2024年10月6日
労務・人事ニュース
令和6年度、全国の保健師数が39,205人に!増加する保健師の役割とは?
令和6年度 保健師活動領域調査(領域調査)の結果について(厚労省)
令和6年度の保健師活動領域調査は、保健師の業務内容や配属状況、退職・採用の動向などを詳しく把握するために実施されました。調査は全国47都道府県と1,741市区町村の自治体に所属する全ての保健師を対象に行われ、5月1日時点のデータを基にまとめられています。今回の調査は、毎年実施される「領域調査」であり、保健・医療・福祉・介護の各分野での保健師の役割と実態を分析し、今後の施策に反映させるための基礎データとして活用されるものです。
まず、常勤保健師の数は前年に比べて677人増加し、令和6年度には合計で39,205人となりました。内訳を見ると、都道府県に所属する保健師は103人増加し、5,898人となり、全体の15.0%を占めています。一方、市区町村に所属する保健師は574人増加して33,307人であり、全体の85.0%に及んでいます。特に市区町村における保健師の増加が顕著で、地域での保健活動がますます重要視されていることが伺えます。
保健師の所属部門についても詳細なデータが提供されています。都道府県においては、本庁に1,017人、保健所に4,308人が所属し、保健所が全体の73.0%を占めています。市区町村では、本庁に11,724人、保健所に3,922人、市町村保健センターに11,209人が所属しており、市町村保健センターが全体の33.7%と大きな割合を占めています。このような配属状況からも、市区町村単位での保健活動が広範囲にわたって展開されていることがわかります。
さらに、常勤保健師の退職者数と採用者数についても報告されています。令和6年度の退職者数は都道府県で369人、市区町村で1,562人と、前年より減少しました。特に市区町村での減少が顕著であり、282人少なくなっています。一方で、採用者数は都道府県で492人、市区町村で2,214人となり、こちらも前年より減少傾向にあります。採用者数の減少は、特に市区町村での減少幅が大きく、146人少なくなっています。このことは、保健師の人材確保が今後の大きな課題となることを示唆しています。
また、統括保健師の配置状況についても注目すべき点があります。統括保健師は保健師活動を組織横断的に調整・推進し、専門的な指導を行う役割を担っています。都道府県では47自治体全てに統括保健師が配置されており、市区町村でも1,197自治体に配置されています。特に市区町村においては、全体の68.8%が統括保健師を配置しており、地域での保健活動の重要性が高まっていることがうかがえます。統括保健師の所属先としては、本庁に611人、保健所に57人、市町村保健センターに415人が配置されており、市町村保健センターでの役割が特に重視されています。
これらのデータを総合すると、全国的に保健師の配置が拡充されつつあり、地域ごとの保健ニーズに対応するための体制が強化されていることがわかります。しかし一方で、退職者数の減少と採用者数の減少が示すように、保健師の人材確保は依然として課題となっており、今後の保健師の役割を維持・発展させるためには、より一層の取り組みが求められます。特に市区町村での保健師活動が地域住民の健康維持や福祉向上に大きく寄与していることから、今後の政策においても地域レベルでの保健師の活動を支える仕組みの充実が重要です。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ