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2024年7月21日

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令和6年全国賃金改定状況調査結果 製造業から医療福祉までの賃金動向

令和6年度中央最低賃金審議会目安に関する小委員会(第2回)資料 資料No.1_令和6年賃金改定状況調査結果(厚労省)

令和6年に実施された賃金改定状況調査の結果が発表されました。この調査は全国の様々な産業における賃金改定の実施状況を明らかにするために行われました。調査対象となった産業は、製造業、卸売業・小売業、学術研究・専門技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、医療・福祉、そして他に分類されないサービス業の7つのカテゴリーに分類されます。

調査は全国16,373の事業所を対象に実施され、そのうち5,149事業所からの回答が得られました。これにより、回収率は31.4%となりました。調査対象の事業所は、事業所母集団データベースを基に、常用労働者数が30人未満の企業に属する民営事業所から都道府県別、産業別、事業所規模別に層化無作為抽出により選定されました。

調査の結果、2024年1月から6月の間に賃金改定を実施した事業所の割合は、多くの産業で見られました。具体的には、賃金引上げを実施した事業所の割合が最も高かったのは医療・福祉業であり、賃金引上げ率は平均で3.5%に達しました。これに対し、賃金引下げを実施した事業所はほとんど見られず、賃金の引下げ率は全体的に低く抑えられていました。

また、賃金改定の実施時期に関しては、多くの事業所が例年通りの時期に賃金改定を行ったことがわかりました。特に製造業や卸売業・小売業では、昨年と比較して賃金改定の時期が変わらなかった事業所の割合が高くなっています。

男女別の賃金上昇率についても分析されており、男性一般労働者の賃金上昇率は平均2.7%、女性一般労働者の賃金上昇率は平均3.1%と、女性の方がやや高い上昇率を示しました。パートタイム労働者の賃金上昇率も全体的に上昇しており、男性パートタイム労働者の賃金上昇率は平均3.2%、女性パートタイム労働者の賃金上昇率は平均3.5%となっています。

産業別に見ると、学術研究・専門技術サービス業や宿泊業・飲食サービス業では、賃金引上げを実施した事業所の割合が他の産業と比較して高くなっています。特に学術研究・専門技術サービス業では、賃金引上げ率が平均4.5%に達し、最も高い上昇率を示しました。

一方、賃金引下げを実施した事業所の割合が高かったのは、宿泊業・飲食サービス業と生活関連サービス業・娯楽業でした。これらの産業では、新型コロナウイルス感染症の影響による業績の悪化が続いており、賃金引下げを余儀なくされた事業所も見られました。

今回の調査結果からは、日本全体で賃金の引上げが進んでいることが確認されましたが、産業や地域によってその状況にはばらつきがあることも明らかになりました。特に、地域別の賃金改定状況を見ると、首都圏や大都市圏での賃金引上げ率が高い傾向が見られ、地方では賃金改定が遅れている地域も存在します。

また、賃金改定を行わなかった事業所の割合も一定数存在しており、特に小規模事業所では賃金改定が難しい状況が続いていることが示されています。これに対し、政府や地方自治体による支援策の強化が求められています。

今後の課題としては、賃金改定を行うための財源確保や、労働者の生産性向上に向けた取り組みが重要となります。特に中小企業においては、持続可能な賃金改定を実現するために、経営基盤の強化や業務効率化の推進が必要です。

今回の調査結果は、日本全体の賃金動向を把握する上で貴重なデータとなるだけでなく、各企業が自社の賃金政策を見直す際の参考資料としても活用されることが期待されます。また、労働市場の動向を踏まえた賃金改定の実施により、労働者の生活の安定と企業の競争力強化が図られることが望まれます。

令和6年の賃金改定状況調査の結果をもとに、今後も継続的に賃金動向のモニタリングを行い、適切な政策対応が求められます。特に、経済の回復が見込まれる中で、賃金上昇を通じて内需の拡大を図ることが重要です。企業は賃金改定を通じて労働者のモチベーションを高め、労働生産性の向上を目指すことが求められます。

また、地域間の賃金格差を是正するために、地方創生や地域経済の活性化に向けた取り組みも必要です。地方自治体や地域の企業が連携し、地域の魅力を高めることで、優秀な人材の確保と定着を図ることが求められます。

総じて、令和6年の賃金改定状況調査結果は、日本の労働市場の現状を反映しており、今後の賃金政策や労働政策の立案において重要な参考資料となることでしょう。

参考:資料No.1_令和6年賃金改定状況調査結果

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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