2024年11月8日
労務・人事ニュース
令和6年賃金引上げ調査結果発表!全国91.2%の企業が実施した賃金改定の実態とは?
賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要(厚労省)
令和6年に行われた「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果が厚生労働省から公表されました。この調査は、全国の常用労働者100人以上を雇用する会社組織の民間企業を対象に実施され、賃金改定の実施状況や改定額、改定率、方法についての実態を明らかにすることを目的としています。令和6年の調査では3,622社を抽出し、そのうち1,783社から有効回答を得ています。
賃金改定を実施した、もしくは予定している企業の割合は91.2%で、前年の89.1%を上回る結果となりました。これは、日本国内における賃金引き上げの重要性が増していることを示しており、多くの企業が労働者の待遇改善に取り組んでいることが分かります。
平均賃金の改定額は11,961円で、前年の9,437円と比較して大幅に増加しています。また、賃金改定率も前年の3.2%から4.1%に上昇しており、賃金引上げが確実に進んでいることが確認されます。労働組合がある企業では、平均賃金改定額が13,668円、改定率は4.5%と、労働組合のない企業(改定額10,170円、改定率3.6%)よりも高い傾向にあります。これは、労働組合が賃金交渉において大きな役割を果たしていることを示唆しています。
また、定期昇給に関しても、管理職の76.8%、一般職の83.4%の企業が「行った・行う」と回答しており、前年の71.8%(管理職)、79.5%(一般職)と比べても増加が見られます。これにより、労働者の継続的な昇給が保証されている企業が増加していることがわかります。特にベースアップに関しては、管理職で47.0%、一般職で52.1%の企業が実施しており、前年の43.4%(管理職)、49.5%(一般職)と比較しても着実に上昇しています。
この調査結果から、日本の企業が賃金引き上げに対して積極的な姿勢を見せていることがわかります。労働者の賃金は、企業の生産性向上やモチベーション維持に直結する重要な要素です。特にコロナ禍や物価上昇などの経済的な影響が続く中で、労働者の生活を守るためには、適切な賃金引き上げが必要不可欠です。
さらに、企業規模や業種によって賃金改定の状況にも差が見られます。大企業では賃金改定がより積極的に行われており、労働組合がある企業では特に賃金引き上げが顕著です。一方で、中小企業や労働組合のない企業では、賃金改定の実施が難しいケースもあることが指摘されています。これには、企業の財務状況や業績が影響していると考えられますが、政府や労働団体のサポートを通じて、中小企業でも賃金引き上げが実現できるような体制づくりが求められています。
また、賃金引き上げに伴い、企業は労働者に対する福利厚生や働き方の柔軟性など、その他の待遇改善にも注力する傾向があります。特にリモートワークの推進やワークライフバランスの確保が重要視される中で、賃金以外の面でも労働環境の改善が進められており、企業の採用活動にも影響を与えています。
令和6年の賃金引上げに関する実態調査は、企業がどのように賃金改定を進めているか、そしてその背景にある要因についての貴重なデータを提供しています。今後も労働者の生活を支えるための賃金引き上げが継続して進められることが期待されており、企業にとっても労働力の確保や生産性向上のための重要な施策として位置づけられています。
特に、労働組合の存在が賃金改定に大きな影響を与えていることは見逃せません。労働組合がある企業では、より積極的な賃金交渉が行われており、その結果として労働者の待遇改善が実現しています。今後、労働組合のない企業においても、労働者の声を反映させる仕組みを導入することが、賃金引き上げの促進につながると考えられます。
この調査結果は、今後の労働政策や企業戦略にも大きな影響を与えるでしょう。政府としても、労働者の賃金引き上げを支援するための政策を強化することが求められており、特に中小企業向けの支援策や税制優遇措置などが今後の議論の焦点となることが予想されます。
日本の労働市場は、少子高齢化や働き手不足といった課題を抱えており、企業は賃金引き上げだけでなく、働き方改革やダイバーシティ推進といった広範な施策を展開する必要があります。その中で、労働者がより安心して働ける環境を整えることが、企業の競争力向上につながると考えられます。
今回の調査では、賃金引き上げが企業全体で広く進んでいることが確認されましたが、引き続き経済状況や企業の業績によってそのペースや内容が変わる可能性があります。したがって、企業は常に市場の動向を注視し、労働者との対話を通じて、柔軟に対応していくことが重要です。
今後、賃金引き上げがどのように推移するかは、日本経済全体にとっても重要な課題となるでしょう。労働者の生活水準を維持・向上させるためには、企業のみならず政府や社会全体での取り組みが求められています。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ