2024年8月4日
労務・人事ニュース
令和6年度全国学力・学習状況調査結果発表:小学校国語の平均正答率67.8%、中学校数学は53.0%
令和6年度全国学力・学習状況調査の報告書・集計結果について(文科省)
令和6年度の全国学力・学習状況調査の結果が発表されました。この調査は、小学校6年生と中学校3年生を対象に実施され、国語と算数・数学の学力を測るものです。調査対象は、全国の公立・国立・私立学校に通う児童生徒で、その規模は非常に大きく、データの信頼性と有効性が高いことが特徴です。
調査の目的は、義務教育の機会均等とその水準の維持向上を図るために、全国的な学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証することにあります。また、学校における児童生徒への学習指導の充実や学習状況の改善を図り、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立することも目指しています。
今回の調査では、児童生徒が主体的に学び、対話的で深い学びを実現するための授業改善が重要視されました。その結果、各教科における児童生徒の学力や学習状況が明らかになり、効果的な指導方法のヒントが得られました。例えば、国語の調査結果では、自分の考えを伝えるための書き表し方に工夫が必要であることが指摘されました。算数・数学では、図形や速さなどの単位量当たりの大きさについての理解が不十分であることが課題とされました。
特に、小学校国語では、平均正答数が14問中9.5問(67.8%)であり、中学校国語では15問中8.8問(58.4%)でした。これに対して、小学校算数では16問中10.2問(63.6%)、中学校数学では16問中8.5問(53.0%)となっています。これらの結果から、小学校では国語の成績が比較的高い一方で、中学校では数学の成績がやや低いことがわかります。
また、ICTの活用状況についても調査が行われました。ICT機器の活用は、学習の効率化や理解度の向上に寄与するものと期待されています。今回の調査では、児童生徒の約90%がICT機器を利用しており、その活用状況は良好でした。しかし、ICT機器を使いこなすための支援が必要であることも明らかになりました。
児童生徒の挑戦心や自己有用感、幸福感に関する調査結果も注目されます。約90%の児童生徒が「普段の生活の中で幸せな気持ちになることがある」と回答し、約84%の小学生と76%の中学生が「地域や社会をよくするために何かしてみたい」と回答しています。これらの結果は、児童生徒が自己肯定感を持ち、社会貢献意識を育んでいることを示しています。
学校外での過ごし方についても調査されました。勉強時間は年々減少傾向にあり、特に中学生の平日と休日の勉強時間が減少しています。一方で、テレビゲームやSNS、動画視聴の時間は横ばいか微増しており、特に中学生のSNS利用時間が増加しています。これに対して、勉強時間の減少が学力にどのような影響を与えているかについては、今後の詳細な分析が求められます。
文部科学省の取組一覧としては、学習指導要領の着実な実施や、GIGAスクール構想の推進、教師を取り巻く環境整備などが挙げられます。特に、GIGAスクール構想では、全ての児童生徒に1人1台の端末を提供し、ICTを活用した学びを支援しています。また、特別支援を要する児童生徒への対応や、外国人児童生徒への日本語指導なども行われています。
さらに、学校における働き方改革や教師の処遇改善、指導・運営体制の充実、教師の育成支援など、教師を取り巻く環境整備も進められています。具体的には、小学校における35人学級の計画的整備や、高学年教科担任制の強化、教員業務支援員の配置などが行われています。
これらの取り組みを通じて、児童生徒が安心して学び、成長できる環境を整えることが重要です。今後も、教育現場のニーズに応じた柔軟な対応が求められます。今回の調査結果を踏まえ、さらなる教育の質の向上と、公平な学習機会の提供が期待されます。
今回の全国学力・学習状況調査は、教育現場の現状を把握し、改善策を講じるための貴重なデータを提供しました。このデータをもとに、教育政策のさらなる充実が図られることを期待します。児童生徒の未来をより明るくするために、教育関係者一同が協力して取り組むことが求められます。
参考:令和6年度 全国学力・学習状況調査の結果(概要)
⇒ 詳しくは文部科学省のWEBサイトへ