2024年9月28日
労務・人事ニュース
令和6年民間企業の夏季一時金、過去最高額の平均898,754円に到達!前年比6.29%増
令和6年 民間主要企業夏季一時金妥結状況を公表します 平均妥結額898,754円で、過去最高の額(厚労省)
厚生労働省は、令和6年の民間主要企業における夏季一時金の妥結状況を発表しました。集計によると、平均妥結額は898,754円となり、過去最高額を記録しました。前年と比べると53,197円、つまり6.29%の増加となっています。これは、経済の回復基調や企業の業績向上に伴い、労働者への還元が強まっていることを示していると言えるでしょう。
今回の集計は、資本金が10億円以上で従業員が1,000人以上の企業で労働組合が存在する326社を対象に行われました。労使交渉に基づき妥結された一時金の金額を集めたもので、毎年恒例となっている調査の一環です。
妥結額の他に、労働組合から提出された要求額の平均も公表され、令和6年は937,922円となりました。これも前年と比較すると68,809円、つまり7.9%の増加となっており、労働者側の要求も高まっていることがうかがえます。このような傾向は、賃上げに対する期待感の高まりを反映していると言えるでしょう。
厚生労働省では、これらのデータを通じて、労使間の交渉状況や企業の対応を把握し、今後の労働政策に活用する考えです。特に、今回の結果は、景気回復の兆しが見える中で、企業がどのように労働者への待遇改善に取り組んでいるかを知る手がかりとなるでしょう。
企業によっては、妥結額の増加が従業員の士気向上や生産性の向上に寄与する可能性もあります。一方で、一時金の額が上昇する背景には、物価の上昇や生活コストの増加があるとされ、企業側もそれに対応する形での妥結となった可能性も考えられます。今後もこのような一時金の動向は注目されるところです。
今回の結果は、労働市場全体に対しても影響を与える可能性があり、他の企業や業界にも波及効果をもたらすことが期待されています。企業の収益状況や業績が好調な場合、さらに大きな一時金の支給が見込まれるかもしれません。労使関係の良好な維持は、企業の競争力や持続可能性を高める要因ともなり得るため、これからの動向が注目されます。
令和6年の夏季一時金、全体平均6.29%増加!電気機器業界での妥結額が907,350円に
令和6年の民間主要企業の夏季一時金妥結状況に関するデータは、企業の採用活動や人材管理において非常に重要な指標となっています。このデータは、資本金が10億円以上、従業員が1,000人以上の企業を対象に、夏季一時金の妥結額を集計したものです。これにより、各業界の労働市場の動向や企業の福利厚生に関する傾向を読み取ることが可能です。
令和6年の集計対象企業は、全体で326社が選ばれ、妥結額の加重平均が算出されました。これに対し、前年の集計では351社が対象となっており、企業数がやや減少しているものの、夏季一時金の妥結額自体は前年比で増加傾向にあります。このような統計から、企業全体の経済状況や労働市場の動きが見えてきます。
まず、集計されたデータでは、全体の妥結額の平均は898,754円で、前年の845,557円と比較して6.29%の増加を示しています。企業の業種別に見ても、電気機器や精密機器などの製造業においては堅調な結果が得られています。電気機器業界では、妥結額が907,350円となり、前年の896,145円に対して1.25%の増加を見せており、他の製造業と比較しても安定した増加率を誇っています。
一方で、業種によっては夏季一時金の妥結額が減少しているケースも見られます。自動車業界では、妥結額が862,603円で、前年の868,726円に対して0.70%の減少が確認されました。この減少は、業界全体でのコスト削減や市場環境の変化に伴う影響と考えられます。特に、自動車業界におけるグローバルな競争や電気自動車(EV)へのシフトが急速に進む中、こうした経済的影響が一時金にも反映されている可能性が高いです。
また、妥結額の増減は、企業の規模や従業員の年齢構成、業界の特性によっても大きく異なることがわかります。例えば、化学業界では、妥結額が1,038,777円で、前年の965,962円に対して7.54%の増加を記録しています。このような増加は、業界全体の成長や利益率の向上に加えて、企業が従業員に対して行っている福利厚生の充実度を反映していると考えられます。
さらに、業種ごとの詳細なデータを見ると、情報通信業や金融業などのサービス業においても、前年と比較して夏季一時金の妥結額が増加していることが確認されています。情報通信業では、平均妥結額が837,314円となり、前年の779,923円から7.36%の増加を示しています。この業界では、コロナ禍の影響でリモートワークの普及が進んだことに伴い、デジタルインフラの整備が加速しており、それが一時金の増額に寄与していると考えられます。
他方で、減少傾向にある業種もあります。建設業では、平均妥結額が810,630円で、前年の805,785円に対して0.60%のわずかな増加にとどまっています。また、製造業においても、窯業や鉄鋼業では妥結額が減少しており、これは業界全体の需要減少やコストの増大が影響していると考えられます。
企業の採用担当者にとって、こうしたデータは給与水準の見直しや人材確保の戦略を考える上での重要な指標となります。特に、妥結額が増加している業界では、他企業と比較して競争力のある給与や福利厚生を提供することで、優秀な人材を引きつけることができます。逆に、減少傾向にある業界では、従業員のモチベーションを維持するための追加的な施策が求められるかもしれません。
採用市場は依然として厳しい状況が続いており、企業は他社との差別化を図るために給与や一時金、さらには福利厚生全般の充実を図る必要があります。特に、大企業においては、業界全体の傾向を踏まえつつ、個別の企業としての競争力を維持するための取り組みが重要となってくるでしょう。例えば、若年層に対しては、キャリアパスの明確化や柔軟な働き方の提供などが求められています。また、中途採用者に対しては、業務経験を生かせる職場環境や昇進のチャンスを提供することで、長期的な雇用関係を築くことができるでしょう。
このように、令和6年の夏季一時金の妥結状況は、業界ごとの経済的な動向や企業の人事戦略に強く影響を与えており、企業が採用活動を行う上での貴重な参考資料となります。特に、給与水準が高い業界では、今後も労働力確保のために更なる対策が求められることが予想されます。
参考:第1表 令和6年民間主要企業夏季一時金妥結状況
昭和から令和までの給与推移を徹底分析!最新データで見る企業の採用戦略
昨今の日本の経済状況や労働市場の変化に伴い、多くの企業では採用戦略に大きな見直しが行われています。昭和から令和に至るまで、日本の労働市場は幾度となく転換期を迎え、特に大企業における従業員数や資本金の推移が注目されてきました。
まず、採用や人事において最も重要なポイントの一つである給与面について解説します。昭和45年から令和に至るまでのデータを見ると、企業の要求額と妥結額には大きな変動が見られます。例えば、昭和45年には要求額が168,349円であったのに対し、妥結額は138,892円となっており、要求に対して妥結額が22.2%減少していることがわかります。また、昭和50年代にかけては一時金の要求額と妥結額が年々増加傾向にありました。特に昭和54年には妥結額が420,706円に達し、前年比で10.2%の増加を記録しています。
このデータから、給与交渉における企業側の戦略や、労働組合の交渉力の変化がうかがえます。昭和から平成にかけて、日本は高度経済成長を背景に賃金の上昇が続きましたが、その後のバブル崩壊や景気の低迷により、給与や一時金の上昇ペースが鈍化したことが見て取れます。企業の採用担当者にとって、こうした過去のデータを理解することは、現在および将来の給与戦略を考える上で非常に有益です。
平成期に入ると、給与の変動はより安定的となりましたが、バブル崩壊後の影響を受け、妥結額は一時的に減少する傾向が見られました。例えば、平成元年には妥結額が845,453円であったのに対し、翌年には828,171円と、2.04%の減少を記録しています。また、平成15年からは、主要企業の集計対象が資本金10億円以上、従業員1,000人以上の企業に変更され、より広範なデータが収集されるようになっています。これは、企業の規模や業界に応じた給与動向をより詳細に把握するための措置と考えられます。
企業の採用戦略において、こうした給与データをもとにした分析は極めて重要です。特に大手企業では、過去の実績を踏まえて、適切な給与水準や福利厚生を設定することが、新卒および中途採用における競争力を高める要因となります。労働市場における競争が激化する中、企業は他社との差別化を図るために、従業員に対する総合的な支援策を強化する必要があります。
一時金の推移にも注目する必要があります。昭和から平成、そして令和にかけて、夏季一時金の要求額および妥結額は一定の変動を見せています。昭和57年には妥結額が504,711円であり、前年に比べて5.2%の増加を記録しました。このような一時金の上昇は、労働組合の強力な交渉力と企業側の景気判断が反映された結果と考えられます。採用担当者にとって、こうした一時金の動向も、新たな採用計画を策定する際の重要な指標となります。
また、令和に入ってからも、企業の一時金支給に対する動きは活発であり、2023年(令和5年)のデータでは、妥結額が898,754円に達しています。この数字は、前年の845,557円から約6.29%増加しており、景気の回復を示唆しています。企業は、こうしたデータをもとに、将来的な賃金体系や一時金の支給計画を策定することで、優秀な人材を確保し、従業員のモチベーションを高めることができます。
さらに、今後の採用活動においては、単に給与や一時金の増加を図るだけでなく、柔軟な働き方やキャリアパスの提供、職場環境の改善など、総合的な福利厚生の向上が求められる時代です。企業の採用担当者は、これらの要素を総合的に考慮し、他社との差別化を図る必要があります。近年、リモートワークやフレックスタイム制の導入が急速に進んでいることを踏まえ、採用活動ではこれらの点も重視されるべきです。
まとめると、昭和から令和に至るまでの日本企業の給与および一時金の推移は、採用活動における重要な要素であり、特に大手企業では過去の実績を踏まえた戦略的な採用計画が必要とされています。企業の採用担当者は、こうしたデータを活用し、給与や福利厚生の改善を通じて、競争力のある人材を確保し、企業の成長を支えるべきです。今後の採用活動においては、従業員の働きやすさやキャリアパスの提供にも注力することが求められるでしょう。
参考:第2表 夏季一時金妥結状況の推移
令和6年、賃金交渉妥結率が81.0%に!企業の採用戦略に活かすべきポイント
労働市場において、毎年の賃金交渉や一時金の決定は企業と従業員双方にとって極めて重要な要素です。このレポートに記載された企業の妥結状況と、その変動に関するデータを元に、賃金に関する具体的な交渉結果を分析します。データから見える賃金の動向は、採用戦略を練る上で参考になる情報を多く含んでいます。
例えば、令和5年から令和6年にかけて、妥結企業数が一定数を維持しているものの、各期型(夏冬型または冬夏型)の決定方式が採用されている企業の数が減少していることが見て取れます。この傾向は、企業が一時金の決定に対してより慎重な姿勢を取っている可能性を示唆しています。経済環境の変化や業績に対する企業の見通しが影響していると考えられ、採用に関しても人件費のコントロールが強まることが予想されます。
平成の初期から令和に至るまで、企業の妥結率や累計妥結企業数の推移も大きな注目ポイントです。例えば、昭和49年には、累計妥結率が47.8%であったのに対し、令和6年には81.0%に達しており、交渉の妥結率は年々上昇しています。これは、企業と労働組合の関係がより成熟し、労使双方が合意に至るスピードや妥結率が改善していることを意味します。企業にとって、妥結が迅速に進むことはコストの予測が立てやすくなり、採用戦略にも反映される重要な要素です。
さらに、データの中では、一時金の決定に関して「夏冬型」や「冬夏型」といった決定方式の導入企業数が一定数存在することがわかりますが、この方式を採用する企業数は年々減少しています。これは、企業が一時金の決定方式を柔軟に見直していることを示しており、固定的な年2回の支給よりも、業績に応じた支給を行う企業が増えている兆しです。採用担当者にとっては、このような賃金体系の変更が採用活動に与える影響を理解し、候補者に提示する給与条件を再検討する必要が出てくるでしょう。
また、令和6年には、一部の企業が妥結企業数において100%の妥結率を達成している点にも注目が集まります。これは、労働条件が確定しないまま長期間放置されることがなく、早期の段階で労使間での合意が取れていることを示しています。採用活動においても、労使関係が良好な企業は、求職者に対して安心感を提供しやすくなります。こうした企業の透明性と安定性を強調することで、採用において競争優位性を発揮することが可能です。
さらに、平成元年から令和にかけてのデータを分析すると、一時金の年間決定企業数に大きな変化が見られます。例えば、平成元年には298社が妥結に至り、そのうち63.5%が年間を通じた一時金を決定していますが、令和6年には326社のうち81.0%が一時金を決定しています。このように、企業が年間を通じて安定した賃金支給を行う傾向が強まっており、求職者に対して安定的な報酬体系を提示できることが、企業の魅力を高めるポイントとなります。
一方で、令和5年から令和6年にかけては、妥結時期に関しても興味深いデータが得られています。令和5年では、6月以降に妥結した企業数が総数の20%を超える一方で、令和6年には、より多くの企業が早期に妥結していることが見て取れます。採用担当者にとっては、このような交渉の早期決着が採用スケジュールに影響を与える可能性があるため、労使交渉の動向を注視することが重要です。
このような賃金交渉の結果や妥結率の動向は、企業が今後の人材採用においてどのような条件を提示するかに大きく関わってきます。例えば、年間の決定方式が企業のパフォーマンスに連動している場合、採用候補者に対して業績連動型の報酬体系を提示することで、企業の成長と共に報酬が増加する可能性を強調することができます。特に高度なスキルを持つ求職者にとって、このような報酬体系は魅力的に映るでしょう。
また、賃金交渉の妥結率が年々高まっている背景には、企業が求める人材像の変化も影響していると考えられます。例えば、企業が労使交渉を迅速に進めることで、予算の確定を早め、その分採用活動にリソースを割くことが可能になります。これにより、より多くの優秀な人材を競合他社に先駆けて確保できるというメリットが生じます。労使間の交渉結果を採用戦略に反映させることは、今後の競争力強化において極めて重要な課題となるでしょう。
企業の採用担当者は、こうしたデータをもとに自社の採用戦略を練り直し、賃金交渉の結果を反映させた具体的な報酬条件を提示することが求められます。特に、求職者が求めるのは単なる基本給の高さだけでなく、将来的な報酬の安定性や業績に応じたインセンティブなど、柔軟な報酬体系です。この点において、企業がどのように労使交渉を行い、報酬体系を決定しているかが、求職者の関心を引く重要な要素となります。
最後に、データからは妥結企業数や妥結率が業界ごとに異なることも明らかになっており、特定の業界では妥結率が90%を超える一方で、他の業界では70%台にとどまることがあります。これは、業界ごとの景気や労働組合の強さによって差が生じているため、採用担当者は自社が属する業界の動向を踏まえた上で、労使交渉の結果を活用する必要があります。
参考:第3表 妥結時期別企業数 第4表 一時金の年間決定実施状況の推移
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ