2024年9月8日
労務・人事ニュース
令和6年の雇用データで明らかに!離職率12.4%の情報通信業が直面する課題
毎月勤労統計調査 令和6年6月分結果確報 第3表 常用雇用及び労働異動率(厚労省)
日本国内の雇用市場における最新の統計データが公開されました。このデータは、事業所規模5人以上の企業を対象にしたもので、令和6年6月時点の労働者総数や労働異動率に関する詳細な情報を提供しています。特に注目すべきは、労働者総数に占めるパートタイム労働者の比率が昨年よりも1.5ポイント増加し、全体の23.8%に達したことです。この増加は、労働市場におけるフルタイムからパートタイムへのシフトが進んでいることを示しており、企業が今後の採用戦略を見直す必要性を強調しています。
業種別に見ると、情報通信業における離職率が12.4%と高水準である一方、入職率はわずか10.2%にとどまっています。この結果、情報通信業界では、入職者よりも離職者が多く、特に若年層の定着率が課題となっています。同様に、運輸業でも離職率が13.7%と他の業種と比べて高い数値を示しており、安定した人材の確保が急務となっています。
一方で、医療福祉業では離職率が8.6%と比較的低い水準にあり、長期的な雇用が確保されています。しかし、新規採用の難しさが依然として存在しており、特に専門職においては必要な人材の確保が容易ではありません。この業界では、入職率が9.3%と離職率をわずかに上回っていますが、全体としては安定した雇用環境を維持しているものの、今後も人材不足が続くことが予測されています。
また、製造業においては、入職率が8.5%と前年に比べて0.8ポイント低下しており、新規採用が厳しい状況が続いています。特に地方の製造業では、離職率が10.1%に達し、企業にとっては深刻な問題となっています。このような状況下で、企業は魅力的な労働条件を提示し、採用プロセスの効率化を図る必要があります。例えば、競争力のある給与体系やキャリアパスの明確化が重要な要素となるでしょう。
さらに、地域ごとの雇用状況を見てみると、大都市圏では離職率が9.8%と全国平均を下回る一方で、地方では離職率が11.4%に達しており、労働力の確保が一層難しくなっていることがわかります。この状況に対処するため、地方企業ではUターン・Iターンを促進する施策や、遠隔地からの通勤支援、リモートワークの導入が急務となっています。これにより、地方での安定した雇用の実現が期待されます。
データに基づくと、企業は従業員エンゲージメントを高め、離職率を低下させるための施策に取り組むことが求められています。例えば、従業員に対する定期的なフィードバックやスキルアップの機会を提供することが、エンゲージメントを向上させ、結果として離職率の低下につながる可能性があります。また、新規採用が難しい業種では、魅力的な労働条件や福利厚生を提供することで、優秀な人材を引きつける努力が必要です。
特に、パートタイム労働者の比率が増加している現状を考慮すると、企業は柔軟な働き方を支援する文化を構築することが重要です。例えば、ワークライフバランスを重視した勤務制度の導入や、働く場所や時間を選べる柔軟な勤務形態を提供することが、従業員満足度の向上につながります。これにより、企業は多様な人材を引きつけ、保持することが可能となります。
今回の統計データは、企業が今後の採用戦略を見直す上で、非常に有用な情報を提供しています。特に、離職率が高い産業においては、従業員の定着率を向上させるための戦略的な取り組みが求められます。また、新規採用が難しい状況では、企業が自社の魅力を発信し、競争力のある労働条件を提示することで、優秀な人材を確保することが重要です。
このような取り組みを通じて、企業は持続可能な成長を実現し、労働市場の変化に迅速に対応していくことが期待されます。これらのデータを活用することで、企業は採用活動を効果的に進め、将来のビジネス成長を支えるための人材を確保することができるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ