2024年12月12日
労務・人事ニュース
令和6年10月 兵庫県の有効求人倍率1.02倍、新規求人倍率は1.81倍で上昇傾向
一般職業紹介状況(令和6年10月分)(兵庫労働局)
令和6年10月時点での兵庫県における雇用情勢が発表され、労働市場の現状が明らかになりました。この報告によれば、県内の有効求人倍率は1.02倍であり、前月比で0.01ポイント上昇しました。新規求人倍率についても1.81倍となり、こちらも0.06ポイントの増加がみられます。一方で、全体的な雇用状況には依然として改善の余地があり、特に求人数や求職者数が減少傾向にあることが指摘されています。
10月の有効求人数は80,661人で、前月比で0.8%の減少が確認されました。また、有効求職者数も79,446人で、こちらは1.0%の減少です。このように、労働市場全体での求人数が減少傾向にある中で、新規求人数も減少しており、27,583人で前月比1.8%の減少となっています。一方で、新規求職者数は15,272人で4.9%減少しており、労働市場における供給側と需要側のバランスが引き続き課題となっています。
兵庫県内では地域別の有効求人倍率にも差異が見られます。例えば、丹波地域では1.93倍と高水準であるのに対し、但馬地域では0.82倍と低い状況です。特に但馬地域の低い有効求人倍率は、雇用機会の地域差を反映しており、地域ごとの産業構造や人口動態が影響していると考えられます。
さらに、産業別の状況を詳しく見ると、宿泊業や飲食サービス業の求人が前月比8.2%増加している一方で、製造業や卸売・小売業の新規求人は減少しています。特に、製造業の新規求人は3.2%減少しており、業種ごとの雇用動向においても明確な違いが浮き彫りとなっています。これに加えて、医療や福祉分野では依然として高い需要が見られるものの、求人の増加率は鈍化しており、特定の業種での労働力不足が懸念されています。
今回の報告は、企業の採用担当者にとって重要な示唆を提供しています。具体的には、有効求人倍率が低下する一方で新規求人倍率が改善傾向にあることから、採用競争の状況が業種や地域によって変化していることを意味します。このため、採用戦略を再考し、ターゲットとなる求職者層に合わせた柔軟なアプローチが求められています。特に、人口減少が進む地方部では、地元の魅力を強調し、他地域からの移住者を呼び込む施策が効果的と考えられます。
一方で、労働市場全体における失業率の低下には至っていない現状から、企業側が積極的に雇用条件を改善し、柔軟な働き方を提供する必要性が高まっています。また、デジタル化や自動化の進展に伴い、新しいスキルが求められる職種への需要が拡大しているため、人材育成や再教育プログラムの導入も重要な課題となっています。
⇒ 詳しくは兵庫労働局のWEBサイトへ