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2024年7月7日

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令和5年度過労死等の労災補償状況発表、脳・心臓疾患の請求1,023件で死亡247件

令和5年度「過労死等の労災補償状況」を公表します(厚労省)

厚生労働省は、令和5年度の「過労死等の労災補償状況」を発表しました。この報告では、過重労働が原因で発症する脳・心臓疾患や、職場の強いストレスが原因で発病する精神障害についての労災請求件数と支給決定件数がまとめられています。過労死等防止対策推進法に基づき、業務による過重負荷が原因で生じるこれらの疾患や死亡事例が詳細に報告されています。

まず、脳・心臓疾患に関する労災補償状況について、令和5年度には1,023件の請求があり、前年度より220件増加しました。特に死亡件数は29件増えて247件に達しました。支給決定件数は214件で、前年度より20件増加し、うち56件が死亡事例でした。業種別では「運輸業、郵便業」が最も多く、請求件数は244件、支給決定件数は75件でした。職種別では「輸送・機械運転従事者」が最も多く、請求件数は200件、支給決定件数は67件となっています。年齢別では「50~59歳」が最も多く、請求件数は404件、支給決定件数は96件でした。時間外労働時間別では、評価期間1か月で「100時間以上~120時間未満」が最も多く、24件の支給決定がありました。

次に、精神障害に関する労災補償状況については、令和5年度に3,575件の請求があり、前年度より892件増加しました。自殺や自殺未遂を含む事例は212件で、前年度より29件増加しています。支給決定件数は883件で、前年度より173件増加し、うち79件が自殺や自殺未遂によるものでした。業種別では「医療、福祉」が最も多く、請求件数は888件、支給決定件数は219件でした。職種別では「専門的・技術的職業従事者」が最多で、請求件数は990件、支給決定件数は259件となっています。年齢別では「40~49歳」が最も多く、請求件数は953件、支給決定件数は239件でした。時間外労働時間別では「20時間未満」が63件で最も多く、次いで「100時間以上~120時間未満」が55件でした。精神障害の発病に関与する出来事としては、パワーハラスメントが最も多く157件、次いで悲惨な事故や災害の体験が111件、セクシュアルハラスメントが103件となっています。

さらに、裁量労働制対象者に関する労災補償状況については、脳・心臓疾患の支給決定件数が3件で、専門業務型裁量労働制対象者が2件、企画業務型裁量労働制対象者が1件でした。精神障害の支給決定件数は6件で、全て専門業務型裁量労働制対象者に対するものでした。

また、複数業務要因災害については、脳・心臓疾患の決定件数が18件で、そのうち5件が支給決定されました。精神障害の決定件数は11件で、そのうち4件が支給決定されています。

この報告は、過労死等の防止に向けた具体的な施策の必要性を示すものであり、労働環境の改善に向けた取り組みを促進するための重要な資料となります。労働者の健康と安全を守るため、労働環境の見直しや適切な労働時間管理、メンタルヘルスケアの強化が求められています。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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