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2025年1月14日

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令和5年度地方公務員の採用競争率4.6倍!過去10年間で最低値を記録

地方公務員における働き方改革に係る状況 ―令和5年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要―(総務省)

令和5年度に実施された地方公務員の勤務条件に関する調査は、全国の都道府県や市区町村、指定都市を含む1788団体を対象に実施され、その結果は多岐にわたる興味深い傾向を示しました。本調査は、勤務時間、休暇取得、採用試験の競争率や働き方改革の実施状況について詳細に分析されています。

まず、地方公務員の採用競争試験について注目すべき点は、受験者数の長期的な減少傾向と合格者数の増加傾向です。令和5年度の受験者数は約39万9200人と前年度から約4万人減少しましたが、合格者数は約8万6750人と増加し、競争率は4.6倍まで低下しました。これにより、競争率は10年前と比較して約半減していることが明らかになっています。この現象は、若年人口の減少や公務員人気の低下が背景にあると考えられます。

一方、中途採用試験の動向にも大きな変化が見られます。令和5年度の受験者数は約7万6500人で前年度より約3450人減少しましたが、採用者数は約1万1130人と増加し、採用倍率は6.9倍から5.1倍に下がりました。中途採用の活性化が進む一方で、多様な人材を受け入れる動きが加速していることが窺えます。

勤務時間に関しては、地方公務員の平均時間外勤務時間が減少傾向にあります。令和5年度の月間平均時間外勤務時間は11.8時間、年間では約141時間となり、いずれも前年度から減少しました。さらに、時間外勤務が月45時間を超える職員の割合は全体の4.8%、月100時間以上の職員は0.3%と極めて低い水準で推移しています。これは働き方改革の成果と見られます。

柔軟な勤務時間制度の導入も進展しています。例えば、特定の理由を必要とせず勤務時間を調整できる「時差出勤制度」を導入している団体が全体の約30%に達し、育児や介護のための勤務時間調整制度を活用する割合も依然として高水準です。このような施策は、職員のワークライフバランスの改善に寄与しています。

休暇取得の状況も顕著な変化を見せています。令和5年度の年次有給休暇の平均取得日数は14.0日で、前年度から1.4日増加しました。これは民間企業の平均取得日数11.0日を大きく上回っていますが、国家公務員の平均16.2日には依然として及びません。育児休業に関しては、男性職員の取得率が47.6%に達し、過去最高を記録しました。この結果は、政府が掲げる育児休業取得率向上の目標に向けて大きな進展を示しています。

また、メンタルヘルス対策については、ほぼ全ての都道府県と指定都市で何らかの施策が実施されています。職場復帰支援プログラムの策定や教育研修の実施など、職員の健康管理を支援する取り組みが進んでおり、特にセルフケアの促進が重視されています。

さらに、安全衛生管理体制の整備状況も注目されています。総括安全衛生管理者の選任率はほぼ100%に達し、職場巡視の実施率や衛生委員会の開催率も改善が進んでいます。しかし、一部の市区町村や町村では整備が遅れている点が課題として残っています。

こうした調査結果から、地方公務員の働き方改革が進展している一方で、人口減少や採用競争率の低下など、新たな課題も浮き彫りになっています。これらのデータは、地方公共団体がこれからの公務員採用戦略や働き方改革を進める上で重要な指針となるでしょう。

⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ

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