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2024年11月17日

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令和6年度の概算医療費、前年同期比1.0%増の11.7兆円に

最近の医療費の動向-MEDIAS- 令和6年度6月 最近の医療費の動向[概算医療費](厚労省)

厚生労働省の調査に基づく医療費データによると、令和6年6月の概算医療費は3.9兆円であり、前年同月比で1.6%減少しました。一方で、令和6年度(4月から6月)の医療費総額は11.7兆円で、前年同期と比べて1.0%増加しています。これに対し、令和5年度の医療費総額は47.3兆円で、前年度比で2.9%増となり、医療費全体にわたる成長が見られます。

令和6年6月時点の「一日当たりの医療費」は前年同月比で1.0%増加し、4月から6月の平均では前年同期比で0.4%増となっています。前年の年間増加率が0.8%であることから、今年度も引き続き緩やかな伸びが見られます。この指標は医療機関における利用者1日当たりの医療費負担の変化を表しており、医療費の利用効率や病床の回転率の指標ともなります。

また、受診日数については、令和6年6月に前年同月比で2.6%減少しましたが、4月から6月の期間では前年同期比0.5%の微増となりました。令和5年度の全体的な受診日数の増加率が2.0%だったため、今年度は比較的低い増加傾向にとどまっています。受診日数の伸びは医療機関の稼働状況に直接影響するため、医療機関の効率的なリソース管理が引き続き重要とされています。

診療種類別に見た医療費の伸びも多岐にわたります。例えば、令和6年6月の医科入院費は前年同月比で0.5%増、医科入院外費用は4.8%減少しており、全体的には入院よりも入院外の医療費が低迷傾向にあります。歯科医療費は0.9%増加しましたが、調剤にかかる費用は2.0%の減少を見せています。令和6年度の4月から6月の医療費では、医科入院外費用が0.1%の微増にとどまる一方で、歯科医療費と調剤費用がそれぞれ2.1%、2.2%の増加を記録しています。これにより、医科入院に比べて、医科入院外や調剤費用の伸びが比較的低調であることが浮き彫りとなっています。

地域別の医療費に関しても重要なデータが報告されています。令和6年の4月から6月の期間、75歳未満の受診者を対象とした医療費は総額で約6.4兆円、75歳以上では約4.8兆円でした。このうち、被用者保険加入者の医療費は3.8兆円で、前年同期と比較してわずかに増加しましたが、特に後期高齢者医療対象者の医療費が総額の40%を占めている点も見逃せません。このことから、高齢化の進行に伴い、特に75歳以上の医療費負担が大きな課題として浮上しており、今後の医療サービスの充実や高齢者向けの医療施策が不可欠であることが示唆されます。

受診延日数は、診療や調剤において令和6年4月から6月までの合計が6.2億日と報告され、前年同期比で0.5%増加しました。具体的には、医科入院の延日数は前年同期比0.3%増、医科入院外では0.6%の増加を示していますが、調剤分はわずかに減少しました。受診延日数が微増にとどまったことは、医療機関における効率的な利用の促進が進んでいる兆しとも考えられます。

医療機関別の医療費分析では、大学病院や公的病院が受け持つ医療費が他の医療機関よりも高い伸び率を示しており、特に大学病院は先進的な医療技術や特定疾患の治療において中心的な役割を果たしています。診療所の医療費の伸びは比較的低調で、これは患者の外来診療が減少している影響もあると考えられます。訪問看護については19.1%の増加率を示しており、在宅医療のニーズが高まっていることが分かります。このような医療機関別の支出分析は、今後の医療資源の配分に大きな影響を与え、特に訪問看護や在宅支援がさらなる需要拡大を見込まれています。

一人当たり医療費の平均値は令和6年4月から6月で9.5万円であり、前年同期比でわずかに増加しています。75歳未満の平均医療費は6.2万円、75歳以上は24.0万円と大きな差があり、高齢者医療がいかに大きな負担を要するかがわかります。また、一日当たり医療費は全体で18.9千円に達しており、医科入院費が41.1千円、医科入院外費が12.3千円と、入院患者の医療費が特に高額であることがわかります。これは医療提供にかかる負担を明確にし、医療機関の収支にも大きな影響を与えています。

休日数や祭日などの影響補正を考慮した医療費データも提供されており、休日数が多い月には医療費の伸び率が若干低下する傾向が見られます。例えば、令和6年の4月と5月の連休期間中には、医科入院や医科入院外医療費の伸び率が影響を受けています。医療費の計算において、休日数や連休の影響を踏まえた分析は、医療需要の予測やリソース管理に有用であり、特に医療提供者にとって効率的な運営計画策定に役立つ情報です。

以上のように、最新の医療費動向のデータは、日本の医療制度が抱える課題やトレンドを浮き彫りにしています。高齢者医療の費用増大や入院医療費の増加に対して、今後の医療政策の見直しや高齢者支援の強化が求められるとともに、医療機関間での負担の分散や訪問看護などの在宅医療支援のさらなる推進が急務となるでしょう。特に、人口の高齢化が進行する中で、医療費負担をどのように抑制し、効率化を図るかが医療制度の安定にとって重要な課題です。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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