2024年12月18日
労務・人事ニュース
令和6年10月速報 現金給与総額が293,401円、前年同月比2.6%増
毎月勤労統計調査 令和6年10月分結果速報(厚労省)
令和6年10月時点の毎月勤労統計調査速報では、事業所規模5人以上を対象に、賃金や労働時間、雇用状況に関する詳細なデータが公表されました。まず、現金給与総額は平均293,401円となり、前年同月比で2.6%の増加を示しました。特に一般労働者では374,654円と同じく2.6%増加しており、パートタイム労働者では109,806円で3.3%増となりました。この結果、パートタイム労働者の比率は30.75%と、前年より0.20ポイント上昇しています。
給与の内訳を見ると、所定内給与は平均265,537円で前年同月比2.7%増、所定外給与は20,341円で1.4%増でした。特別給与については、7,523円と前年より1.7%減少しています。一方で、実質賃金に関しては現金給与総額がほぼ横ばいの0.0%増、所定内給与も同じく変動がありませんでした。
労働時間に目を向けると、総実労働時間は平均139.8時間で前年同月比0.5%の減少が見られました。所定内労働時間は129.5時間と0.2%の減少、所定外労働時間は10.3時間で3.7%の大幅な減少を記録しました。特にパートタイム労働者では総労働時間が80.5時間で0.8%の減少となり、時間当たりの給与が1,356円と前年より4.2%増加している点が特徴的です。
また、産業別の給与動向を見ると、情報通信業や電気・ガス業、金融業、保険業といったセクターで高い伸びが確認されました。情報通信業の現金給与総額は444,132円で前年同月比4.3%増加し、特に所定内給与の伸びが顕著でした。一方で飲食サービス業では平均134,093円となり、3.2%増加しているものの、全産業平均と比べると依然として低い水準にとどまっています。
労働市場の動向については、常用雇用者数が51,111千人で前年同月比1.0%増加しました。その中で一般労働者は35,396千人で3.5%増加しましたが、パートタイム労働者は15,715千人で4.4%の減少を記録しました。このような減少は、飲食サービス業や製造業など一部のセクターにおいて特に顕著でした。
産業別では、製造業が賃金の伸びと雇用の安定性の両方で堅調に推移しており、現金給与総額が335,878円で前年同月比3.2%増加しています。また、電気・ガス業では5.5%の増加が記録され、平均給与が490,588円と高い水準を維持しています。この傾向はエネルギー業界における需要の増加が背景にあると考えられます。
総じて、賃金や労働条件において全体的な改善が見られるものの、セクターごとの格差やパートタイム労働者の減少など、課題も依然として残されています。これらのデータは、企業が労働市場の現状を理解し、採用戦略や従業員の処遇改善に活用する上で重要な指標となるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ