2024年12月13日
労務・人事ニュース
令和6年度7月医科医療費、前年同月比5.2%増加で高齢者層が主導
最近の医科医療費(電算処理分)の動向(令和6年度7月号)(厚労省)
令和6年度7月の医科医療費全体の伸び率は前年同月比で5.2%増加しました。このうち、受診延日数は3.4%増加し、1日当たりの医療費は1.8%の伸びを記録しました。内訳としては、入院にかかる医療費の伸び率が7.0%と最も高く、1日当たりの医療費が5.2%増加したことが主な要因です。一方、入院外医療費は3.2%の増加にとどまり、1日当たり医療費はわずかに減少しました。
制度別に見た場合、被用者保険の医療費は3.3%増加し、国民健康保険では1.4%、後期高齢者医療制度では8.6%と最も高い伸び率を記録しています。特に後期高齢者医療制度では、入院費が8.9%増加し、入院外医療費も8.3%増加しました。公費負担分についても4.5%増加しており、全体的に制度ごとで伸び率の違いが顕著に現れています。
医療機関の種類別では、大学病院が10.1%の伸び率で最も高い増加を示しました。公的病院や法人病院もそれぞれ8.0%、5.3%増加しています。また、病床数200床未満の病院では5.7%、200床以上の病院では7.3%の伸びが見られ、病床規模が大きい病院ほど伸び率が高い傾向が確認されました。一方で、医科診療所は1.1%の増加にとどまり、病院に比べて控えめな伸びとなっています。
地域別では、滋賀県が7.1%の伸び率で全国最高を記録し、鳥取県が1.2%と最も低い結果となりました。特に和歌山県では入院費が9.8%増加しており、地域ごとの医療需要や提供体制の違いが浮き彫りとなっています。
年齢階級別では、75歳以上80歳未満の医療費が11.4%増加し、最も高い伸びを示しました。一方、0歳以上5歳未満の階級では12.9%減少しており、年齢層によって医療費の動向が大きく異なります。特に、高齢者層の医療費増加が全体の伸びに大きく影響していることが分かります。
疾病別では、新生物(がんなど)が8.2%、筋骨格系および結合組織の疾患が8.8%、腎尿路生殖器系の疾患が6.2%の増加率を示しました。また、呼吸器系の疾患については0.7%の減少が見られ、疾病ごとの傾向も多様です。
診療内容別では、手術および麻酔が11.9%の増加で最も高い伸びを記録しました。薬剤費も7.6%増加し、DPC包括部分も8.2%増加しています。一方、入院基本料および特定入院料は0.4%の減少を示しました。
これらのデータは、医療費の利用動向を多角的に分析する上で重要な基盤を提供しています。高齢者層の医療需要の増加や地域ごとの医療提供体制の差異など、政策形成や医療資源の配分を考える上で有益な情報を含んでいます。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ