2025年1月15日
労務・人事ニュース
令和6年度8月の歯科医療費、前年比3.6%増加
最近の歯科医療費(電算処理分)の動向(令和6年度8月号)(厚労省)
厚生労働省は、歯科医療費の動向を迅速に把握するため、毎月電算処理されたレセプトデータを分析し、その結果を公表しています。令和6年度8月分の最新データによると、歯科医療費の伸び率や地域別の傾向には注目すべき変化が見られます。
令和6年度8月の歯科医療費総額は、前年同月比で3.6%増加しました。これには、受診延日数が0.3%増加し、1日あたりの医療費が3.3%増加したことが寄与しています。この増加の背景には、高齢化の進行や医療技術の進歩、患者のニーズの変化があると考えられます。
制度別にみると、被用者保険では6.6%の増加が見られた一方で、国民健康保険では3.8%減少しました。また、後期高齢者医療制度は3.8%の増加、公費による医療費は0.7%増加しました。このような動向は、それぞれの医療制度における利用者層の年齢構成や利用状況が反映されているものと考えられます。
医療機関の種類別に見ると、歯科病院での医療費が7.7%増加し、歯科診療所では3.3%の増加となりました。この差異は、歯科病院が提供する専門的で高度な治療の需要が増加していることを示している可能性があります。
都道府県別では、沖縄県が20.1%増加と最も大きな伸び率を記録しました。一方、大分県では4.6%減少しており、地域間の差異が顕著です。これらの違いには、地域の医療提供体制や人口構成、患者の健康状態が影響を及ぼしていると推測されます。
年齢階級別に分析すると、95歳以上100歳未満の患者の医療費が11.6%増加した一方、70歳以上75歳未満では7.1%減少しました。高齢化社会において、より高齢の患者の治療ニーズが増加していることが浮き彫りになっています。
歯科疾病分類別では、歯周炎が3.8%、歯肉炎が5.9%、う蝕が1.0%の増加を記録しました。しかし、補綴関係や根尖性歯周炎は、それぞれ1.7%および2.9%減少しました。これらの変化は、予防医療の進展や患者の口腔衛生意識の向上が影響している可能性があります。
診療内容別では、処置の医療費が8.4%増加し、検査・病理診断が7.0%増加しました。これらの増加は、より精密で予防的な診断や治療が増加していることを示していると考えられます。一方で、歯冠修復および欠損補綴は1.4%減少しており、技術の進歩や患者ニーズの変化が影響を及ぼしていると見られます。
歯科用貴金属では、歯科鋳造用金銀パラジウム合金が15.6%減少し、銀合金でも減少傾向が見られました。これは材料費の変動や代替材料の普及が影響していると考えられます。
このような詳細なデータは、歯科医療業界における需要予測やリソース配分に役立つだけでなく、関連する医療機器メーカーや薬剤企業の戦略立案にも寄与します。また、地域医療の充実を図るための政策策定にも重要な参考資料となります。データは厚生労働省のホームページで公開されており、医療関係者や研究者にとって貴重な情報源です。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ