保有状況は異なる。例えば、道府県土地開発公社では、令和5年度末時点での保有額は1,874億円であり、そのうち5年以上保有している土地は60.0%、10年以上保有している土地は58.8%となっている。これに対して、指定都市公社では保有額が226億円で、5年以上保有している土地は95.9%、10年以上保有している土地は94.5%と非常に高い割合を占めている。一方、市区町村土地開発公社では4,766億円の保有額のうち、5年以上保有している土地が60.0%、10年以上保有している土地が58.8%となっている。

このように、全国の土地開発公社の土地取得や保有状況は、全体として減少傾向にあり、特に長期保有土地の削減が進められていることがわかる。これは、土地の有効活用を促進するための政策や、財政的な負担の軽減を図るための施策が影響していると考えられる。また、新規の土地取得が減少している背景には、都市の再開発の進展や人口減少による土地需要の変化があると考えられる。

今後の課題としては、既存の土地をどのように有効活用するかが重要なポイントとなる。特に、長期間保有されている土地の活用策や、売却の進め方について、自治体ごとに具体的な戦略が求められる。また、人口減少が進む中で、都市部だけでなく地方の土地活用についても、新たな視点での検討が必要となる。例えば、公共施設やインフラ整備、民間事業者との連携による新たな土地利用計画などが求められるだろう。

⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ