2024年11月10日
労務・人事ニュース
令和5年度末の薬局数は佐賀県が人口10万人あたりトップ、沖縄県は最下位
令和5年度衛生行政報告例の概況 薬事関係(厚労省)
令和5年度末時点での薬局数は全国で62,828施設となり、前年度から453施設、0.7%増加しました。この増加は、日本全国での医療ニーズの変化や地域ごとの人口動態が影響していると考えられます。特に、地方部と都市部では薬局の設置数に顕著な違いが見られ、都道府県別に見ると、人口10万人あたりの薬局数は佐賀県が64.5と最も多く、次いで高知県が60.4、山形県が60.0となっています。これらの地域は比較的小規模な都市であることが多く、地域住民に対する医薬品の供給体制が整っていることが伺えます。
一方で、沖縄県では人口10万人あたりの薬局数が39.4と最も少なく、次いで千葉県が42.7、埼玉県が43.7という結果でした。これらの県は、比較的都市化が進んでおり、他の医療施設や医薬品提供方法が発達している可能性があります。また、薬局の少ない地域では、地域の医療提供体制や薬局へのアクセスに課題が残っているかもしれません。
これらのデータは、地域ごとの医療サービスの充実度やニーズを反映しており、今後の医療政策や薬局業界の動向に大きな影響を与える可能性があります。特に、高齢化社会に向けて、地域住民の健康維持や医薬品へのアクセスを確保するためには、薬局の設置や運営に関する政策が重要な役割を果たすことが予想されます。
令和5年度のデータでは、都道府県ごとの薬局数の増減にも注目する必要があります。例えば、大阪府では4,611施設から4,500施設へと111施設減少し、減少率は2.5%となっています。これは大規模な都市部における薬局の競争が激化している可能性を示唆しています。また、滋賀県では655施設から673施設へと増加し、2.7%の増加率を記録しました。このように、地域ごとに異なる増減の要因があることがわかります。
また、薬局の設置数が増加している一方で、薬局が地域の健康管理に果たす役割も進化しています。近年では、単なる医薬品の提供にとどまらず、健康相談や処方薬の管理、さらにはオンラインでの相談サービスなど、多様な役割を担うようになってきています。特に高齢者の多い地域では、薬局が地域医療の中核として機能し、医療機関と連携しながら地域住民の健康維持に寄与することが求められています。
これからの日本の薬局業界は、高齢化や医療ニーズの多様化に対応するため、薬剤師のスキル向上や薬局のサービス提供の多様化が重要なテーマとなってくるでしょう。また、医療機関との連携を強化し、地域住民が安心して薬を利用できる体制を整えることが重要です。特に、地方においては医療機関が少ないため、薬局が担う役割がますます大きくなると考えられます。
さらに、都道府県ごとの薬局数に関するデータは、薬局業界の経営者や投資家にとっても重要な情報です。特定の地域での薬局の増加や減少は、その地域の医療需要や競争環境を反映しており、今後の投資や事業展開の指針となる可能性があります。例えば、薬局が少ない地域では新たな薬局の設置がビジネスチャンスとなる一方、既に多くの薬局が存在する地域では、差別化戦略や付加価値のあるサービス提供が求められるでしょう。
全体として、令和5年度末の薬局数データは、日本の医療提供体制の現状を示すものであり、今後の政策決定やビジネス展開において重要な指標となることが予想されます。医療と地域社会のニーズが多様化する中で、薬局が果たす役割はますます大きくなっていくでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ