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2024年7月11日

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令和5年度全国輸出入コンテナ貨物流動調査結果発表、国際戦略港湾の利用率59.7%に増加

国際コンテナ戦略港湾への集貨が拡大 ~全国輸出入コンテナ貨物流動調査結果からみた国際海上コンテナ物流の動向~(国交省)

令和6年7月3日、港湾局計画課から発表された「全国輸出入コンテナ貨物流動調査結果」から、日本の国際海上コンテナ物流の動向が明らかになりました。今回の調査は令和5年度に実施され、5年ごとに行われる定期調査です。この調査の結果は、我が国の効率的な物流体系を構築するための港湾政策や港湾整備計画の企画立案に活用されています。

まず、調査の概要ですが、国土交通省港湾局は、日本発着の国際海上コンテナの流動実態を把握するため、この調査を実施しました。調査は令和5年11月1日から30日までの1ヶ月間行われ、この期間中に通関申告が行われた海上コンテナ貨物が対象となりました(空コンテナは含まれません)。具体的な調査内容としては、国内の生産地から海外の仕向国までの輸出と、海外の原産国から国内の消費地までの輸入の流動実態が含まれます。

次に、国際海上コンテナ物流の動向についてですが、今回の調査結果では、日本の外貿コンテナ貨物取扱量の港湾別シェアが明らかになりました。国際戦略港湾である京浜港(東京港、横浜港、川崎港)および阪神港(大阪港、神戸港)の割合は59.7%となり、前回調査の57.7%から増加しました。また、外貿コンテナ貨物量の国別シェアでは、中国や韓国が減少し、インドやベトナムが増加する傾向が見られました。

京浜港と阪神港の役割も再確認されました。京浜港は東日本全体、阪神港は西日本全体を広く背後圏としており、日本の輸出入を支える基幹インフラとして機能しています。特に、国際フィーダー航路が新たに開設された生産地や消費地からの貨物が増加し、京浜港では東北地域、阪神港では秋田県や熊本県からの利用割合が増加しました。また、長距離輸送貨物については、国際戦略港湾と国内各港を結ぶ国際フィーダー航路を利用した貨物量の割合が54.2%となり、前回調査の30.6%から大きく増加しました。

この調査結果を受け、国際コンテナ戦略港湾政策の取り組みも推進されています。政策目標は、北米・欧州航路をはじめ、中南米やアフリカなど多方面・多頻度の直航サービスを充実させ、日本のサプライチェーンの強靭化を図ることです。また、物流の2024年問題、労働力不足、脱炭素、サイバー攻撃への対応などの課題に対処するため、国際コンテナ物流のデジタルトランスフォーメーション(DX)とグリーントランスフォーメーション(GX)を加速し、情報セキュリティ対策も強化します。

具体的な施策としては、「集貨」「創貨」「競争力強化」の三本柱があります。集貨では、北米・中南米地域向けの貨物を中心に、東南アジアなどからの広域集貨に向けた輸送ルートの構築やコンテナターミナルの一体利用の推進が含まれます。創貨では、国際トランシップ貨物にも対応した流通加工や再混載などの複合機能を有する物流施設の立地支援や物流手続きの円滑化が図られます。競争力強化では、大水深・大規模コンテナターミナルの形成や生産性向上と労働環境改善に資する荷役機械等の技術開発・実装によるDXの推進が行われます。

これらの施策により、日本の国際海上コンテナ物流の効率化と競争力強化が期待されています。今回の調査結果をもとに、国土交通省はさらに詳細な分析を行い、今後の物流政策の方向性を明確にしていく予定です。

また、調査結果の詳細は政府統計の総合窓口「e-Stat」および国土交通省港湾関係統計データのホームページで公表されています。調査票情報の利用については、統計法第33条に基づき、公的機関との共同研究において統計的研究等の目的に必要な範囲で提供が可能です。詳細については、国土交通省港湾局計画課企画室に問い合わせることができます。

以上のように、令和5年度全国輸出入コンテナ貨物流動調査の結果から、日本の国際海上コンテナ物流の現状と今後の方向性が示されました。今後も定期的な調査を通じて、効率的で競争力のある物流体系の構築が進められることが期待されます。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ