2024年8月11日
労務・人事ニュース
令和6年度ふるさと納税受入額が1兆1,750億円に達成、前年比2,100億円増加で過去最高記録
ふるさと納税に関する現況調査結果の概要(総務省)
令和6年度に実施された「ふるさと納税に関する現況調査結果」に関する詳細な報告書によると、全国の地方自治体によるふるさと納税の受け入れ額と件数が大幅に増加していることがわかります。
この調査は、全ての都道府県および市区町村の令和5年度の決算見込みを基に行われ、その結果はふるさと納税の持続的な成長を示しています。令和5年度(令和5年4月1日から令和6年3月31日まで)のふるさと納税受入額は、全国で総額1兆1,750億円に達し、受入件数は約5,895万件に上りました。この数字は、前年度の約9,650億円から大幅に増加したことを示しており、ふるさと納税制度が引き続き多くの納税者に支持されていることを裏付けています。
都道府県別の受入額と受入件数を見ると、北海道が最も多く、約1,655億円の受入額と約973万件の受入件数を記録しています。これに続くのは、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府など、大都市圏が中心となっています。これらの地域では、魅力的な返礼品やプロモーション活動が功を奏し、ふるさと納税の人気が高まっていると考えられます。
ふるさと納税の受入額の使途に関しても興味深いデータが得られています。全国の地方自治体のうち、97.7%にあたる1,745団体が、ふるさと納税の使途を納税者が選択できる仕組みを導入しています。使途の選択肢としては、「子ども・子育て」「教育・人づくり」「地域・産業振興」など、地域ごとに多様なニーズに応じた分野が設けられており、寄付者が自身の意向に沿った使い道を選べるようになっています。
また、クラウドファンディング型のふるさと納税も積極的に導入されており、具体的な事業に対する寄付を募るケースが増えています。令和5年度には946件のクラウドファンディング型プロジェクトが実施され、総額167億円の寄付が集まりました。
ふるさと納税を通じて寄せられた寄付金は、各地方自治体が実施する事業の財源として活用され、その結果も公表されています。令和6年度の調査によれば、82.3%の自治体が寄付金の受入額とその活用状況を公表しており、寄付者に対して透明性を持った情報提供を行っています。また、寄付者との継続的なつながりを維持するための取り組みを行っている自治体も多く、寄付者に対して事業の進捗状況や成果を報告することが重要視されています。
ふるさと納税の制度運営にかかる費用についても詳細なデータが公表されており、返礼品の調達や送付、広報活動、決済手数料、事務費用など、運営コストの合計が全体の受入額の約48.6%に相当することがわかりました。特に返礼品の調達にかかる費用が最も大きく、全体の27.1%を占めています。この点に関しては、寄付額の増加とともに返礼品のコストも増加しているため、自治体にとっては持続可能な運営が課題となっています。
ふるさと納税に係る住民税控除の適用状況も詳しく報告されており、令和6年度の住民税控除額は全国で合計7,682億円に達しました。このうち、控除適用者数は1,000万人を超え、ふるさと納税が多くの納税者に利用されていることを示しています。住民税控除額が最も多かったのは東京都で、約1,899億円が控除されました。これに続くのは神奈川県、大阪府、愛知県、埼玉県など、都市圏での利用が目立ちます。
ふるさと納税の現況調査結果からは、制度の利用者が増加し、寄付額が年々増加していることが明らかになりました。また、各地方自治体が寄付者のニーズに応えるための多様な選択肢を提供し、透明性のある運営を行っていることが評価されています。一方で、運営コストの増加や寄付額の増大に伴う課題も存在しており、今後の制度運営においては、持続可能な運営と寄付者への還元のバランスを取ることが重要となるでしょう。
ふるさと納税の今後の展望としては、地域の活性化や定住促進、災害復興支援など、さらに広範な分野での活用が期待されています。また、クラウドファンディング型のプロジェクトを通じて、特定の事業や地域の取り組みを支援する動きが一層活発化することが予想されます。これにより、寄付者と自治体がより密接な関係を築き、地域社会における課題解決に寄与することが期待されます。
以上のように、令和6年度のふるさと納税に関する調査結果は、制度の現在の状況を詳しく示すとともに、今後の課題と可能性についても示唆しています。地方自治体や寄付者にとって、ふるさと納税は単なる税制優遇措置以上の意味を持ち、地域の持続可能な発展に向けた重要なツールとなりつつあります。
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ