2024年9月13日
労務・人事ニュース
令和5年転職者データ分析 60~64歳男性が最も高い転職率、女性は若年層で活発
令和5年 雇用動向調査結果の概要 転職入職者の状況(厚労省)
令和5年に実施された転職者の入職状況調査から、年齢や性別による転職率、転職の理由、賃金の変動状況に関する詳細なデータが明らかになりました。これらのデータは、企業の採用担当者にとって、採用戦略を立てる上で重要な指標となります。
まず、転職入職率に関しては、年齢や性別により大きく異なる傾向が見られました。男性では60~64歳の年齢層で転職率が高く、一方で女性は55~59歳以下の年齢層で男性を上回る転職率を示しています。このような傾向は、女性の方が若年層から中年層にかけて、転職活動が活発であることを示唆しています。また、就業形態別に見た場合、男性、女性ともに20~24歳以下の階級を除くすべての年齢層で、パートタイム労働者の方が一般労働者よりも転職率が高くなっています。
次に、転職者が前職を辞めた理由についてのデータでは、男女間で異なる傾向が見られました。男性の転職者の中で最も多かった理由は「定年・契約期間の満了」であり、16.9%を占めています。これに次いで「職場の人間関係が好ましくなかった」という理由が9.1%を占めています。一方、女性では「その他の個人的理由」が25.1%と最も多く、「職場の人間関係が好ましくなかった」が13.0%で続いています。特に、女性において「職場の人間関係が好ましくなかった」という理由が前年と比較して2.6ポイント上昇しており、これは企業が職場環境の改善を求められる重要な課題となっています。
さらに、賃金の変動状況に関する調査結果も注目すべき点です。令和5年のデータでは、転職者の37.2%が前職よりも賃金が増加しており、特に「1割以上の増加」を経験した割合は25.6%でした。一方で、賃金が減少した割合は32.4%で、そのうち「1割以上の減少」が23.4%を占めています。前年と比較すると、「賃金が増加した割合」は2.3ポイント上昇し、「1割以上の増加」を経験した割合も1.1ポイント増加しています。これは、賃金が減少した割合を上回る形で賃金増加が進んでいることを示しています。特に、雇用期間の定めがない一般労働者間での移動においては、賃金が増加した割合が12.3ポイント、パートタイム労働者間の移動では9.0ポイント上回っており、雇用形態によっても賃金変動の傾向が異なることが分かります。
このような詳細なデータは、企業の採用戦略に大きな影響を与える可能性があります。転職率の高さや転職理由、賃金変動の状況を把握することで、企業はより効果的な採用戦略を立てることができるでしょう。特に、女性の転職理由に関するデータからは、職場環境の改善が求められていることが明確に示されています。また、賃金の増加が転職者にとって重要な要素であることも明らかであり、企業は競争力のある賃金体系を提供することが求められています。
これらの調査結果を基に、企業の採用担当者は、採用活動をより効率的に進めるための戦略を立てることができるでしょう。特に、若年層や中年層の女性の転職活動が活発であることや、賃金の増加が重要な要因であることを考慮に入れた採用戦略が必要です。また、職場環境の改善や柔軟な労働条件の提供も、優秀な人材を引き付けるためには欠かせない要素となるでしょう。企業がこれらのデータを活用して、効果的な採用戦略を立てることで、優秀な人材の獲得と保持が可能となるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ