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2024年11月9日

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令和6年熱中症救急搬送人数が最多97,578人、前年より6,111人増加

令和6年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況(総務省)

令和6年(2024年)5月から9月までの熱中症による救急搬送人員の状況が公表され、全国で累計97,578人が救急搬送されました。この数は、平成20年の調査開始以降で最も多い数となり、昨年の91,467人からさらに6,111人増加しました。今年は特に厳しい暑さが続き、6月と7月は過去2番目、9月に至っては過去最多の搬送者数を記録しています。

年齢別に見ると、高齢者(65歳以上)が最も多く55,966人で全体の57.4%を占めており、次いで成人(18歳以上65歳未満)が32,222人、少年(7歳以上18歳未満)が8,787人、乳幼児(7歳未満)が601人でした。特に高齢者の割合が圧倒的であり、全体の半数以上を占めています。これは、暑さに対する耐性が低下していることや、適切な水分補給や体温管理が困難であることが要因と考えられます。

初診時における傷病程度別の内訳では、軽症(外来診療)が最も多く63,718人(65.3%)を占め、中等症(入院診療)が31,194人(32.0%)、重症(長期入院)が2,178人(2.2%)、そして死亡者が120人(0.1%)でした。特に軽症の割合が大きいことから、早めの対応が奏功した事例も多いと推測されます。しかし、重症や死亡例が存在していることからも、熱中症の予防と早期対応の重要性が改めて強調されます。

発生場所別では、住居内での発生が最も多く、37,116人(38.0%)が自宅で発症しています。次いで道路(18,576人、19.0%)、公衆(屋外、12,727人、13.0%)、仕事場①(9,870人、10.1%)が続きます。住居内での発症が多い背景には、特に高齢者が日中も自宅にいる時間が長く、エアコンの使用を避けたり、適切な温度管理ができていないことが挙げられます。また、道路や公衆の屋外での発症は、外出中や屋外活動中に体温調整が難しい環境下で発生しやすいことを示しています。さらに、仕事場①(工場や作業現場など)での発症も一定数見られることから、職場での暑さ対策の不備や、過酷な労働環境が熱中症を引き起こすリスク要因となっています。

都道府県別に見ると、東京都が8,100人で最も多く、次いで大阪府7,253人、愛知県6,382人と続いています。これらの地域は人口が集中しており、都市部での暑さ対策が不十分であることが影響していると考えられます。また、都市部ではヒートアイランド現象が顕著であり、気温が他の地域に比べて高くなる傾向が見られます。このため、各自治体が熱中症対策をさらに強化することが求められています。

熱中症による救急搬送人員が年々増加している背景には、気候変動による異常気象や、特に夏季における猛暑日や熱帯夜の増加が挙げられます。近年では、6月や7月でも真夏日が記録されることが多く、暑さが長期間続くことで体力を消耗し、結果として熱中症にかかりやすい状況が生まれています。また、社会全体での高齢化が進む中で、特に高齢者を対象とした暑さ対策が喫緊の課題となっています。

政府や自治体は、熱中症予防に向けた啓発活動を強化し、特に高齢者が自宅での生活環境を適切に保つための支援策を打ち出す必要があります。例えば、エアコンの使用を促進するための補助金制度や、熱中症が発生しやすい地域での水分補給スポットの設置、地域コミュニティを活用した見守り活動の推進などが考えられます。また、職場での暑さ対策として、作業時間の短縮やこまめな休憩、水分補給を義務付けるなどの対策も必要です。

一方で、個人の意識改革も求められます。熱中症は予防可能な病気であり、日常生活の中でこまめな水分補給や体温管理を徹底することで、大幅にリスクを軽減できます。特に高齢者や乳幼児は、周囲のサポートが重要であり、家族や介護者が適切な対応を行うことが求められます。

今年度のデータから、熱中症対策のさらなる強化が求められることは明白です。政府、自治体、そして個々人が一体となって、命を守るための行動を取ることが必要です。特に猛暑が続く中では、早期に対策を講じることが何よりも重要であり、予防と早期対応が鍵となります。

⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ

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