2024年11月9日
労務・人事ニュース
令和6年夏の賞与支給率88.1%!中小企業での賞与支給の有無に注目
夏の賞与の支給状況(厚労省)
令和6年の夏の賞与の支給状況や労働組合からの賃上げ要求についての調査結果をもとに、企業の賃金動向について解説します。調査によると、令和6年の夏の賞与を支給した、または支給予定の企業は全体の88.1%に達し、前年の86.0%から若干増加しています。特に、大企業においては賞与支給率が高く、5000人以上の企業ではほぼ全ての企業が賞与を支給している状況です。一方で、中小企業においては賞与を支給しない企業も一定数存在し、特に100〜299人規模の企業では、8.2%の企業が賞与を支給していないと回答しています。また、業種別に見ると、宿泊業や飲食サービス業では支給しない企業の割合が17.8%と、他の業種と比べて非常に高い数値となっています。これらのデータから、企業規模や業種によって賞与支給の有無が大きく異なることがわかります。
また、労働組合がある企業における賃上げ要求の状況についても調査されています。令和6年において、労働組合がある企業の割合は全体の24.5%と前年の20.5%から増加しています。賃上げ要求交渉が行われた企業の割合は80.2%であり、前年の88.9%から減少したものの、依然として多くの企業が賃上げ交渉を行っています。特に、企業規模が大きいほど交渉の実施率が高く、5000人以上の企業では91.4%が交渉を行っています。一方で、100〜299人規模の中小企業では76.0%にとどまっています。このように、企業規模や業種、労働組合の有無によって賃金に対する取り組み方には差があることが明らかです。
この調査結果は、企業がどのように賃金や賞与を支給しているか、また労働者側が賃上げ要求をどの程度行っているかを示すものであり、採用担当者にとっても重要な参考資料となります。特に、企業規模や業種による違いを理解することで、自社の賃金方針を他社と比較する際の指標として活用できるでしょう。企業が優秀な人材を確保するためには、賃金や賞与の支給状況だけでなく、労働組合との交渉や社員の満足度向上にも配慮する必要があります。特に、賞与や賃上げが社員のモチベーションに大きく影響することを考えると、他社と比較してどのような待遇を提供しているかを検討することが求められます。
さらに、企業の労働組合が賃上げ要求を行う背景には、物価上昇や生活費の増加が影響していると考えられます。これに対して企業側がどのように対応するかが、今後の採用や人材定着に大きく関わってくるでしょう。特に、大手企業では労働組合との協議を通じて、比較的高い賃上げや賞与の支給を実現していますが、中小企業ではその対応が難しい場合も多いです。企業が持続的に成長し、人材を確保・定着させるためには、賃金政策の見直しや柔軟な労働条件の提供が重要となるでしょう。
また、業界ごとの差異にも注目すべきです。例えば、製造業や建設業では、比較的高い割合で賞与が支給されており、労働者への還元が進んでいます。一方で、宿泊業や飲食サービス業など、コロナ禍の影響を受けやすい業界では、賞与の支給が難しい企業も多く見られます。このような業界ごとの特徴を把握することで、他社との比較を行いながら、自社の賃金体系を最適化するための指針を得ることができます。
採用担当者にとって、こうした賃金動向を理解することは、採用戦略の一環として非常に重要です。特に、競争力のある給与水準や待遇を提供することで、優秀な人材を引き寄せることが可能になります。企業が成長し続けるためには、適切な賃金政策を策定し、従業員のモチベーションを維持・向上させることが求められます。この調査結果を基に、企業は自社の賃金体系や賞与の支給方針を見直し、より競争力のある待遇を提供することが重要です。
さらに、労働市場の動向や物価の上昇に対応するためには、企業は柔軟な賃金政策を導入することが求められます。特に、中小企業においては、経営状況に応じて賞与や賃上げを柔軟に調整することで、社員の満足度を維持しながら競争力を高めることが可能です。また、労働組合との協議を通じて、労働者の意見を反映させた賃金政策を導入することも重要です。賃金交渉が行われることで、企業と労働者の間で相互理解が深まり、労働環境の改善につながる可能性が高まります。
以上のように、令和6年の賃金引上げ等の実態に関する調査は、企業の賃金動向を把握するための貴重なデータを提供しています。企業の採用担当者は、このデータを参考にしながら、賃金や賞与の支給方針を検討し、優秀な人材を確保するための戦略を立てることが重要です。特に、他社との比較や業界動向を把握することで、自社の競争力を高めるための具体的な施策を導入することが求められます。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ