2024年9月17日
労務・人事ニュース
令和6年度水産資源評価結果公表、7種類の魚種で資源状態を分析
令和6年度我が国周辺水域の水産資源に関する評価結果が公表されました(マアジ、マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシ、キンメダイ、トラフグ、マダイ)(水産庁)
令和6年8月30日、水産庁は我が国周辺水域の水産資源に関する最新の評価結果を発表しました。今回の発表は、国立研究開発法人水産研究・教育機構が中心となり実施されたもので、特にマアジ、マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシ、キンメダイ、トラフグ、マダイの7種類の魚種に関する資源評価が行われました。この評価は、各魚種の持続可能な管理と保存を目的とし、全国の試験研究機関と共同で行われた資源調査に基づいています。
この調査では、マアジやマイワシといった主要な漁業対象魚種について、太平洋系群や対馬暖流系群といった異なる群ごとに資源の状態が評価されました。例えば、マアジに関しては、太平洋系群と対馬暖流系群の2つの系群が評価対象となっており、同様にマイワシやウルメイワシもそれぞれの系群で資源状況が分析されています。また、キンメダイやトラフグ、マダイといった高価値魚種についても、地域ごとに異なる系群が評価され、その結果が明らかにされました。
資源評価の結果については、水産研究・教育機構が詳細な報告書を作成し、公開しています。この報告書には、各魚種の現在の資源量、資源管理のための推奨事項、今後の漁獲目標などが含まれており、漁業関係者や政策立案者にとって重要な指針となるものです。
特に、持続可能な漁業を推進するためには、これらの評価結果を踏まえた資源管理が不可欠であり、関係者による適切な対応が求められます。今回公表された結果は、今後の漁業政策や資源管理計画の基礎となるものであり、漁業者や地域コミュニティにとっても大きな影響を与えることが予想されます。
さらに詳しい情報や評価結果の詳細については、水産研究・教育機構の公式ウェブサイトに掲載された資料を参照することが推奨されます。今後も我が国周辺水域の水産資源の適切な管理と保全が求められる中で、今回の評価結果がどのように活用されていくのかが注目されます。
日本近海のマアジ資源が2031年に6.0万トン回復見込み、企業戦略にどう活かすか?
マアジは日本近海で広く分布する魚種の一つで、その中でも太平洋系群は特に重要な位置を占めています。この系群は太平洋沿岸域に生息しており、東シナ海で生まれた集団と共に構成されています。日本の漁業において、マアジは重要な資源であり、漁獲量や資源量の動向が注目されています。
1980年代後半から1990年代前半にかけて、マアジの漁獲量は増加傾向を示し、ピーク時には年間7万~8万トンに達しました。しかし、その後は減少傾向に転じ、2023年には2.2万トンという低い水準に落ち込みました。これは、資源の持続的利用が困難な状況を反映しており、今後の漁業管理において重要な課題となっています。
資源量の推移に関しては、1996年に16.2万トンという高い水準を記録しましたが、その後は減少し、2023年には4.6万トンにまで低下しました。特に、資源の年齢組成を見ると、0歳魚と1歳魚が中心を占めており、2歳魚以上の割合は少ないことが分かります。これにより、資源の再生産能力が限られていることが示唆され、長期的な資源管理の重要性が浮き彫りとなっています。
資源管理においては、最大持続生産量(MSY)が一つの指標となります。MSYを実現するためには、親魚量が6.0万トン必要とされています。2023年の親魚量は1.8万トンと、目標管理基準値である6.0万トンにはるかに及ばない状況です。また、漁獲量に関してもMSYの3.8万トンに対して、現状は2.2万トンと低い水準にとどまっています。
再生産関係のモデルを用いた予測によれば、親魚量と加入量の関係は過去のデータに基づいて推定されており、2024年度の資源評価で更新された観測値も加味されています。これにより、将来的な資源回復のシナリオが描かれていますが、親魚量が目標管理基準値を超える可能性はβ(調整係数)によって変動します。たとえば、β=0.8の場合、2031年に目標管理基準値を上回る確率は58%とされています。この予測に基づき、今後の漁業管理の方向性が決定されることが期待されます。
また、漁獲シナリオの将来予測では、漁獲管理規則に基づいて漁獲を継続することで、親魚量が増加し、MSY水準を超える可能性が高まるとされています。具体的には、2031年には親魚量が6.0万トンを超えることが予測されており、漁獲量も同様に増加すると見込まれています。これにより、持続可能な漁業の実現に向けた一歩が踏み出されることが期待されます。
このような資源管理の取り組みは、単なる漁業の存続にとどまらず、地域経済や雇用にも大きな影響を与えるものです。漁業に携わる企業にとっては、資源の持続的利用が経営の安定にもつながります。また、適切な漁業管理によって漁獲量が安定すれば、漁業従事者の雇用も守られ、地域の活性化にも寄与することができます。
この報告書は、今後の漁業政策や企業戦略を考える上で、非常に重要な情報を提供しています。特に、企業の採用担当者にとっては、資源管理がもたらす雇用の安定や地域社会への貢献を理解することで、企業の持続可能な成長を支える人材確保に役立てることができるでしょう。
参考:マアジ太平洋系群
2023年のマアジ漁獲量、前年比横ばいの10.9万トンに安定
日本周辺に広く分布するマアジ(対馬暖流系群)は、日本と韓国において重要な漁業資源として認識されています。この魚群は、東シナ海から日本海北部沿岸域まで広がり、その漁獲量や資源状況が定期的に評価されています。
漁獲量の推移を見ると、1980年代から1990年代にかけて日本と韓国の漁獲量は増加し、1988年および1993年から1998年にかけては年間20万トンを超える高い水準を記録しました。しかし、その後は減少傾向に転じ、2006年以降はほぼ横ばいの状態が続いています。2023年の漁獲量は10.9万トンで、そのうち日本が7.1万トン、韓国が3.9万トンを占めています。
漁獲物の年齢組成に関しては、0歳魚(青)および1歳魚(オレンジ)が主体となっており、2歳以上の魚が占める割合は比較的少ないことが示されています。この傾向は年齢別の漁獲尾数の推移からも確認でき、若い魚が漁獲の中心であることがわかります。
資源量についても同様の分析が行われており、資源量と親魚量の推移は、2013年から2022年にかけて34.7万トンから46.0万トンの範囲で推移しています。2023年の資源量は38.4万トンであり、加入量(0歳魚の資源尾数)は2020年以降、30億尾を下回る低い水準に留まっています。親魚量は直近5年間(2019~2023年)で横ばい傾向を示しており、2023年には26.1万トンに達しています。
再生産関係については、1973年から2017年における親魚量と加入量のデータを基に、ホッケー・スティック型の再生産モデルが適用されています。このモデルにより、再生産の安定性が確認されると同時に、2024年度の資源評価では、直近5年間の観測値が重要な指標となっていることが示唆されています。
資源管理においては、最大持続生産量(MSY)を実現するための目標管理基準値(SBmsy)は25.4万トンと算定され、2023年の親魚量は26.1万トンと、この基準値を上回っています。また、漁獲圧(F)は、2016年以降、持続可能な水準であるFmsyを下回るレベルに維持されており、適切な漁業管理が行われていることが示されています。
将来予測に基づく資源管理シナリオでは、β値を0.95とした漁獲管理規則に基づき漁獲を継続することが想定されています。この場合、親魚量は目標管理基準値を上回り、漁獲量もMSY水準に達した後、安定的に推移することが予測されています。具体的には、2025年の漁獲量は14.6万トン、2031年には親魚量が目標管理基準値を上回る確率が57%とされています。
これらのデータや予測結果をもとに、漁業関係者は持続可能な漁業を目指し、適切な管理手法を採用することが求められています。また、今後の資源評価や漁獲シナリオの更新により、さらに詳細な予測が行われ、漁業資源の保全と持続可能な利用が一層促進されることが期待されています。
参考:マアジ対馬暖流系群
2023年の日本でのマイワシ漁獲量が57.7万トンに到達、増加傾向にある資源の未来予測
2024年8月30日に公開された報告書によれば、マイワシ(太平洋系群)は日本周辺の太平洋に広く分布する魚群で、その漁獲量や資源量の変動が詳述されています。まず、マイワシの漁獲量は1970年代後半から増加し、1980年代には年間250万トンを超える極めて高い水準で推移しました。しかし、1990年代に入ると急減し、2000年代にかけては非常に低い水準で推移していました。その後、2010年代に入ると再び増加傾向が見られ、2023年の日本での漁獲量は57.7万トンとなりました。加えて、近年では外国船による漁獲が増加しており、2023年にはロシアで54.4万トン、中国で23.3万トンの漁獲が記録されています。
マイワシの分布域は、主に太平洋沿岸に広がっており、産卵場は1990年代以降、四国沖から関東近海の黒潮内側域に形成されていることが報告されています。資源の年齢構成を見ると、以前は0歳および1歳魚が主体でしたが、2016年以降は2歳以上の個体が増加しており、特に中国による漁獲物の体長データがその推定に役立てられています。
資源量の指標としては、親魚量の増加が注目されており、産卵量もそれに伴い増加しています。特に潮岬以東での増加が顕著であることが示されています。また、1歳魚資源量の指標も、2010年級群以降の高い加入量を反映して、比較的高い値を示しています。資源量は2010年以降増加傾向にあり、2014年には100万トンを超え、2023年には426.4万トンと推定されています。さらに、2023年の親魚量は279.1万トンと推定され、0歳魚の資源尾数も351億尾と推定されています。
再生産関係に関しては、通常加入期と高加入期での再生産関係が分析され、1988年から2018年の通常加入期ではホッケー・スティック型の再生産関係が適用されています。これにより、通常加入期の再生産関係に基づいて、最大持続生産量(MSY)を実現する親魚量が118.7万トンと算定されています。また、管理基準値や禁漁水準も設定されており、2023年の親魚量は目標管理基準値を大きく上回る279.1万トンであったことが報告されています。
管理基準値と漁獲圧の関係についても分析が行われており、1988年以降、親魚量がMSYを実現する水準を下回る年が多く見られましたが、漁獲圧の低下により、2018年以降は親魚量が増加し、MSYを上回る水準で推移しています。これに伴い、漁獲管理規則も設定され、2024年から2025年にかけての調整係数は1.30、2026年以降は0.85が適用されることが示されています。
将来の予測としては、現在の漁獲圧に基づくシミュレーションが行われており、2025年には親魚量が目標管理基準値を上回り、66.3万トンの漁獲が予測されています。2031年までの漁獲シナリオに基づく将来予測では、漁獲量と親魚量の平均値がそれぞれ目標管理基準値およびMSYに近づいていくことが示唆されています。
この詳細な分析に基づき、今後のマイワシ(太平洋系群)の資源管理は、慎重かつ科学的なアプローチが求められることが強調されています。
参考:マイワシ太平洋系群
日本近海のマイワシ資源量、2023年は過去最高レベルに回復
日本近海に広く分布するマイワシの資源状況が、近年で大きく改善しています。2023年のマイワシ資源量は132.5万トン、加入尾数(0歳魚の資源尾数)は372億尾に達し、過去数十年間で最高水準に達しました。この増加傾向は2020年以降に顕著であり、特に親魚量が直近5年間で増加し、2023年には64.2万トンに達しました。この結果、日本の水産業にとって明るい兆しとなっています。
マイワシは東シナ海から日本海にかけて広く分布し、日本の漁業において重要な資源の一つです。1970年代から1980年代にかけて、マイワシの漁獲量は増加を続け、1983年から1991年にかけては100万トンを超えることもありました。しかし、その後、漁獲量は急激に減少し、2001年にはわずか1千トンにまで落ち込む事態となりました。2000年代以降は、漁獲量の増減が続いていましたが、2023年には11.6万トンまで回復しています。
このような資源の回復には、様々な要因が考えられますが、特に資源管理と再生産の関係が大きな役割を果たしていると考えられます。通常加入期(1960〜1975年、1988〜2017年)と高加入期(1976〜1987年)に分けた再生産関係の分析では、現在の資源量がこのまま推移すれば、今後も安定した漁獲が期待できるとされています。特に、親魚量の増加は、持続的な漁業活動を支える重要な指標となります。
さらに、将来の漁獲量についても、明るい見通しが示されています。2024年から2025年にかけて、漁獲管理規則に基づいた漁獲シナリオでは、β=0.75とした場合、2025年の平均漁獲量は32.6万トンと予測されており、2031年には親魚量が目標管理基準値(109.3万トン)を上回る確率が69%に達する見込みです。
このように、資源管理が適切に行われれば、マイワシ資源は今後も安定的に供給され、日本の漁業産業にとって重要な資源としての地位を維持することが期待されます。また、これらのデータは、漁業関係者や政策決定者が今後の戦略を立てる際の貴重な指標となるでしょう。
マイワシ資源の回復は、単に漁業にとどまらず、地域経済や雇用にも大きな影響を与える可能性があります。特に、漁業が地域経済の中心を担う沿岸地域では、漁獲量の増加により雇用の安定や地域振興が期待されています。また、加工業や流通業も、この資源の安定供給により恩恵を受けることでしょう。こうした好循環が生まれることで、日本の水産業全体がさらなる発展を遂げる可能性があると考えられます。
一方で、これらの成果を持続させるためには、引き続き適切な資源管理が求められます。過去の教訓からも、資源の乱獲や環境の変動が漁業資源に与える影響は大きく、慎重な管理が必要です。そのため、関係機関や漁業者が協力し、科学的なデータに基づいた資源管理を徹底することが重要です。
さらに、マイワシの資源量の回復を受け、漁業者の間では新たなビジネスチャンスが生まれる可能性があります。例えば、国内外での販売促進や、付加価値の高い製品開発、さらには観光資源としての活用など、多岐にわたる可能性が考えられます。これにより、漁業だけでなく、関連産業全体が活性化することが期待されます。
このような状況を踏まえ、漁業関係者や政策決定者には、今後も持続可能な資源利用と経済活動の両立を目指した戦略が求められます。資源の回復を一過性のものとせず、将来にわたって持続可能な形で日本の漁業を支えていくための取り組みが、ますます重要となるでしょう。
参考:マイワシ対馬暖流系群
太平洋系群ウルメイワシの資源量指標値、2023年に0.94に低下
ウルメイワシの資源管理に関する最新の報告書によると、近年、太平洋系群のウルメイワシは、分布域が沿岸部に集中しており、特に日向灘から熊野灘にかけての沿岸域が主要な漁場となっています。このウルメイワシは、日本周辺の広範な地域に生息しており、特に太平洋沿岸と瀬戸内海に分布する群が確認されています。しかし、漁獲量の推移を見ると、1990年代以降、変動しつつも増加傾向を示していましたが、2015年に過去最高の4.9万トンに達した後は減少に転じています。2023年には2022年より0.6万トン増加し、2.8万トンとなっていますが、依然として長期的な減少傾向が続いていることがわかります。
資源量の推移についても、資源量指標値を基にした分析が行われています。これには、漁獲量、卵密度、宮崎県・愛媛県・高知県・三重県の各地域における標準化された漁獲努力量当たりの漁獲量(CPUE)や、過去のコホート解析から得られた残存資源量などが含まれます。これらのデータを用いて、余剰生産モデルにより資源量の相対値が推定され、資源量指標値として利用されています。この指標値は、2016年以降、減少傾向にあり、2023年には0.94となっています。このデータは、全期間の平均値が1となるように規格化されています。
さらに、2024年度の漁獲管理規則およびABC算定の基本指針として、資源水準に応じて漁獲量を増減させる係数を決定する漁獲管理規則が提案されています。例えば、2023年の資源水準が43.0%であることを踏まえ、2025年の漁獲量は2.2万トンに設定される見込みです。この算定漁獲量は、直近5年間の平均漁獲量に2023年の資源水準から求められる係数を掛け合わせて算出されています。
このような漁獲管理規則は、基本的な規則と変動を緩和する規則の2つの案が提示されています。基本規則案では、資源水準が目標管理基準値を上回る場合に漁獲量を増やし、下回る場合には削減するというシンプルなルールが適用されます。一方、変動緩和規則案では、漁獲量の急激な変動を防ぐため、算定漁獲量が最新年の漁獲量の140%を超える場合や60%を下回る場合には、その範囲内に収めるよう調整が行われます。この変動緩和規則案に基づく2025年の漁獲量は、2.3万トンと見積もられています。
今回の報告書は、太平洋系群のウルメイワシの持続可能な利用を目指し、資源管理の基準値や漁獲管理規則を慎重に設定しようという意図が強調されています。これにより、資源量が目標管理基準値を下回らないように調整を行い、長期的な資源の安定供給を確保することが期待されています。
これらのデータと規則は、関係する漁業者や政策立案者にとって重要な情報であり、今後のウルメイワシ漁業の方向性を決定する上で欠かせない要素となります。特に、漁獲量の管理がより厳格に行われることによって、資源の枯渇を防ぎ、持続可能な漁業を維持するための具体的な措置が講じられることが求められます。
最後に、これらの情報は2024年8月30日に公開されており、今後のステークホルダー会合で議論される予定です。その結果に基づいて、最終的な漁獲管理規則や基準値が決定されることになります。このプロセスは、ウルメイワシ資源の長期的な保護と持続可能な利用を保証するために極めて重要です。
参考:ウルメイワシ太平洋系群
太平洋系カタクチイワシの親魚量、目標管理基準値11.2万トンを目指す
カタクチイワシの太平洋系群は、日本近海に広く分布しており、その生態や漁業管理が重要な研究対象となっています。特に漁獲量や資源量の推移は、漁業者や政策立案者にとって大きな関心事であり、持続可能な漁業を実現するための管理基準が設けられています。
1990年代にカタクチイワシの漁獲量は急増し、2003年には過去最高の40.8万トンを記録しましたが、その後は減少傾向が続きました。2023年には4.1万トンであり、近年は横ばいの状況が続いています。また、漁獲された個体の年齢組成を見ると、1990年から2013年にかけては2歳や3歳の個体が約10%以上を占めていましたが、2014年以降は0歳と1歳の個体が漁獲物の大部分を占めるようになっています。
カタクチイワシの資源量は、2000年代以降減少傾向が続き、特に2017年から2019年にかけては低い水準で推移しました。しかし、2020年以降は比較的高い値を示しており、2023年の資源量は26.2万トン、親魚量は9.8万トンとなっています。加入量の指標である0歳魚のCPUE(単位努力当たり漁獲尾数)は、2015年以降低い水準で推移していましたが、2021年には比較的高い値を示しました。
漁業管理においては、最大持続生産量(MSY)を実現するための親魚量が11.2万トンと算定されており、これを目標管理基準値として設定しています。また、MSYの60%の漁獲量を得られる親魚量を限界管理基準値、MSYの10%を禁漁水準とする案が提案されています。2023年の親魚量は9.8万トン、漁獲量は4.1万トンであり、これらの数値は漁業の持続可能性を考慮した上で管理されています。
再生産関係については、通常加入期と高加入期に分けて分析され、通常加入期には1978年から1987年および2010年から2018年が該当し、高加入期には1988年から2009年が該当します。2024年以降の将来予測では、通常加入期の再生産関係に基づいていますが、資源管理方針に関する検討会において管理基準値が議論され、適切な漁業管理が進められています。
また、2025年からは漁獲管理規則案に基づく漁獲が開始される予定であり、現行の漁獲圧を基にした将来予測では、親魚量が目標管理基準値を上回る確率が60%とされています。これにより、持続可能な漁業を実現し、資源量の安定的な確保が期待されています。
カタクチイワシの漁業管理においては、資源の持続可能性を重視しつつ、漁業者の利益を最大化することが求められています。そのため、漁獲圧や親魚量の管理が厳格に行われており、将来的にはさらなる資源の増加が期待されています。特に、親魚量が11.2万トンを上回る可能性が高いことから、今後の漁業政策においても、このような管理基準が重要な役割を果たすことになるでしょう。
以上のように、カタクチイワシの太平洋系群に関する資源管理は、科学的なデータに基づいて慎重に行われています。漁業者や政策立案者にとっては、これらの管理基準を理解し、適切な漁業活動を行うことが求められます。将来的には、漁獲量と資源量のバランスを維持しつつ、持続可能な漁業の実現を目指す取り組みが続けられるでしょう。
参考:カタクチイワシ太平洋系群
キンメダイ資源の持続可能性 2035年までに親魚量が目標基準を100%上回る予測
太平洋沿岸のキンメダイ資源について、近年の研究とデータに基づく詳細な分析が行われました。まず、キンメダイは太平洋岸に広く分布し、特に房総半島から伊豆諸島、四国沖にかけてが主要な生息域とされています。しかし、1980年代以降、その資源量は減少傾向にあり、特に2000年代前半には40千トン台で安定していたものの、2015年には31.9千トンまで減少しました。その後、2023年には37.0千トンと若干の増加が見られましたが、依然として資源の持続的な管理が必要とされています。
このキンメダイ資源の変動要因の一つには、黒潮の大蛇行が挙げられます。特に2004年から2005年、そして2017年以降に黒潮の大蛇行が確認されており、これがキンメダイの分布や漁獲に影響を与えた可能性が高いとされています。また、キンメダイの漁獲量を地域別に見ても、伊豆諸島周辺や四国沖での漁獲が中心であることがわかります。これらの地域では、標準化CPUE(1日1隻あたりの漁獲量)が2018年以降、従来のノミナルCPUEを上回る結果が出ており、海洋環境を考慮した漁獲管理の必要性が強調されています。
資源量の減少に伴い、親魚量も減少傾向を示しており、2016年には22.9千トンと低水準に達しました。その後、2023年には29.9千トンまで回復しましたが、依然として2000年代前半の水準には及びません。また、2歳魚の加入量も減少傾向が続いており、2023年には690万尾にとどまりました。このような状況下で、持続可能な漁業を維持するためには、親魚量の確保が重要であると考えられています。
資源管理の観点からは、最大持続生産量(MSY)を実現するための親魚量が24.3千トンと算定されており、この水準を目標管理基準値として設定することが提案されています。また、MSYの60%に相当する漁獲量を目指す限界管理基準値、そしてMSYの10%に相当する漁獲量を目指す禁漁水準も提案されています。これらの基準値は、資源の持続可能性を確保しつつ、経済的な利益を最大化するための重要な指標となっています。
特に、将来的な予測では、親魚量が目標管理基準値を上回る確率が高いことが示されており、2035年までにはその確率が100%に達する見込みです。この予測は、β係数(漁獲圧の調整係数)を0.8とした場合に基づいており、この係数をもとにした漁獲管理が継続される限り、資源の回復が期待されます。しかし、漁獲量の予測では、MSY水準に徐々に近づくものの、安定した資源管理が求められることが明らかになっています。
このような分析結果を受けて、今後のキンメダイ資源管理においては、海洋環境の変動や漁獲圧の調整を含めた総合的な管理が求められます。また、漁業者にとっても、持続可能な漁業を実現するための努力が必要であり、漁獲管理規則の遵守が重要な役割を果たすことになるでしょう。さらに、地域ごとの漁獲量や海洋環境の変動に対する適応能力を高めることも、今後の資源管理の鍵となるでしょう。
総じて、太平洋沿岸のキンメダイ資源の現状と将来予測は、持続可能な漁業管理の重要性を再認識させるものであり、資源保護と経済的利益のバランスを保つためには、科学的データに基づいた管理が不可欠です。
参考:キンメダイ太平洋系群
伊勢・三河湾のトラフグ資源、2023年の漁獲量は116トンに減少
伊勢・三河湾に生息するトラフグについて、2023年漁期の状況を中心に、漁獲量や資源管理の動向について詳述します。伊勢・三河湾のトラフグは、紀伊半島東岸から駿河湾にかけて広く分布しています。この地域では、春に伊勢湾口で産まれたトラフグの仔魚が湾内に運ばれ、その後成長するにつれて湾外に分布を広げていくという生態を持っています。
まず、トラフグの漁獲量の推移を見ていきます。1993年漁期には302トンだった漁獲量は、2002年漁期には560トンと急増しました。しかし、その後は減少傾向が続き、2023年漁期の漁獲量は116トンにまで落ち込みました。この間、2006年から2009年の漁期には200トン前後で推移し、2010年以降は200トンを下回る水準で安定しています。このような漁獲量の変動には、資源管理方針の影響が大きいと考えられます。
次に、トラフグの年齢別漁獲尾数について見ていきましょう。0歳魚と1歳魚が漁獲全体の7割から9割を占めており、特に2001年以前では0歳魚の割合が非常に高かったことが特徴的です。しかし、2002年の資源回復計画が開始されて以降、0歳魚の漁獲量は減少し、代わりに1歳魚の漁獲が中心となっています。2023年漁期には、2022年漁期の2倍の漁獲尾数となり、資源の回復が見られる一方で、漁獲の持続可能性を考慮する必要があります。
また、トラフグの資源量と漁獲割合の推移についても注目が必要です。資源量は2002年漁期に856トンのピークを迎えましたが、その後は400トンを下回る水準で増減を繰り返し、2023年漁期には357トンとなりました。一方、漁獲割合は1993年漁期の68%をピークに減少傾向を示しており、2023年漁期には33%まで低下しています。このデータは、漁業圧力と資源量のバランスが求められていることを示唆しています。
さらに、加入量と親魚量の推移についても考察します。加入量(0歳魚の資源尾数)は、1999年漁期の114万尾、2001年漁期の124万尾をピークに、50万尾以下で推移しています。2023年漁期の加入量は14.7万尾で、そのうち人工種苗由来の加入尾数は2.8万尾でした。親魚量は、2004年漁期に107トンのピークを迎えた後、30トンから70トンの範囲で推移し、2023年漁期には74トンに達しました。これらのデータから、加入量の低下と親魚量の推移は、今後の資源管理において重要な課題となるでしょう。
資源管理においては、最大持続生産量(MSY)を実現するための漁獲圧が重要です。2023年漁期における漁獲圧はMSYを上回っており、親魚量は目標管理基準値(84トン)を下回っています。今後の予測では、漁獲管理規則に基づくシナリオで、βを0.7とした場合、平均的に親魚量は増加し、漁獲量はMSY水準で安定することが期待されます。また、2035年漁期において、βが0.7であれば、目標管理基準値を98%の確率で上回ると予測されています。
これらのデータを総合すると、伊勢・三河湾のトラフグ資源管理は、持続可能な漁獲と資源保全のバランスを如何に取るかが今後の重要な課題となります。特に、親魚量や加入量の動向を注視しながら、漁獲圧の調整が必要となるでしょう。また、人工種苗の放流による資源増強も有効な手段として検討されており、実際にその効果が予測されています。
最終的に、資源管理方針の改善と適切な漁獲規則の実施により、伊勢・三河湾のトラフグ資源は長期的に安定した供給を確保することが期待されます。このためには、漁業者や関係者との協力が不可欠であり、持続可能な漁業の実現に向けた取り組みが求められています。
参考:トラフグ伊勢・三河湾系群
西日本のマダイ漁獲量、2023年の4,969トンから導かれる未来予測
今回の資料には、マダイ(日本海西部・東シナ海系群)に関する詳細な漁業データと管理方針が記載されています。マダイの分布域や漁獲量、年齢別の資源量、将来の予測に基づく管理基準値案などが含まれており、これらのデータは、漁業管理や資源保全において重要な指針となります。
まず、マダイは、日本海西部から東シナ海の沿岸を中心に分布しており、特に1歳から3歳の魚が多く漁獲されています。2023年には、846万尾が漁獲され、そのうち1歳魚が29%、2歳魚が39%、3歳魚が19%を占めています。また、4歳以上の成魚は、等深線に沿って広域的に回遊すると考えられています。
次に、漁獲量の推移についてですが、1969年から1985年にかけて減少した後、1986年以降は5,000トンから7,100トンの範囲で推移しており、2023年の漁獲量は4,969トンでした。資源量も同様に1986年以降、小幅な増減を繰り返しながら19.8千トンから23.8千トンの範囲で推移し、2023年には21.2千トンとなっています。CPUE(漁獲効率)は2007年以降減少傾向にありましたが、2020年以降は年単位での増減が顕著になっています。
親魚量と加入量についても、1986年以降、資源量と同様の傾向を示しており、2023年の親魚量は14.5千トンでした。加入量は、1,234万尾から1,823万尾の範囲で推移し、2023年には1,234万尾でした。これは、天然由来の加入量のみをカウントしています。
さらに、将来予測に基づく管理基準値案が示されており、最大持続生産量(MSY)を実現する親魚量(SBmsy)が39.3千トンと算定され、目標管理基準値としてこの数値が提案されています。また、禁漁水準案もMSYの10%の漁獲量が得られる親魚量として1.4千トンが提案されています。
将来の予測では、再生産関係に基づく加入量のみを考慮した場合、β(調整係数)を0.8とした漁獲管理規則案を採用することで、親魚量が目標管理基準値を上回る可能性が高くなります。2035年には、β=0.8とした場合、98%の確率で親魚量が目標管理基準値を超えると予測されています。一方、現状の漁獲圧では、この確率は低く、資源管理の必要性が強調されています。
この資料は、漁業者や資源管理者が持続可能な漁業を実現するための重要なデータを提供しており、適切な管理基準の設定と実施が求められます。特に、将来の資源量を安定的に維持するためには、漁獲圧の調整や種苗放流の戦略的な実施が不可欠であることが示されています。
参考:マダイ日本海西部・東シナ海系群
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