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2025年1月4日

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令和6年(12月速報値)、労働災害死亡者数631人で前年同期比3.6%増加、業種別データから見えるリスクとは

令和6年における労働災害発生状況について(12 月速報値)(厚労省)

令和6年の労働災害発生状況についての速報値が発表されました。この報告では、前年同期と比較した労働災害の発生数やその傾向について詳細なデータが示されています。労働災害の状況を把握し、安全対策の向上に繋げるためには、これらのデータを正確に理解し、業界全体で適切な対応を取ることが重要です。

まず、令和6年1月から11月末までに報告された死亡災害の状況を見ると、死亡者数は全体で631人に上り、前年同期比で22人、率にして3.6%増加しました。業種別に見ると、建設業では207人が死亡し、前年同期比で32人増加し、18.3%の増加率を記録しました。製造業は116人で、前年同期比で3人、2.7%の増加となっています。一方で、林業は25人と前年と変動がありませんでした。陸上貨物運送事業では91人、前年同期比で1人増加(1.1%増)しており、第三次産業では死亡者数が162人と7人減少しており、4.1%の減少率となりました。

事故の型別に分類すると、墜落・転落が最も多く、163人が亡くなり、前年同期比で4人増加(2.5%増)しました。次いで、交通事故(道路)が104人で、こちらは前年同期比で15人減少(12.6%減)しました。一方で、「はさまれ・巻き込まれ」による死亡者は92人で、前年と変動がありませんでした。

次に、休業4日以上の死傷者数についても注目すべき点があります。全体では113,193人が報告され、前年同期比で2,413人、2.2%増加しています。業種別では、製造業が22,649人で前年同期比で124人、0.6%の増加となりました。建設業では11,779人が報告され、こちらは315人減少し、2.6%の減少となっています。陸上貨物運送事業は13,862人で311人、2.3%増加しました。第三次産業は58,224人で前年同期比で2,167人増加し、3.9%の増加率を記録しました。

事故の型別で見ると、転倒による事故が最も多く、30,132人が報告されており、前年同期比で830人、2.8%の増加でした。動作の反動や無理な動作による事故は17,984人で639人、3.7%増加しています。また、墜落・転落による事故は17,273人で148人、0.9%増加しました。

これらのデータから、労働災害の発生数が業種や事故の型によって異なることが分かります。特に建設業における死亡災害の増加や転倒事故の多さは、これらの分野での安全対策が一層求められることを示唆しています。企業が安全文化を醸成し、労働環境の改善を図ることは、労働者の安全と健康を守る上で不可欠です。

また、具体的な安全対策の実施には、労働災害の要因分析が重要となります。例えば、建設業での墜落・転落事故の増加は、安全帯の使用や作業高所の安全設備の改善が必要であることを示しています。さらに、転倒事故が多発していることから、床面の安全性を確保するための対策や、適切な靴の着用を推進する必要があります。

こうした背景を踏まえ、企業は自社の労働環境を再評価し、リスクを軽減するための具体的な行動を起こすべきです。特に、安全教育の強化や現場での安全管理体制の見直しが重要です。また、労働者の声を反映させた対策を講じることが、事故防止につながると考えられます。

政府や業界団体も、労働災害防止に向けた取り組みをさらに強化すべきです。具体的には、業種ごとに異なるリスクに対応した安全指針の作成や、企業への支援プログラムの提供が効果的です。さらに、労働者に対する教育や研修を通じて、安全意識を高めることが求められます。

全体的に、今回の速報値は労働災害の状況を理解するための重要な指標となります。このデータをもとに、企業や労働者、政府が連携して安全な労働環境を構築する努力を続けることが、今後の労働災害の削減に繋がるでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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