2024年10月6日
労務・人事ニュース
令和6年度調剤医療費、4月に6,928億円を記録!5.6%増加の理由とは?
最近の調剤医療費(電算処理分)の動向 令和6年度4~5月号(厚労省)
調剤医療費の動向についての最新のデータは、令和6年度4月から5月にかけての調剤医療費が引き続き増加していることを示しています。令和6年4月の調剤医療費総額は6,928億円で、前年同期比で5.6%の増加を記録しました。特に、内訳として技術料が1,913億円、薬剤料が5,001億円に達しています。このうち、後発医薬品(ジェネリック医薬品)は959億円を占め、前年同期比で2.5%の増加となっています。薬剤料のうち内服薬が大半を占めており、1枚の処方箋に対する薬剤料の平均は5,239円です。この数値は前年より1.4%の減少を示しており、内服薬の使用に関しては伸び率がやや鈍化しています。
さらに、処方箋1枚当たりの内服薬に関する詳細な分析では、薬剤の種類数や投薬日数、1日あたりの薬剤料が分解され、2.81種類の薬剤が平均で処方され、28.0日の処方期間となっています。これらのデータは、薬剤の使用動向を精査する上で重要であり、処方箋1枚あたりの調剤医療費がどのように構成されているかを理解するための基礎情報となります。
5月の調剤医療費に関しても同様の傾向が見られ、総額は6,728億円で、前年同期比3.3%増となっています。薬剤料の内訳を見ると、内服薬が大部分を占め、内服薬の処方箋1枚あたりの平均薬剤料は5,117円です。この数値は前年同期比で0.6%増加しており、わずかに増加傾向が見られます。内服薬の薬剤料総額に関して、最も高い薬効分類は代謝性医薬品であり、723億円を記録しています。循環器官用薬や中枢神経系用薬もそれに続き、薬剤料総額の大きな部分を占めています。
年齢階級別の内訳を確認すると、75歳以上の高齢者が調剤医療費の大きな部分を占めていることが分かります。75歳以上の調剤医療費は1,469億円で、前年同期比79億円の増加となっています。この年齢層においては、代謝性医薬品や循環器官用薬、腫瘍用薬が特に多く使用されています。一方、若年層、特に5歳未満の子供の調剤医療費は20.7億円で、前年同期比で2.9億円の減少が見られます。このような年齢別の傾向は、医療需要が年齢と共にどのように変化しているかを示すものであり、医療サービス提供者にとって重要なデータとなります。
都道府県別のデータを見ると、処方箋1枚当たりの調剤医療費には地域差があることが確認されました。最も高かったのは高知県で、処方箋1枚あたりの調剤医療費は11,248円に達しています。一方で、最も低かったのは佐賀県で、8,139円となっています。地域ごとの医療サービス提供体制や薬剤費用の差異が、こうした違いに影響を与えていると考えられます。また、後発医薬品の使用状況にも地域差が見られ、全国平均で後発医薬品の数量ベース使用割合は85.7%となっています。最も高い沖縄県では91.5%、最も低い東京都では82.4%という結果が出ています。後発医薬品の使用拡大は医療費抑制の一環として推進されており、このデータはその効果を示すものです。
一方、薬剤料ベースでの後発医薬品割合は19.2%で、前年同期比で0.5%減少しています。このデータは、後発医薬品が数量ベースでは広く使われているものの、薬剤料ベースでは依然として先発医薬品が大きな割合を占めていることを示しています。このような後発医薬品の使用状況の変化は、今後の医療費削減に向けた政策の立案においても重要な指標となるでしょう。
また、後発医薬品の年齢階級別の使用状況に注目すると、15歳以上20歳未満の若年層で後発医薬品の使用割合が最も高く、15.7%の伸び率を示しています。一方で、0歳以上5歳未満の乳幼児では15.9%の減少が見られ、使用割合が減少しています。これらの年齢層による差異は、処方される薬剤の種類や治療内容が異なるためであり、各年齢層ごとの医療費管理が重要です。
このようなデータは、医療費の効率化と持続可能な医療システムの構築に向けて不可欠です。調剤医療費の動向を把握し、後発医薬品の普及をさらに進めることが、今後の医療財政の健全化に大きく寄与するでしょう。特に、高齢化が進む日本社会において、75歳以上の高齢者の医療費負担が増加している現状に対応するためには、適切な医薬品の選定と医療リソースの最適化が求められます。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ