労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 令和5年度医科医療費、全国で+3.7%の増加を記録-被用者保険は+4.5%、大学病院は+8.0%

2024年9月20日

労務・人事ニュース

令和5年度医科医療費、全国で+3.7%の増加を記録-被用者保険は+4.5%、大学病院は+8.0%

医科医療費(電算処理分)の動向~令和5年度版~(厚労省)

令和5年度における医科医療費の動向に関する集計結果が公表されました。これは、厚生労働省が医科(入院および入院外)の医療費の動向を迅速に把握するために実施している電算処理分のレセプトデータに基づくものです。この集計結果は、医療保険行政に必要な基礎資料を提供する目的で毎月行われています。今回の公表では、全国の医療費の動向や伸び率が詳細に分析されており、制度別、医療機関の種類別、地域別、年齢階級別など、様々な観点から医療費の推移が明らかにされています。

まず、令和5年度の医科医療費全体の伸び率は前年度比で+3.7%と堅調に推移しており、これは受診延日数の+2.8%の増加と、1日当たり医療費の+0.9%の上昇が影響しています。特に被用者保険では+4.5%と大きく伸びており、後期高齢者医療制度でも+5.8%の増加が見られました。一方で、国民健康保険では▲1.1%と減少しており、地域や保険制度による格差が浮き彫りになっています。

医療機関の種類別では、大学病院で+8.0%、公的病院で+5.8%と大幅な増加が見られる一方で、病床数200床未満の医科病院では+2.7%、医科診療所では+2.0%の増加にとどまっています。このことから、大規模な医療機関ほど医療費の伸び率が高い傾向があることがわかります。

都道府県別に見ると、最も医療費の伸び率が高かったのは滋賀県の+5.5%で、最も低かったのは佐賀県の+0.8%でした。また、年齢階級別に分析すると、5歳以上10歳未満の年齢層が+10.3%と最も大きく伸びており、70歳以上75歳未満では▲2.1%と減少していることが確認されました。特に、5歳から10歳未満の子供の医療費が大きく増加していることは、若年層における医療サービスの利用増加を示唆しています。

疾病分類別では、循環器系の疾患が+3.4%、新生物が+6.3%、筋骨格系および結合組織の疾患が+4.8%、腎尿路生殖器系の疾患が+2.9%といった結果が示されました。特に、呼吸器系の疾患に関しては+19.0%と大幅な増加が見られ、これはパンデミックや季節性インフルエンザの影響が考えられます。

診療内容別に見ると、入院基本料や特定入院料等が+2.1%、DPC包括部分が+8.5%、薬剤料が+7.5%、検査・病理診断が+0.3%、手術・麻酔が+6.0%と、それぞれ異なる伸び率が見られます。これらのデータは、医療機関が提供するサービス内容によって医療費の増減が異なることを示しており、今後の医療費抑制策を考える上で重要な指標となるでしょう。

さらに、今回の報告では、医療費全体に占める電算処理分の割合も明らかにされました。令和5年度における電算処理分の医療費は全体の97.5%を占めており、電算処理の普及率が非常に高いことがわかります。このことは、今後の医療費管理や政策立案においても、電算処理データの活用が重要であることを示しています。

最後に、調査結果から見えてきた課題として、地域や保険制度による医療費の格差が挙げられます。特に、国民健康保険において医療費が減少している一方で、被用者保険や後期高齢者医療制度では増加している点は、今後の医療政策において重要な検討材料となるでしょう。また、医療機関の規模による医療費の伸び率の違いも注目すべきポイントであり、地域医療の充実と均衡を図るための施策が求められます。

このように、令和5年度の医科医療費の動向は、日本の医療制度における課題と今後の方向性を示す重要なデータとなっています。特に、医療費の効率的な管理と地域格差の是正に向けた取り組みが必要であり、政策担当者や医療機関にとっても重要な参考資料となるでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ