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2024年9月30日

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令和6年上半期の農業景況調査結果、肉用牛の景況DIがマイナス59.6で最低を記録

令和6年上半期農業景況DIは、やや改善するもマイナス値が継続 ~肉用牛で大幅なマイナス値、生産コスト高は全業種で継続~ <農業景況調査(令和6年7月調査)>(日本公庫)

2024年9月18日、日本政策金融公庫(以下、日本公庫)農林水産事業は、令和6年7月に実施した「農業景況調査」の結果を発表しました。この調査は、融資先の農業者を対象に景況感や生産コスト、設備投資の状況についてアンケート形式で実施され、国内の農業の現状を広く示すものとなっています。特に注目されるのは、令和6年上半期の農業全体における景況DI(Diffusion Index)がマイナス値を継続している点です。DIは、経営が「良くなった」と答えた割合から「悪くなった」と答えた割合を引いたもので、プラスであれば景気が改善していると判断されますが、マイナスの場合は悪化していることを示します。

調査によると、令和6年上半期の農業景況DIはマイナス21.5であり、令和5年の実績から5.4ポイント上昇したものの、依然としてマイナス圏にとどまっています。また、業種別では全業種がマイナス値を記録しており、特に肉用牛の景況DIはマイナス59.6と極めて低い数値を示しました。これに対し、稲作や畑作、施設野菜なども軒並みマイナスを記録しており、国内農業の厳しい経済状況が浮き彫りになっています。

さらに、令和6年通年の見通しも発表されており、景況DIはマイナス16.6と予測されています。これは上半期のマイナス21.5から4.9ポイント上昇するものの、依然として景気回復が十分に進んでいないことを示唆しています。農業経営全般の厳しさは依然として続いており、特に生産コストの上昇が大きな課題として挙げられています。

生産コストDIは、令和6年上半期でマイナス80.6を記録しており、令和5年の実績から4.0ポイント改善したものの、依然として大幅なマイナスを維持しています。この結果は、国内農業が高コスト構造に苦しんでいる現状を示しています。特に、燃料費や飼料コストの上昇が生産者に大きな負担をかけており、肉用牛や酪農などの畜産業種では、この影響が顕著です。例えば、肉用牛の生産コストDIはマイナス59.6、酪農(北海道)の生産コストDIもマイナス40.7と、厳しい状況が続いています。

一方で、設備投資に関しては、わずかながら改善の兆しが見られます。令和6年に「設備投資予定あり」と回答した農業者の割合は53.2%であり、令和5年からほぼ横ばいで推移しました。特に稲作(都府県)では62.1%が設備投資を計画しており、養豚業でも55.1%と高い割合が見られます。一方で、酪農(北海道)や肉用牛、ブロイラーなどでは設備投資を計画している割合が40%程度と、他の業種に比べて低い水準にとどまっています。このことから、業種によって投資意欲に差があることが分かります。

また、調査対象の農業者の45.5%が、前年に比べて設備投資額が「増加する」と回答しており、農業経営の改善に向けた投資が徐々に進んでいることも示唆されています。ただし、これらの投資は依然として限られた業種や地域に集中しており、全体的な農業経営の改善にはもう少し時間がかかると見られています。

資金繰りに関しても、令和6年上半期の資金繰りDIはマイナス24.5であり、令和5年実績から1.9ポイント改善していますが、厳しい状況が続いています。特に、肉用牛ではマイナス52.1と、大幅なマイナスが記録されており、業種間で資金繰りの格差が広がっていることが分かります。一方、販売単価DIはプラス6.2を維持しており、販売価格の上昇が一部業種で見られます。特に養豚ではプラス63.7と大幅なプラスを記録しており、豚肉価格の上昇が生産者にとって追い風となっていることが伺えます。

最後に、雇用状況についても触れておくべきです。雇用状況DIはマイナス37.2と、令和5年からほぼ横ばいで推移しており、農業分野における人手不足が依然として深刻な問題となっています。特に、酪農や畜産業ではこの傾向が顕著であり、業界全体として労働力の確保が課題となっています。

今回の調査結果からは、国内農業の厳しい現状が改めて浮き彫りになりました。生産コストの上昇や資金繰りの悪化、雇用問題など、多くの課題が山積していますが、設備投資や販売単価の上昇など、部分的には改善の兆しも見られます。今後、これらの改善傾向がどの程度広がり、国内農業の活性化に繋がるかが注目されます。

⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ

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