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2024年12月11日

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令和6年10月 有効求人倍率1.37倍 3か月ぶりに富山県上昇

富山労働市場ニュース(令和6年10月)(富山労働局)

令和6年10月、富山労働局によって発表された労働市場の統計から、地域の雇用動向と課題が浮き彫りになっています。最新の有効求人倍率は1.37倍で、前月から0.01ポイントの上昇を記録しました。これは3か月ぶりの上昇であり、地域における求人需要が緩やかに改善傾向にあることを示しています。具体的には、有効求人数が21,741人で前月比0.4%の増加となり、8か月ぶりに求人数が増加しました。これに対して、有効求職者数は15,896人で、前月とほぼ変動がないことから、求職活動を行う人々の数は安定していると言えます。

新規求人倍率についても注目すべき動向が見られます。新規求人倍率は2.43倍で、前月より0.29ポイントの上昇を記録しました。このような上昇は求人活動の再活性化を示唆しており、企業が新たに求人を出す意欲が再び高まりつつあると考えられます。特に季節的な要因を調整した数値であることから、短期的な影響ではなく、構造的な求人需要の改善がうかがえます。

富山県全体の有効求人倍率は全国平均の1.25倍を上回る1.37倍を記録しており、全国でも比較的高い求人需要を維持しています。このような背景には、製造業や建設業といった地域の主要産業における求人活動の活発化が影響しています。特に製造業は、富山県内でも高い割合を占める産業であり、その求人動向は地域経済全体に大きな影響を与えています。また、卸売業や小売業、医療・福祉分野においても求人が増加しており、医療・福祉では前年同月比で6.7%の増加を記録しています。これは高齢化社会の進展に伴う需要増加を反映していると考えられます。一方、生活関連サービス業や娯楽業では前年同月比で22.2%の減少が見られ、コロナ禍以降の影響がまだ完全には払拭されていない状況が続いています。

新規求職者の動向も注目すべき点です。年齢層別に見ると、45歳から59歳の求職者数が前年同月比で3.6%増加し、60歳以上の求職者も1.5%増加しています。特に60歳以上の高齢層における求職者の増加は、定年退職後の再雇用を希望する人々の存在を示唆しており、企業にとっては高齢者の経験と技能を生かす機会を創出することが求められます。また、24歳以下の若年層においては求職者数が減少傾向にあり、前年同月比で4.0%の減少を示しています。この減少は、若年層の就業機会が限られていること、または若者が労働市場に参加する意欲が低下していることを反映している可能性があります。

また、離職理由別の求職者動向も興味深い結果となっています。特に「定年等」による離職者が前年同月比で20.9%増加しており、少子高齢化の影響が雇用市場にも及んでいることが明らかです。このような離職者が再度労働市場に戻ってくることを前提に、企業側としてはシニア層に対する柔軟な雇用条件を提供することが今後の鍵となるでしょう。

正社員に関しては、正社員の有効求人倍率が1.39倍で、前年同月より0.02ポイント低下しました。正社員の有効求人数も前年同月比で2.5%減少し、12,271人となっています。この減少は特に製造業や情報通信業で顕著であり、これらの産業では人材不足が引き続き課題となっています。一方で、医療や介護分野では正社員としての求人需要が安定しているため、企業は特定分野における人材供給の不足を解消するための積極的な取り組みが必要です。

物価上昇の影響も労働市場に一定の影響を与えています。特に、企業が提示する賃金が物価上昇に追いついていない場合、求職者の購買力が低下し、消費意欲の減退につながる恐れがあります。そのため、企業は単に求人を増やすだけでなく、賃金水準や労働条件を適正に見直すことが、今後の採用成功の鍵となるでしょう。求人倍率が上昇しても、応募が集まらない原因の一つとして労働条件の改善不足が挙げられるため、これらの点に対する企業側の対応が求められます。

企業の採用担当者にとって、こうしたデータは採用活動の見直しにおける重要な手がかりとなります。医療・福祉分野や卸売業、小売業といった、求人需要が高まっている業種に注力することは、効果的な採用活動を行う上で欠かせません。また、減少傾向にある分野では、企業側が提供する職場環境や労働条件を改善し、魅力的な職場づくりを進めることが求められます。特に、生活関連サービス業や娯楽業のように求人が減少している分野では、働きやすい環境の整備や、ワークライフバランスの向上を図ることで、求職者に対する訴求力を高める必要があります。

今後、富山県における採用活動は、高齢化社会の進展を見据え、年齢層ごとの特性に合わせた採用施策が求められます。特に、45歳以上の中高年層や定年退職後のシニア層を積極的に取り込むことで、豊富な経験を持つ人材の活用が可能となり、企業の競争力を高めることにつながります。また、若年層に対しては、キャリア形成を支援するプログラムや研修制度を強化し、働くことの魅力を伝えることが重要です。企業が求職者のニーズに柔軟に対応し、適切な労働環境を提供することが、今後の採用市場における成功の鍵となるでしょう。

⇒ 詳しくは富山労働局のWEBサイトへ

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