2024年12月19日
労務・人事ニュース
令和6年10月の宅配便の再配達率 再配達率10.2%から6%を目指す物流改革の具体策と50億個の宅配便が抱える課題
令和6年10月の宅配便の再配達率は約10.2% ~前年同月比0.9ポイント減少、前回比0.2ポイント減少~(国交省)
近年、電子商取引市場が急速に拡大しており、日本国内における物流業界は重要な転換点を迎えています。令和5年度の調査によると、EC市場の規模は約24.8兆円に達し、そのうち物販分野は14.6兆円を占めています。この成長に伴い、宅配便の取扱個数も急増し、同年度には約50億個に達しました。この流れは消費者の購買行動の多様化を反映しており、ライフスタイルの変化とともに一層進展しています。
しかしながら、物流業界には課題も山積しています。その一つが「再配達率」の高さです。令和6年10月の調査結果によると、全国平均の再配達率は10.2%と依然として高い水準にあります。この数字は前年同月比で0.9ポイント、今年4月比で0.2ポイント改善しているものの、さらなる削減が必要とされています。再配達は、ドライバーにとって大きな負担となるだけでなく、物流業務の効率化を阻む要因にもなっています。
再配達率の削減は、特にトラックドライバーの人手不足が深刻化している現在の物流業界において、喫緊の課題となっています。令和6年10月のデータでは、都市部の再配達率が11.6%、都市部近郊が9.6%、地方が8.1%という結果が出ています。このデータは、地域による配達環境の差異や利用者の受け取り環境が影響していることを示唆しています。また、都市部における再配達率が最も高いことから、大都市圏では特に対策が急がれています。
国土交通省は、再配達率の削減を目的としたさまざまな取り組みを進めています。その一環として、宅配ボックスの設置や「置き配」といった新しい受け取り方法の推進が挙げられます。これらの施策により、消費者がより柔軟に商品を受け取れる環境を整備することを目指しています。また、宅配便の再配達率に関する調査は年2回実施されており、その結果をもとに政策の効果を検証しながら、改善策が講じられています。
さらに、物流業界全体の効率化を図るため、令和5年6月には関係閣僚会議で「物流革新に向けた政策パッケージ」が取りまとめられました。この政策では、令和6年度までに再配達率を6%に削減することが目標とされています。これが実現すれば、ドライバーの負担軽減だけでなく、二酸化炭素排出量の削減や物流コストの削減といった多面的な効果が期待されます。
宅配便の再配達問題は、利用者一人ひとりの協力も欠かせません。例えば、再配達を減らすためには、消費者が事前に受け取り時間を指定する「時間指定配達サービス」を積極的に利用することが重要です。また、受け取り場所を柔軟に変更できるサービスの普及も進んでおり、こうした機能を利用者が活用することで、物流業界全体の負担軽減に貢献できます。
このように、物流業界では再配達率の削減を軸に多岐にわたる施策が講じられています。政策や技術の進展に伴い、これまで課題とされてきた問題も解消されつつありますが、依然として改善の余地は多く残されています。関係者全員が協力して取り組むことで、より持続可能な物流体制の構築が可能になるでしょう。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ