2024年9月26日
労務・人事ニュース
令和6年度第1四半期受注分の建築リフォーム市場、前年同期比10.6%増で3兆8180億円の受注高
建築物リフォーム・リニューアル調査報告(令和6年度第1四半期受注分)(国交省)
令和6年度第1四半期における建築物リフォーム・リニューアル調査の結果、受注高が対前年同期比で10.6%増加したことが報告されました。この調査は、建設業許可業者5000者を対象に実施され、リフォームやリニューアル工事の需要の高まりが反映された内容となっています。特に、住宅に係る工事の受注高は1兆1966億円で、前年同期比で4.3%の増加が見られました。また、非住宅建築物においては、2兆6214億円と大幅な増加が確認され、13.8%の伸びを示しています。これにより、全体の受注高は3兆8180億円に達し、建築業界における活発な動きが伺えます。
住宅に関しては、リフォームや増築工事、一部改築工事、改装・改修工事、維持・修理工事の4つの項目で細かく分類されています。増築工事では162億円の受注があり、前年同期比で14.0%の増加を見せています。一方、一部改築工事は減少傾向にあり、517億円で前年同期比4.3%減少しています。しかし、改装・改修工事は9320億円と4.5%の増加を記録しており、住宅全体の工事需要が高まっていることがわかります。また、維持・修理工事についても1967億円と、前年同期比で5.0%の増加を見せています。これらの結果から、住宅リフォーム市場は堅調な成長を続けていることが伺えます。
非住宅建築物に関しても、増築工事や改装・改修工事、維持・修理工事の需要が増加しています。増築工事では1146億円の受注があり、前年同期比で9.7%の増加が見られました。一部改築工事は423億円で21.8%の減少を示していますが、改装・改修工事と維持・修理工事の合計では2兆4645億円と14.9%の増加を記録しており、非住宅建築物全体の受注高を大きく押し上げています。このような傾向は、企業や自治体が既存の建物の改修や維持に注力していることを反映していると考えられます。
また、受注高を業種別に見ると、住宅では「建築工事業」が7681億円で前年同期比13.2%の増加を示し、次いで「職別工事業」が2924億円で15.8%の減少を記録しています。非住宅建築物では、「建築工事業」が1兆1129億円で前年同期比46.2%の大幅な増加を見せており、「電気,機械器具設置工事業」が4418億円で6.7%の減少となっています。これにより、建築工事業が非住宅建築物の改修需要を牽引していることがわかります。
さらに、住宅の工事においては、木造一戸建て住宅と共同住宅が主な構造として受注高に大きく貢献しています。木造一戸建て住宅では5680億円の受注があり、前年同期比で2.4%の減少となっていますが、コンクリート系構造の共同住宅は4732億円で7.3%増加しています。一方、非住宅建築物では、生産施設(工場や作業場)で4154億円と45.3%の増加が見られ、企業が生産施設の改修やリニューアルに積極的に取り組んでいることが伺えます。また、事務所の改修も3296億円で5.7%の減少となっていますが、他の用途における増加分を補完している状況です。
発注者別に見ると、住宅では個人が8082億円の発注を行い、前年同期比3.9%の増加を記録しています。管理組合も1759億円で4.8%増加しており、集合住宅などのリフォームや修繕が活発に行われていることがわかります。非住宅建築物では、民間企業が最も多く、1兆9642億円で前年同期比15.9%の増加を見せており、企業の施設リニューアルや改修需要が引き続き高いことが確認されています。公共部門からの発注も5650億円で8.5%増加しており、官民ともに建築物の改修やリニューアルに積極的に取り組んでいることがわかります。
工事の目的別に見た受注件数では、住宅では「劣化や壊れた部位の更新・修繕」が主な目的となっており、131万7345件が受注されましたが、前年同期比では29.3%の減少が見られます。また、省エネルギー対策を目的とする工事も86918件と減少傾向にあり、同26.1%の減少が記録されています。同様に、非住宅建築物でも「劣化や壊れた部位の更新・修繕」が主要な工事目的であり、55万6389件が受注されていますが、前年同期比では19.0%の減少となっています。省エネルギー対策に関しても6万2696件が受注されましたが、同18.4%の減少を示しています。
工事の部位別では、住宅では給水給湯排水衛生器具設備に関する工事が最も多く、45万3817件の受注がありましたが、前年同期比では17.5%減少しています。内装工事も33万5816件が受注されましたが、33.4%減少しています。一方、非住宅建築物では電気設備に関する工事が最も多く、17万5388件が受注されましたが、同37.9%減少しました。内装工事については13万667件が受注され、同5.3%の減少が見られます。これらの結果から、設備関連のリニューアル工事は減少傾向にある一方で、改修工事自体の需要は引き続き高い水準にあることがわかります。
この調査の結果から、令和6年度第1四半期における建築物リフォーム・リニューアル工事の需要は、住宅・非住宅ともに堅調な成長を続けていることが確認されました。特に、非住宅建築物においては企業や公共機関からの発注が増加しており、今後も改修やリニューアルの需要が続くことが予想されます。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ