2024年11月6日
労務・人事ニュース
令和5年度の鉄道輸送安全報告、運転事故681件で死傷者577人発生
鉄軌道輸送の安全に関わる情報(令和5年度)を公表(国交省)
令和5年度の鉄道輸送における安全性に関する情報をもとに、最新のデータを交えた鉄道輸送の現状を報告します。国土交通省の発表によると、運転事故や輸送障害の件数は依然として重大な課題となっていますが、長期的な減少傾向が見られる項目もあります。本報告は、令和5年度のデータに基づき、鉄道運転事故の詳細や死傷者数、輸送障害の増加傾向について分析し、鉄道事業者や関係者にとって有益な情報を提供するものです。
令和5年度における運転事故の総件数は681件にのぼり、これは前年より97件増加しています。死傷者数は577人で、そのうち294人が死亡しており、前年より19人増加しています。特に、踏切事故は全体の37.9%を占めており、258件の事故が報告されています。この踏切事故による死傷者数は165人で、うち104人が死亡しています。このデータから、踏切での事故は依然として深刻な問題であり、安全対策のさらなる強化が求められていることがわかります。
運転事故の中でも、列車事故は比較的少ないものの、その影響は大きいです。令和5年度には列車事故が9件発生しており、うち列車の衝突事故は2件、脱線事故が7件報告されています。衝突事故による死傷者数は1人で、脱線事故による死傷者数は3人となっています。これらの事故は、鉄道の安全運行に対する重大なリスクを示しており、特に列車の脱線や衝突に関する対策が急務となります。
また、踏切における事故の発生状況を見ると、直前横断による事故が132件発生しており、これは全体の51.2%に当たります。踏切道に接近している列車にもかかわらず、無理に横断を試みることが主な原因となっているようです。さらに、エンストや落輪による事故も30.2%を占めており、自動車や軽車両が踏切内で進退不能となるケースが多く見受けられます。こうした事故は、警報機や遮断機の設置だけでは防ぎきれない部分もあり、運転者や歩行者の意識向上が求められています。
人身障害事故についても触れる必要があります。令和5年度には381件の人身障害事故が報告されており、そのうち死亡者数は188人となっています。これらの事故の多くは、ホームからの転落や線路内への立ち入りによるもので、特にホーム上での列車との接触事故が150件発生しています。これは前年から30件増加しており、公共交通機関としての鉄道の安全性が問われています。ホームでの事故防止には、ホームドアの設置や安全対策の強化が必要不可欠です。
次に、輸送障害の状況について見ていきます。輸送障害とは、列車の運休や30分以上の遅延を指しますが、令和5年度には7,088件が報告され、これは前年から159件増加しています。特に、鉄道係員や車両、鉄道施設などの内部要因による輸送障害が1,555件発生しており、全体の21.9%を占めています。また、外部要因による輸送障害も3,669件と過半数を占め、これには線路内への立ち入りや風水害、地震などの自然災害が含まれています。自然災害による輸送障害は1,864件発生しており、これも前年から増加傾向にあります。
これらのデータから、鉄道輸送における安全性は依然として課題が残されていることが明らかです。特に、踏切事故やホームでの人身事故、輸送障害の増加が目立っており、鉄道事業者や国土交通省はさらなる対策を講じる必要があります。鉄道輸送の安全を確保するためには、技術的な改善だけでなく、利用者の意識改革や安全教育の強化も重要です。
最後に、鉄道輸送における安全性向上のためには、以下の点が挙げられます。まず、踏切における直前横断を防ぐための厳しい罰則や監視カメラの導入が必要です。また、ホームドアの設置や安全柵の整備を進めることで、ホームでの事故を減少させることができます。さらに、列車の脱線や衝突事故を防ぐためには、定期的な設備点検やメンテナンスの徹底が求められます。鉄道事業者と国が一体となって、これらの施策を推進することが、今後の安全な鉄道輸送に不可欠となるでしょう。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ