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2024年12月30日

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令和5年調査結果に基づく受療率分析 75歳以上の入院受療率が3,351、外来は11,333と高齢者層の医療ニーズの増加が鮮明に

令和5年(2023)患者調査の概況 受療率(厚労省)

令和5年の患者調査における受療率の結果が公表され、国内の医療利用状況が詳細に分析されました。この調査によると、全国の受療率(人口10万人あたり)は、「入院」が945、「外来」が5,850と報告されています。受療率は性別や年齢階級、傷病分類、地域別に細かく分けられており、それぞれの特徴が明らかにされています。

性別で見ると、入院において男性の受療率は893、女性は995と、女性がやや高い結果でした。一方、外来受療率は男性が5,118、女性が6,544と、女性が男性を大きく上回りました。年齢階級別に分析すると、65歳以上の高齢者層で受療率が特に高いことが顕著で、入院では65歳以上が2,449、75歳以上になると3,351に達しました。同様に外来受療率も75歳以上で11,333と非常に高く、高齢者の医療需要が増加している現状を示しています。

年齢階級別の年次推移を見た場合、65歳以上の層が常に最も高い受療率を示しており、特に外来では0~14歳の層が令和5年において昭和59年以降最も高い値を記録しました。この結果は、子どもの医療ニーズが増加している可能性も示唆しています。

傷病分類別では、入院で最も受療率が高かったのは「精神及び行動の障害」(171)で、次いで「循環器系の疾患」(147)、「損傷、中毒及びその他の外因の影響」(107)という結果でした。一方、外来では「消化器系の疾患」(994)が最も高く、「健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用」(803)、「循環器系の疾患」(677)が続きました。このことから、疾患の種類によって医療利用の形態に大きな差があることがわかります。

地域別に見た場合、入院受療率が最も高かったのは「高知」(1,785)で、次いで「鹿児島」(1,743)、「長崎」(1,651)が上位を占めました。一方、最も低かったのは「神奈川」(665)で、「東京」(671)、「埼玉」(702)も低い結果となりました。外来受療率では「和歌山」(6,846)がトップで、「香川」(6,807)、「愛媛」(6,598)が続きました。最も低かったのは「沖縄」(4,528)で、「京都」(4,867)、「滋賀」(5,144)も同様に低水準でした。

これらの結果は、日本国内での医療資源の地域的な偏在や、高齢化の進展による医療需要の増加を如実に反映しています。高齢者を中心とした医療ニーズが多様化する一方で、地域間の格差が大きな課題となっています。例えば、高齢化が進む地方では入院受療率が高い傾向がある一方で、都市部では比較的低く抑えられていることが分かります。また、外来受療率においても地域間で2,000近い差があり、医療アクセスや利用状況の格差が浮き彫りになっています。

さらに、疾患別に見た場合、外来における「消化器系の疾患」の受療率が非常に高い一方で、入院では「精神及び行動の障害」が突出しており、疾患特性に応じた医療体制の整備が求められます。また、高齢者層においては「循環器系の疾患」の割合が高く、特に脳血管疾患や心疾患などの慢性疾患への対応が重要とされています。

これらのデータを基に、医療機関や行政は、地域ごとの課題に応じた医療提供体制の強化を図る必要があります。具体的には、高齢者向けの医療サービスの充実や、地方と都市部の医療格差を是正する取り組みが求められます。また、地域住民が適切に医療を利用できる環境を整備することも急務です。これにより、国民全体の医療アクセスが向上し、医療の質がさらに高まることが期待されます。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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