2024年9月3日
労務・人事ニュース
令和5年度末、全国の汚水処理人口普及率が93.3%に到達、約1億1,614万人が利用可能に

令和5年度末の汚水処理人口普及状況について(農水省)
令和5年度末の汚水処理人口普及状況に関する最新の調査結果が、農林水産省、国土交通省、環境省の三省合同で発表されました。この調査は、各省が所管する農業集落排水施設、下水道、浄化槽などの汚水処理施設の普及状況を確認し、その普及率を統一的な指標として公表するものです。令和5年度末時点での全国の汚水処理人口普及率は93.3%に達し、これは前年の92.9%から0.4ポイント増加したことになります。
この普及率の増加は、地方自治体が「都道府県構想」に基づいて地域の実情に応じた汚水処理施設の整備を進めてきた成果といえるでしょう。具体的には、全国で約1億1,614万人が汚水処理施設を利用している一方で、約830万人がいまだに施設を利用できない状況にあります。これらの未普及地域に対しては、今後も早急な対策が求められます。
汚水処理施設の普及状況を施設別に詳しく見ていくと、最も利用されているのは下水道施設で、その利用人口は約1億128万人、普及率は81.4%となっています。次いで、浄化槽が約1,177万人、普及率9.5%、農業集落排水施設等が約294万人、普及率2.4%、そしてコミュニティ・プラントによるものが約15万人、普及率0.1%となっています。これらの数字からも、下水道が全国的に最も普及していることが明らかですが、浄化槽や農業集落排水施設等も一定の役割を果たしていることがわかります。
特に、人口5万人未満の市町村では、汚水処理人口普及率が全国平均を下回る84.0%となっています。この地域では、前回の調査から0.6ポイントの増加が見られるものの、依然として全国平均に対して遅れを取っています。これは、都市部に比べてインフラ整備が遅れていることや、人口密度が低く、施設整備のコストが高いことが一因と考えられます。また、農村部や過疎地では、既存のインフラを利用することが難しく、個別の浄化槽やコミュニティ・プラントの設置が求められるケースが多いです。
地方公共団体は、このような地域特性を考慮した「都道府県構想」を策定し、効率的かつ効果的な汚水処理施設の整備を進めています。国もこれを支援する形で、技術的助言や財政的支援を行い、地域の実情に応じた施設整備の促進を図っています。特に、未普及地域の早期解消に向けては、今後も一層の努力が必要とされるでしょう。
さらに、汚水処理人口普及率の向上は、地域住民の生活環境の改善に直結します。適切な汚水処理が行われることで、河川や地下水の水質が保たれ、環境保全にも大きく寄与します。また、こうしたインフラの整備は、地域経済の活性化にもつながり、特に農業や観光業などの産業基盤の強化にも寄与します。
今後、国と地方公共団体は協力して、汚水処理施設のさらなる普及と未普及地域の早期解消を目指していくことが求められます。地域ごとに異なる課題に対しては、柔軟かつ適切な対応が必要であり、特に農村部や過疎地における浄化槽の普及やコミュニティ・プラントの導入が重要となるでしょう。また、都市部では、既存の下水道網の老朽化対策や、人口増加に対応した施設の拡充が求められています。
今回の調査結果は、地方公共団体が今後の汚水処理施設の整備計画を策定する上で重要なデータとなります。また、住民にとっても、自身の住む地域がどのようにインフラ整備されているのかを知る貴重な機会となるでしょう。国と地方の連携によって、汚水処理人口普及率をさらに向上させ、すべての国民が安全で衛生的な環境で生活できるよう取り組んでいくことが必要です。
以上のことから、汚水処理施設の整備とその普及状況は、環境保全や地域振興にとって極めて重要な課題であり、今後も継続的な努力が求められます。これにより、地域の持続可能な発展が実現され、住民の生活の質が向上することが期待されます。
⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ