2024年11月18日
労務・人事ニュース
令和6年度6月 調剤医療費6,581億円に減少傾向、1枚あたり費用は9,133円に上昇
最近の調剤医療費(電算処理分)の動向 令和6年度6月号(厚労省)
令和6年6月の調剤医療費に関する報告書によると、調剤医療費の総額は前年同月比で2.0%減の6,581億円となっています。1枚あたりの処方箋の調剤医療費は9,133円で、1.2%の微増でした。医療費内訳では、技術料が1,839億円(前年比1.3%減)、薬剤料が4,729億円(前年比2.3%減)で、特に後発医薬品に関する薬剤料は887億円と4.7%減少しています。
薬剤料の中でも内服薬は3,681億円を占め、その処方箋1枚あたりの平均薬剤料は5,108円となりました。これを薬剤種類数、1種類あたりの投薬日数、1日あたり薬剤料に分解すると、薬剤種類数は平均2.75種類、1種類あたりの投薬日数は27.2日、1種類あたり1日あたりの薬剤料は68円となっています。内服薬の中でも最も医療費がかかっているのは「その他の代謝性医薬品」で、711億円でした。
年齢別に見ると、内服薬の総額は全年齢で3,681億円でしたが、年齢が高くなるほど医療費は増加傾向にあります。例えば、75歳以上の年齢層では、循環器用薬が519億円、その他の代謝性医薬品が711億円、腫瘍用薬が185億円と高額です。一方で5歳未満の子どもには、アレルギー用薬や抗生物質が多く処方されています。
都道府県別の調剤医療費も報告されています。全国平均での処方箋1枚あたりの調剤医療費は9,133円ですが、高知県が最も高く10,975円、佐賀県が8,035円と最も低い水準でした。都道府県別の伸び率では、福島県が4.1%増で最も高く、沖縄県が1.2%減で最も低下しています。
後発医薬品の使用状況に関しては、数量ベースでの割合が86.0%と前年比1.5%増加し、薬剤料ベースでは18.8%と微減でした。年齢階級別では、15歳から20歳未満で使用率が高く、最も低いのは0歳から5歳未満の年齢層です。都道府県別の後発医薬品の使用率は秋田県が最も高く91.8%、徳島県が82.7%で最も低い使用率でした。
企業の採用担当者や医療関係者が注目するべきデータとして、処方箋1枚あたりの後発医薬品の薬剤料が1,232円である点や、新指標による後発医薬品の数量ベースの割合が86.0%に達している点が挙げられます。さらに、技術料や調剤報酬の内訳では、調剤技術料が966億円、薬学管理料が873億円で、前年度比で微減していることから、今後の医療費削減策や薬剤費に対する政府の取り組みが予想されます。
こうしたデータは、薬局や製薬企業、医療関係者にとって重要な参考情報となり得ます。特に医薬品業界においては、後発医薬品の割合や都道府県別の調剤費の増減傾向などが、今後の戦略立案や地域密着型の施策の指針となるでしょう。政府や医療機関による医療費の抑制に向けた後発医薬品の推進に伴い、地域ごとの差異を把握しながら適切な対策を講じる必要があります。また、後発医薬品の割合が高い地域では、後発医薬品の普及状況が進んでいることがわかり、これらの地域での事例を参考にすることで、他地域での後発医薬品普及の課題解決に繋がる可能性があります。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ