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2024年8月30日

労務・人事ニュース

令和6年度春季賃上げ、348社の平均妥結額17,415円を記録し前年の11,245円から6,170円増加

令和6年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況を公表します(厚労省)

厚生労働省は令和6年8月2日、令和6年度の民間主要企業における春季賃上げ交渉の妥結状況を公表しました。今回の発表によれば、賃上げ額および賃上げ率のいずれもが前年を大きく上回る結果となっており、企業側が労働者の賃金改善に積極的な姿勢を示したことがうかがえます。

この調査は、資本金10億円以上、従業員1,000人以上の労働組合が存在する企業を対象に行われたもので、今年は348社が対象となりました。集計されたデータによると、今年の平均妥結額は17,415円で、前年の11,245円と比べて6,170円の増加となりました。また、賃上げ率についても現行ベースに対して5.33%の上昇を示し、前年の3.60%から1.73ポイントの増加を記録しています。これらの数字は、企業側が賃金引き上げに対してより積極的な姿勢を示していることを意味し、労働者の生活水準向上に向けた取り組みが強化されていることがわかります。

この賃上げ交渉結果の背景には、複数の要因が考えられます。まず第一に、近年の物価上昇が挙げられます。世界的なエネルギー価格の上昇や供給チェーンの混乱などが影響し、消費者物価指数(CPI)が上昇を続けており、これに伴い労働者の生活費負担が増加しています。企業はこれに対応するため、賃金引き上げの必要性を認識せざるを得ない状況にあります。また、労働市場の逼迫も賃金上昇を促す要因となっています。特にIT業界や製造業では人材確保が難しくなっており、優秀な人材を引き留めるために賃金を引き上げる企業が増えています。

さらに、政府の経済政策も賃上げを後押ししていると言えます。政府は、経済成長を持続させるために、内需拡大を目指した政策を推進しており、その一環として賃上げを重要な柱としています。企業に対しても、賃上げを通じて消費を喚起し、経済の好循環を生み出すことを求めており、これが賃上げの一因となっている可能性があります。

一方で、企業にとって賃上げはコスト増につながるため、その影響について慎重に見極める必要があります。特に、中小企業においては、賃金上昇に伴う負担が経営を圧迫する懸念があるため、賃上げの実施に対して慎重な姿勢を見せる場合もあります。大企業とは異なり、収益基盤が脆弱な中小企業では、賃上げが直接的に利益率を圧迫する可能性が高いため、今後の動向に注視が必要です。

今回の調査結果は、労働市場全体の動向を反映したものであり、今後の経済動向を予測する上でも重要な指標となります。特に、労働者の購買力がどの程度向上するか、またそれが内需拡大につながるかどうかが今後の注目点となるでしょう。経済の好循環が実現すれば、賃金上昇はさらに加速する可能性があり、これにより経済全体が活性化することが期待されます。

労使関係担当参事官室では、この調査結果を踏まえ、さらなる分析と政策立案を進める予定です。特に、賃金動向が労働者の生活に与える影響や、企業の競争力にどのように影響するかを詳細に分析し、今後の労働政策に反映させる方針です。また、企業側と労働組合側の双方にとって、より実効性のある交渉が行われるよう、適切な情報提供や支援を行うことが重要です。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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