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2024年10月13日

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令和6年度ウルメイワシ・カタクチイワシ資源評価結果が公開、漁業管理に重要な影響

令和6年度我が国周辺水域の水産資源に関する評価結果が公表されました(ウルメイワシ、カタクチイワシ)(水産庁)

令和6年10月4日、水産庁は国立研究開発法人水産研究・教育機構が実施したウルメイワシとカタクチイワシの資源評価結果を公表しました。この調査は、我が国周辺水域の水産資源を適切に保存・管理するため、各都道府県の研究機関と共同で行われるもので、特に主要な魚種についての資源調査を継続的に行っています。今回公表されたのは、ウルメイワシとカタクチイワシの対馬暖流系群に属する2種に関する資源評価結果です。

ウルメイワシとカタクチイワシは、どちらも我が国の水産業において重要な資源であり、漁獲量や漁期に大きく影響を与える魚種です。特に、これらの魚種は広範な漁場で漁獲されるため、資源の動向は水産業者にとって重大な関心事となっています。今回の資源評価は、今後の漁獲管理や資源保護策を策定する上で重要なデータを提供します。

資源評価結果は、国立研究開発法人水産研究・教育機構が公表した資料に詳細が掲載されており、今回の調査では、両魚種の資源状況がどのように推移しているか、今後の資源保全に向けた適切な管理方針を立てるための指針となる内容が示されています。特にウルメイワシとカタクチイワシは、日本国内のみならず、周辺国の漁業にも影響を与える広域的な資源であり、国際的な協力が不可欠です。

このような資源評価は毎年実施され、その結果が公表されることで、漁業関係者や政策立案者は適切な判断を下すことができます。資源が豊富であれば漁業活動が活発化し、逆に資源が減少している場合には漁獲制限が設けられる可能性があります。これらの判断は、長期的な視点から資源の持続的な利用を図るために欠かせないものです。

今回のウルメイワシとカタクチイワシの資源評価結果がどのように解釈され、今後の漁獲にどう影響するのか、関係者は今後も動向を注視していく必要があります。資源評価の詳細については、国立研究開発法人水産研究・教育機構のウェブサイトにて確認することが可能です。

このように、資源評価は持続可能な漁業を実現するための基盤となっており、毎年の調査結果が漁業政策に反映されることで、我が国の水産業は安定した発展を目指して進められています。今後も資源保全のための適切な管理措置が重要であり、関係機関は一層の協力体制を築いていくことが求められています。

ウルメイワシ資源量が回復傾向!2034年には親魚量が目標管理基準を超える可能性55%

日本海から九州西岸にかけて広がるウルメイワシの資源動向は、近年大きな注目を集めています。この対馬暖流系群と呼ばれるウルメイワシの群れは、特に本州中部以南の沿岸地域に集中して生息しており、長年にわたる資源管理の対象となってきました。漁獲量や資源量の推移を見てみると、1990年代後半から2000年にかけて漁獲量が大きく減少し、1.0万トンを下回ることもありました。しかし、その後の数年間で回復の兆しを見せ、2013年や2016年には一時的に5.0万トンを超える漁獲量を記録しました。2020年には再び1.9万トンと大きく減少しましたが、2023年には6.2万トンまで回復し、安定した漁獲が見込まれています。

ウルメイワシの資源量は、2003年以降顕著に増加し、2015年には14万トンを超えるまでに至りました。しかし、その後数年間は減少傾向が続き、2020年には6.2万トンと推定されました。その後、2021年には9.6万トン、そして2023年には11.6万トンまで回復しています。さらに、0歳魚の加入量に関しても、2000年代半ば以降は12億~35億尾で推移しており、2023年には48億尾と大幅に増加しています。この増加傾向は、ウルメイワシの持続的な再生産能力が高まりつつあることを示唆しており、親魚量も2019年から2023年の間に増加して、2023年には7.4万トンに達しました。

ウルメイワシの再生産関係を検証すると、1976年から2018年にかけての親魚量と加入量の変動を基にしたホッケー・スティック型の再生産関係が見られます。2024年の資源評価では、この関係がさらに更新され、特に直近の5年間(2019~2023年)のデータが重要視されています。この再生産モデルは、ウルメイワシの資源管理において将来の資源量予測や管理基準の策定に寄与するものであり、持続可能な漁業を目指す上で欠かせない指標となっています。

また、漁獲管理においては、最大持続生産量(MSY)を基にした管理基準が設定されています。例えば、2023年のウルメイワシの親魚量は7.4万トンと、MSYを実現するための基準値である5.4万トンを上回っています。しかし、漁獲圧(F)はMSYを維持するための基準をやや上回っており、今後の漁獲管理においては調整が求められます。管理基準値の中でも特に重要視されるのが禁漁水準であり、これはMSYの10%の漁獲量が得られる親魚量とされています。2023年の漁獲量は6.2万トンで、引き続き安定した資源管理が求められます。

神戸プロットや漁獲シナリオを活用した将来予測に基づくと、今後のウルメイワシの資源量はSBmsy(目標管理基準値)を上回る水準で推移する見込みです。特にβを0.8とした漁獲管理規則に基づいて漁獲が行われた場合、2034年には親魚量が5.4万トンを超える確率は55%と予測されています。これらのシナリオは、現状の漁獲圧を維持するだけでなく、適切な管理を行うことで持続可能な漁業を実現できることを示しています。

ウルメイワシの資源動向に関しては、科学的なデータに基づいた資源管理が重要であり、特に近年の増加傾向は漁業関係者にとって希望の光といえます。しかし、将来の資源量を確保するためには、持続可能な漁獲圧の維持や漁獲量の調整が不可欠です。例えば、2025年の平均漁獲量は4.6万トンと予測されており、これを基にしたABC(許容生物学的漁獲量)の策定が行われています。

まとめると、ウルメイワシの対馬暖流系群は、近年の資源管理努力により回復基調にありますが、将来に向けた持続可能な漁業の実現にはさらなる管理と予測モデルの精緻化が必要です。日本の漁業において重要な資源であるウルメイワシの動向を今後も注意深く見守り、適切な管理が行われることが期待されます。

カタクチイワシ資源管理の現状と未来:2034年までに親魚量が52%回復する可能性

2023年におけるカタクチイワシの資源量や漁獲量に関する詳細なデータは、資源の持続可能性を考慮しながら管理するために重要です。特に、日本周辺で漁獲されるカタクチイワシの対馬暖流系群において、近年の漁獲量や資源の状態は不安定な傾向にあります。1990年代後半には、シラスを除いたカタクチイワシの漁獲量は10万トンを超える高水準にありましたが、その後は減少傾向を見せ、2023年には2.9万トンという数値に落ち着いています。これは、近年の漁獲圧の変動や資源量の減少と密接に関連しており、特に0歳魚の漁獲量が大きく減少したことが背景にあります。

対馬暖流系群のカタクチイワシは、日本海や東シナ海に広く分布し、特に沿岸域から沖合域まで幅広く生息しています。しかし、2023年の資源量は10.6万トンとされており、0歳魚がその多くを占めているものの、その資源尾数は年々減少しています。漁業者にとって重要な指標となる長崎県の中・小型まき網の標準化されたCPUE(漁獲努力単位あたりの漁獲量)は、2023年には前年より増加しましたが、この増加が資源の実際の回復を反映しているかどうかには、依然として不確実性が残されています。

カタクチイワシの資源管理においては、最大持続生産量(MSY)を達成するための親魚量(SBmsy)が8.4万トンと推定されています。MSYとは、漁業が持続的に行われるために、長期的に最大の漁獲量を維持できる資源量を指します。2023年の親魚量は5.1万トンであり、MSYを下回る水準です。特に、2023年の漁獲圧はFmsy(持続可能な漁獲圧力の指標値)を下回ったものの、資源量の回復が見込めるかどうかは今後の動向次第と言えます。漁獲管理の一環として、親魚量がMSYの97%に達することを目標とし、それを下回る場合には厳しい漁獲制限を導入することで、資源の保全を図っています。

将来の漁獲シナリオに基づく予測では、Fmsyに乗じる調整係数であるβを0.9と設定し、漁獲管理を継続する場合、2034年までには親魚量が目標管理基準値を上回る可能性が52%とされています。このシナリオに従った場合、2025年の漁獲量は5.0万トン、親魚量は7.4万トンと予測され、これは持続可能な資源利用のために重要な指標となります。βの調整係数を0.8や1.0に変更した場合のシナリオも併せて検討されていますが、現状の漁獲圧を維持した場合、資源の回復には限界があると考えられています。

2023年の漁獲結果は、漁業形態の変化や東シナ海におけるマイワシの漁獲量増加といった外部要因による影響が大きいとされています。そのため、2024年に向けては、さらなる漁獲圧の変動が懸念されています。特に、2024年前半の不漁は、今後の資源評価に影響を与える可能性があり、持続的な漁業管理のためには、これまで以上に慎重な資源状態の把握が求められます。

カタクチイワシの資源量の変動は、再生産関係にも大きく左右されます。1977年から2018年までのデータを基にした再生産関係のモデルでは、親魚量と加入量の間には一定の相関が見られますが、近年のデータでは、この関係が変化している可能性があります。特に、2019年から2023年にかけてのデータでは、親魚量が低下しているにもかかわらず、加入量が不安定な状況が続いています。このような不確実性の中で、資源評価を適切に行い、長期的な資源の持続性を確保することが重要です。

カタクチイワシの資源管理において、目標管理基準値と限界管理基準値が設定されており、これを基に漁獲圧を調整することで資源の持続性を確保しています。禁漁水準も設定されており、資源量が一定の水準を下回る場合には、漁業が停止されることになります。2023年のデータでは、禁漁水準を上回っているものの、今後の資源動向を注視する必要があります。

今後の展望として、カタクチイワシの持続的な漁業を実現するためには、適切な資源管理が不可欠です。βの調整係数を用いた漁獲管理シナリオに基づき、2034年までに親魚量が目標管理基準値を上回る可能性が示されている一方で、2024年前半の不漁による資源悪化の懸念もあります。資源評価の精度を高め、持続可能な漁業を維持するためには、データの蓄積とともに、漁獲圧の適切なコントロールが必要です。

⇒ 詳しくは水産庁のWEBサイトへ

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