2024年11月10日
労務・人事ニュース
令和6年産米の全国契約数量が126.4万トンに減少、前年同月比で29.5万トン減少
令和6年産米の契約・販売状況、民間在庫の推移及び米穀販売事業者における販売数量・販売価格の動向について(令和6年9月末現在)(農水省)
農林水産省は、令和6年産米の契約や販売状況、また民間在庫の推移や米穀販売事業者の販売動向について、令和6年9月末時点のデータを取りまとめました。この報告は、平成30年に行われた米政策の見直しを背景としており、需要に応じた米生産を支えるための情報提供を強化する一環です。今回の公表は、米の出荷業者や販売業者から報告された情報を基に行われています。
まず、契約と販売の状況についてです。令和6年9月末現在、全国の出荷業者による集荷数量は約76.8万トンで、前年同月と比べると17.0万トン減少しています。契約数量は126.4万トンで、前年同月よりも29.5万トン減少しました。一方で、販売数量は13.7万トンとなり、前年同月に比べて1.5万トン増加しています。この増加は、米の需要が安定していることを示唆しており、特に特定の販売経路での動向が注目されています。
次に、民間在庫の推移に関しては、全国の出荷および販売段階での在庫は9月末時点で150万トンとなり、前年同月と比べて49万トン減少しています。この減少は、市場に流通する米の量がやや少なくなっていることを反映しており、供給のバランスが変化していることが分かります。この在庫状況は、今後の米の価格動向にも影響を与える可能性があるため、注視する必要があります。
最後に、米穀販売事業者における販売数量と販売価格の動向についてです。令和6年9月末現在、精米の販売数量は前年同月比で91.0%に減少しており、小売事業者向けでは86.3%とさらに低い値を示しています。一方、中食・外食事業者等向けの販売数量は96.5%で、ほぼ前年と同水準を維持しています。これに対し、販売価格は大幅に上昇しており、小売事業者向けでは前年同月比で147.9%、中食・外食事業者等向けでは116.4%の上昇が見られます。この価格の上昇は、需要の高まりや原材料コストの変動などが要因となっている可能性があります。
以上のデータから、米の市場動向は全国的に変化しており、特に契約や在庫の減少が顕著です。販売価格の上昇傾向も続いており、今後の市場の動向を見守る必要があります。さらに詳しい情報や地域別の動向については、農林水産省が公表している添付資料を参照することで、より具体的なデータを確認することができます。
令和6年産米の契約率が前年比10%以上上昇、販売成績も200%超を記録
令和6年産の米の契約や販売状況について、各地域ごとに集計されたデータが明らかになりました。この報告によると、北海道から沖縄までの全国的な米の集荷、契約、販売の数量が詳細に示されており、前年との比較も含まれています。北海道の主要品種である「ななつぼし」や「ゆめぴりか」は引き続き高い人気を誇り、販売状況も順調です。「ななつぼし」は集荷数量36.9千玄米トン、契約数量99.0千玄米トン、販売数量4.1千玄米トンとなっており、前年同期比で契約数量が109%、販売数量が136%という非常に高い成績を記録しています。一方、「ゆめぴりか」も集荷数量30.6千玄米トン、契約数量51.4千玄米トン、販売数量3.8千玄米トンで、前年同期比114%と、さらに上回る成長を見せています。特に販売数量は前年よりも50%増加しており、全国的に見てもその需要の高さが伺えます。
また、青森県では「まっしぐら」が主要品種として報告され、集荷数量14.4千玄米トン、契約数量1.7千玄米トン、販売数量0.8千玄米トンという結果になっています。契約数量と販売数量の増減は全国平均と比べると低めですが、前年に比べて販売数量は247%という大幅な増加を見せています。これにより、今後のさらなる販路拡大が期待されます。
岩手県においても「ひとめぼれ」が主力商品となり、集荷数量9.1千玄米トン、契約数量46.0千玄米トン、販売数量0.6千玄米トンで、契約数量は前年同期比96%ですが、販売数量は187%と大きな伸びを見せています。「銀河のしずく」もまた、前年より集荷数量、販売数量ともに好調で、特に販売数量は前年対比で214%に達しています。
宮城県の「ひとめぼれ」は集荷数量25.9千玄米トン、契約数量44.9千玄米トン、販売数量2.0千玄米トンと、販売面で特に193%の大幅な成長を遂げており、同じく宮城県の「ササニシキ」も156%という高い販売成績を誇っています。
秋田県では「ひとめぼれ」の他に「めんこいな」といった品種が注目されており、集荷数量、契約数量、販売数量ともに順調に推移しています。「あきたこまち」は、全国的にも高い評価を得ており、秋田県内でも集荷数量63.7千玄米トン、契約数量141.6千玄米トン、販売数量4.1千玄米トンと、全体的な増加を続けています。特に契約数量が108%と前年を上回り、販売数量は178%という非常に高い成果を挙げています。
山形県における「はえぬき」と「つや姫」はそれぞれ集荷数量16.3千玄米トン、契約数量34.0千玄米トン、販売数量0.8千玄米トン、「つや姫」も集荷数量4.0千玄米トン、契約数量21.2千玄米トンで、前年に比べて安定した成長を遂げていますが、販売数量は少し低調で66%にとどまっています。「雪若丸」は集荷数量、契約数量、販売数量がいずれも前年並みで推移していますが、今後の成長に期待がかかります。
福島県の「コシヒカリ(中通り、会津、浜通り)」に関しては、各地域で契約数量や販売数量のばらつきが見られます。特に浜通り地域では、集荷数量が前年の116%と増加しているものの、契約数量が67%、販売数量が276%と不安定な動きを見せています。しかしながら、全体としては販売状況が好調で、福島県全体で見ると総合的に伸びが確認されています。
関東地方では、茨城県の「コシヒカリ」が中心となり、集荷数量21.8千玄米トン、契約数量18.1千玄米トン、販売数量4.1千玄米トンで、前年と比較して集荷数量が77%、契約数量65%、販売数量は281%と大きな飛躍を遂げました。これにより、茨城県産のコシヒカリの国内外での人気が高まっていることが明らかです。
千葉県の「コシヒカリ」はさらに好調で、集荷数量20.0千玄米トン、契約数量22.8千玄米トン、販売数量9.6千玄米トンと、前年対比302%という驚異的な成長を遂げています。「ふさこがね」や「ふさおとめ」などの品種も好調で、特に「ふさこがね」は販売数量が前年対比300%、「ふさおとめ」は176%の成長を記録しています。
西日本地域に目を向けると、福井県や新潟県の「コシヒカリ」が引き続き高いシェアを誇り、福井県では集荷数量6.6千玄米トン、契約数量8.3千玄米トン、販売数量1.1千玄米トンという結果となっています。特に契約数量が133%という好調さが見られます。
また、全国的に見ても、集荷、契約、販売数量は前年に比べておおむね増加しており、日本国内の米市場が堅調に推移していることが伺えます。この成長傾向は地域ごとの異なる要因が関与しており、各地での農産物の生産および流通がそれぞれの特色を生かしながら拡大していることが大きな要因です。
参考:令和6年産米の産地別契約・販売状況(累計、うるち米、令和6年9月末現在)(速報)
消費ピークに対応する米の供給戦略、1月から3月にかけての在庫減少を乗り越えるためのポイント
現在の米の在庫量に関するデータは、国内の消費や流通を管理するための重要な指標として役立っています。日本において米は伝統的な主食であり、その生産量や消費量の変動は、経済や社会全体に広く影響を与えます。農林水産省の発表によれば、民間在庫におけるうるち米の推移は季節ごとに異なり、出荷や販売のタイミングによってもその量が変動しています。
まず、全国段階でのうるち米の民間在庫推移を見てみると、7月から翌年6月までの1年間を通じて、在庫量は大きく変動しています。特に、7月から10月にかけての時期は、前年に比べて出荷量が減少する傾向が見られました。例えば、前年7月の出荷量は102万トンであったのに対し、今年は95万トンと減少しています。また、9月から10月にかけての増加も注目すべきポイントです。これは、収穫期に近づくと新米の出荷が本格化するためと考えられます。
年間を通じての在庫推移を見ると、1月から3月にかけて在庫が急激に減少する傾向が見られます。この時期は、主に消費者が新年を迎えるにあたって米を大量に購入するため、在庫が減るとされています。対照的に、収穫期である10月から12月にかけては在庫量が再び増加し、農家や業者による大量の出荷が始まります。これにより、国内の需要に応じた適切な供給が行われる仕組みとなっています。
次に、地域別の在庫状況に目を向けると、北海道から秋田にかけての主要産地では、全体として6年産米と1年古米の在庫が大きく影響しています。例えば、北海道の7月の在庫量は80.4千トンと比較的高い数値を示していますが、8月には49.2千トンと急減しています。これは、新しい作付けに向けて古い在庫が順次消化されていくためと考えられます。一方で、秋田では在庫量が安定しており、7月から6月にかけての推移が緩やかに変動しています。
全国的な傾向として、民間在庫の管理は各地域ごとの需要と供給に応じて行われており、特に大都市圏に向けた供給量が多い地域では、在庫量がより敏感に変動します。東京や大阪などの大都市では、販売段階における在庫管理が厳密に行われており、消費者の需要に応じた供給が求められます。これにより、各地域の在庫量が年間を通じて安定するように調整されています。
また、うるち米の出荷と販売の段階別に見ると、販売段階では主に米穀の販売事業者が年間の玄米仕入量を管理しており、大規模な業者ほど在庫管理が重要視されます。年間の仕入量が4,000トン以上の業者が多く、これらの業者が適切に在庫を管理することで、国内市場への安定的な供給が実現しています。これに加え、出荷段階においては、全農や県単一農協などが主導し、各地からの米を全国へと送り出す役割を担っています。
こうした在庫管理の仕組みは、国内の消費者が必要な時に適切な量の米を手に入れることができるように調整されています。特に、販売業者や出荷業者は、毎月の在庫量を細かく把握し、適切な時期に出荷を行うことで、需要と供給のバランスを保つことが求められています。このような体制により、米の過剰供給や不足といった問題を未然に防ぐことが可能となります。
以上のデータから、日本国内における米の在庫管理は、全国的な消費動向や収穫時期に応じて調整されており、消費者の需要に応じた安定した供給が保たれています。特に、収穫期を迎える10月から12月にかけての在庫増加や、消費がピークに達する1月から3月にかけての在庫減少が顕著です。このような在庫の変動は、国内の消費パターンと密接に関連しており、今後も引き続き注意深く管理されていくことでしょう。
参考:民間在庫の推移(速報)
米穀販売市場の最新動向:販売数量が最大123.7%増加、外食産業の回復はいつ?
日本の米穀販売市場に関するデータを分析すると、過去数年間における販売数量と価格の変動が顕著に見られます。販売の主要なターゲットとなる小売事業者や中食・外食事業者向けの市場動向に焦点を当てると、全体としての販売状況は年ごとに一定の変動があるものの、新型コロナウイルス感染症の影響が特に大きかった時期に顕著な変化が見られます。まず、小売事業者向けの販売数量は、特に年初から春にかけて増加する傾向がある一方で、外食事業者向けの販売数量は一時的な減少を経験しています。
具体的に、令和元年の小売事業者向け販売数量は比較的安定しており、月ごとの変動も大きくありませんでした。しかし、翌年の令和2年になると、1月から3月にかけて販売数量が急増し、最大で123.7%に達しました。これは、消費者が外出自粛や店舗閉鎖により家庭での食事を増やしたことが要因と考えられます。一方で、中食・外食事業者向けの販売は同時期に逆に急減し、特に3月の段階で88.5%と大幅に減少しました。この傾向は、その後の月でも続き、5月には75.6%とさらなる低下を見せています。これに対し、小売事業者向けの販売は夏以降も高い水準を維持しており、9月には前年同期比で103.0%となり、消費者が依然として家庭での食事を重視していることが示されました。
このような状況は令和3年にも続きますが、少しずつ回復の兆しが見え始めます。小売事業者向けの販売は1月の段階で106.5%と好調を維持しながらも、3月には84.2%まで減少するなどの変動がありました。これは、外出制限が緩和され始め、消費者が外食を再開し始めたためと考えられます。同様に、中食・外食事業者向けの販売も前年に比べて増加し、特に4月には121.2%と大幅な回復を遂げています。これにより、全体の販売量も次第に回復し、全体として前年同月比で102.4%を記録しています。
令和4年以降、小売事業者向けの販売数量はおおむね安定し、97.2%から101.8%の範囲で推移していますが、特に10月以降に若干の増加傾向が見られます。一方で、中食・外食事業者向けの販売も安定し、100%を上回る数値が継続的に見られるようになっています。これは、消費者が再び外食を楽しむ機会が増えたことに起因していると考えられます。
また、販売価格についても興味深い動向が見られます。令和元年から令和4年にかけての小売事業者向けの価格は、総じて下落傾向にあり、特に令和4年の初めには90.1%まで低下しています。これに対し、令和5年になると価格は反発し始め、1月には102.2%、3月には103.7%と回復が見られます。この傾向は年間を通じて続き、12月には107.6%まで上昇しています。同様に、中食・外食事業者向けの販売価格も令和5年に入ってから上昇し、最大で107.0%に達しています。
令和6年には、さらなる価格上昇が確認されており、特に小売事業者向けの価格が急激に上昇しています。1月には108.5%、3月には111.3%、さらに8月には128.6%という驚異的な上昇率を記録しました。この急激な価格上昇は、供給不足や流通コストの増加が一因と考えられます。同様に、中食・外食事業者向けの価格も同様に上昇しており、1月から8月にかけて安定して108.6%以上を維持しています。
このデータから分かるように、米穀販売市場は消費者の生活スタイルや外部環境の変化に大きく影響を受けており、特に新型コロナウイルス感染症の影響が市場に多大な影響を与えました。今後の市場動向を予測する上で、消費者の行動や経済環境の変化が引き続き重要な要素となるでしょう。
参考:米穀販売事業者における販売数量・販売価格の動向(速報)
⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ