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2025年2月21日

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令和6年最新給与データ公開!全産業の平均月給348,182円、前年比2.9%増加(毎月勤労統計調査 令和6年分結果速報)

毎月勤労統計調査 令和6年分結果速報 第1表 月間現金給与額(厚労省)

令和6年の給与動向が明らかになり、各業界の賃金水準が詳細に公表された。企業の採用戦略や人材確保に大きく影響を与えるこのデータは、今後の人事戦略の重要な指標となる。特に、調査対象となった産業ごとに大きな違いが見られ、業界別の給与水準が注目されている。

最新の統計によると、全産業の平均月間現金給与総額は348,182円で、前年比2.9%の増加となった。これは日本全体での賃金上昇の傾向を示しており、企業側は人材確保のための給与改善が求められる状況になりつつある。基本給与にあたる「きまって支給する給与」は平均281,990円で、前年比2.0%の増加を記録。一方、所定内給与は262,347円と前年よりも増加しており、給与のベースアップが進んでいることが分かる。

産業別に見ると、最も高い給与水準を記録したのは建設業で、月間現金給与総額は451,889円に達し、前年比4.6%の増加を示した。この増加幅は他産業と比較しても高く、特に所定内給与の増加が目立つ。建設業界では人手不足が深刻化しており、高額給与を提示することで労働力を確保する動きが強まっていることが伺える。

製造業も安定した賃金水準を維持しており、月間現金給与総額は413,030円で前年比3.0%の増加となった。特に、所定外給与の増加が見られ、企業が残業手当などの形で労働者の収入を補っている実態が浮かび上がる。このことから、製造業では業務量が増加傾向にあり、それに伴う給与の上昇が発生していることが考えられる。

一方で、鉱業・採石業の給与水準は418,655円と比較的高いが、きまって支給する給与は前年比-1.9%と減少している点が特徴的だ。しかし、特別に支払われた給与の増加率は24.4%と大幅な伸びを記録しており、ボーナスや一時金によって労働者の収入を確保している企業も少なくないと考えられる。

特別に支払われた給与の伸びが特に顕著なのは、建設業(前年比12.7%増)や鉱業・採石業(24.4%増)であり、企業側が賞与や一時金を活用して労働者の待遇を改善している状況が読み取れる。このような動きは、企業が賃上げを進めながらも固定費の増加を抑えたいという意図の表れとも考えられる。

これらのデータを踏まえると、企業の採用担当者は業界ごとの給与水準を参考にしながら、自社の給与戦略を見直す必要がある。特に、給与水準の高い業界では、他社との競争に勝つためにさらに魅力的な待遇を用意することが求められる。一方で、給与の伸びが限定的な業界では、給与以外の福利厚生や働き方の柔軟性を強調することで、求職者の関心を引く戦略が有効となる。

企業にとっては、人材確保のための給与戦略を再考する重要な時期となっている。特に、給与の上昇が著しい業界では、既存の従業員の流出を防ぐためにも、適正な給与調整が必要になるだろう。また、給与水準が競合と比較して低い場合は、非金銭的なインセンティブを強化することで、優秀な人材の確保につなげることができる。

これからの採用市場では、給与だけでなく、働きやすさやキャリアアップの機会も重要視される傾向が強まると予測される。そのため、企業の人事戦略は給与水準だけでなく、総合的な雇用の魅力を高める方向へシフトする必要があるだろう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ