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2024年10月7日

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令和5年建築工事費、総額約29兆円に達する:建築業界の最新動向を解析

建築工事費調査(令和5年分)の調査結果について(国交省)

令和6年9月30日、総合政策局情報政策課建設経済統計調査室が、令和5年の建築工事費調査の結果を公表しました。この調査は、全国の建築着工物を対象に、工事床面積や工事実施額などを調査し、完成した建築物の工事費用を把握するために行われるものです。調査結果は政府統計の総合窓口である「e-Stat」にも掲載されています。建築業界や政府関係者にとって、この調査は非常に重要なものであり、工事費用の動向や建築物の規模に関するデータは今後の経済政策やインフラ整備に影響を与える可能性があります。

まず、この調査は「建築着工統計調査」の一部を構成する標本調査です。全国の着工建築物について、完成時の工事床面積や工事実施額などを詳細に調べています。令和5年分の調査は、令和2年までは「補正調査」として都道府県を通じて行われていたものの、令和3年からは国が直接実施する「建築工事費調査」として新たに実施されました。この変更により、より迅速で精度の高いデータの収集が可能となり、今後の経済や建築産業の動向を把握する上で非常に有用な情報が提供されています。

令和5年の調査では、完成・中止した建築物についての実施状況を推計しており、9,509棟の建築物が調査対象となりました。そのうち、6,488棟分のデータが回答として得られました。具体的な調査結果としては、令和5年に完成した建築物の工事実施床面積および工事実施額が報告されています。工事実施床面積については、木造建築物が約4,570万平方メートル、非木造建築物が約6,900万平方メートルと推計されています。これに対し、工事実施額は木造建築物で約9兆7,574億円、非木造建築物では約19兆7,352億円という結果となりました。

このデータは、建築業界の規模や経済的な影響力を如実に示しており、今後の建築業界における資材調達や人件費、インフラ整備の計画にも大きな影響を与えることが予想されます。特に、非木造建築物の工事費用が木造建築物に比べて大幅に高いことから、都市部の大型建築物や商業施設、公共施設の建設が進んでいることが伺えます。このような建築物は、国や地方自治体の経済政策の中心となり、都市の再開発や新たなインフラ整備計画に組み込まれることが多いです。

また、建築工事費の増加は、資材価格の高騰や労働力不足など、建築業界が直面する課題とも関連しています。世界的な原材料価格の上昇や人件費の増加が、工事費用全体に影響を与えていることは明白です。このような背景から、建築業界は今後もコスト管理や効率化を図るための新たな技術導入や、労働力の確保に向けた取り組みを進めていく必要があります。

政府は、この調査結果をもとに今後の政策を策定し、建築業界の成長を促進するための施策を検討するとともに、持続可能な建築物の普及や都市計画の推進にも力を入れる見通しです。特に、環境負荷を軽減するための省エネルギー建築物や再生可能エネルギーを活用した建物の増加が期待されています。このような建築物は、将来的に資産価値が高まるとともに、地域経済の活性化にも寄与するでしょう。

さらに、調査結果から見えるトレンドとして、地方での建築活動の活発化が挙げられます。都市部に比べて土地や建築コストが低いため、地方での商業施設や住宅の建設が進んでおり、特に二地域居住やリモートワークの普及に伴い、地方への移住を希望する人々のニーズに応える形で建築需要が高まっています。このような地方での建築活動は、地域の経済振興にも大きく貢献しており、地方創生の一環として政府も支援を強化しています。

今回の調査結果は、企業の経営判断にも大きな影響を与えるでしょう。建築工事費用の動向は、企業が新たな施設を建設する際の重要な指標となり、コスト予測やプロジェクトの採算性を見極める上で欠かせない要素です。特に大規模な商業施設や工場の建設を検討している企業にとって、工事費用の増減は事業計画に直結するため、今回の調査結果を参考にしてコスト管理を徹底することが求められます。

加えて、今後の建築業界の展望としては、デジタル化の進展による効率化が期待されています。例えば、建設プロジェクトの管理においては、AIやIoT技術を活用することで、施工の進捗状況をリアルタイムで把握したり、資材の使用量を最適化したりすることが可能です。このような技術革新は、建築工事費の削減に貢献するとともに、品質管理の向上にも繋がります。

今回の建築工事費調査の結果は、業界全体に多くの示唆を与えるものであり、企業や自治体、さらには一般市民にとっても、今後の建築物に関する意思決定を行う際の重要な指針となるでしょう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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