2024年9月3日
労務・人事ニュース
令和5年度 山形労働局の紛争解決施行状況公表、自己都合退職が相談最多で全体の19.4%を占める
「令和5年度 個別労働紛争解決制度等の施行状況」を公表します ~民事上の個別労働紛争の相談は「自己都合退職」が最多 ~(山形労働局)
令和5年度の山形労働局による個別労働紛争解決制度の施行状況が公表され、その内容が明らかになりました。この制度は、労働者と事業主との間で発生する労働条件や職場環境に関するトラブルを未然に防ぐとともに、発生したトラブルの早期解決を目指すもので、総合労働相談、労働局長による助言・指導、紛争調整委員会によるあっせんの3つの方法があります。
まず、総合労働相談の件数は9,235件と報告され、前年と比較して0.8%減少しましたが、民事上の個別労働紛争に関する相談件数は2,138件と3.9%増加しました。これに関連する相談内容として最も多かったのは「自己都合退職」に関するもので、全体の19.4%に当たる415件が報告されています。「いじめ・嫌がらせ」が301件で続き、「解雇」に関する相談が272件とされています。
このような背景から、労働局長による助言・指導の申出件数も増加傾向にあり、102件の申出がありました。前年と比較して24.4%増加しており、その中でも「自己都合退職」や「雇用管理改善」に関する助言・指導が多くを占めています。助言・指導の結果、申出があった案件の多くが解決に至っており、特に退職に関するトラブルや職場環境の改善において、法令に基づいた適切な対応が取られたことが報告されています。
一方、紛争調整委員会による「あっせん」申請件数は減少し、11件と前年から35.3%減少しています。あっせんの内容としては、解雇に関するものが最も多く、全体の45.5%を占めています。あっせんの結果、合意が成立したケースもありましたが、解決に至らないケースも少なくなく、労働者と事業主間の紛争解決における調整の難しさが浮き彫りになっています。
また、令和4年4月に全面施行された改正労働施策総合推進法に基づき、職場におけるパワーハラスメントに関する相談や対応が強化され、これに伴う紛争解決の援助も行われています。具体的な事例として、パワハラを受けた労働者からの申し立てに対し、労働局が事業主に対して適切な対応を求める助言を行い、問題の解決に向けた取り組みが進められたことが挙げられます。
山形労働局では、これらの制度を通じて、引き続き個別労働紛争の未然防止と迅速な解決を目指して取り組んでいく方針を示しています。労働相談や助言・指導、あっせんを通じて、多様な労働問題に対応することで、労働環境の改善と労働者の権利保護を図る取り組みが行われていることが分かります。
このような施行状況は、地域の労働者や事業主にとって重要な情報であり、労働局が提供する相談や支援の制度を積極的に活用することが求められます。今後も労働局は、適切な対応とサポートを通じて、労働者が安心して働ける環境づくりに寄与していくことが期待されます。
⇒ 詳しくは山形労働局のWEBサイトへ